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カテゴリー「音楽>メーカー>MATSUMOTO」の2件の記事

2024年10月 4日 (金)

戦前 H.Matsumoto/エチ松本ピアノ 十號 で、シャミナードの『目覚まし時計 op.87-1』を

戦前の H.Matsumoto/エチ松本ピアノ 十號 で、シャミナードの『目覚まし時計 op.87-1』を弾きました。

H.Matsumoto/エチ松本ピアノは、日本のピアノ製作の先駆者である松本新吉の長男である広(ひろし)の個人経営として、月島で関東大震災の翌年から東京大空襲で全焼させられるまで製造されていました。H.Matsumoto/エチ松本ピアノは当時高まっていたピアノの需要に応えるための大量生産であり、創業者である新吉と六男:新治による音づくりの信念である「スヰートトーン」とは異なる方向ですが、このような「量」と「質」のせめぎ合いはどんな時代でも避けられないんですよね〜🧐
*「エチ松本」はカタログの表記そのままで、「エイチ松本」ではございませんぞ!

*ピアノ工房ピアピット(千葉県印西市)
ピアノは本気で直せば古いピアノでも必ずよみがえります
http://www.piapit.com/repair.html

基礎文献:三浦啓市『日本のピアノメーカーとブランド』
https://www.ankasha.com/books/books2

動画内にも載せているこのエチ松本ピアノカタログ(印刷年不詳)には高さ4フィート2インチ(=127cm)の「十號」と「十一號」が併記(ステッカーによる修正)されており、「十號」は85鍵で「十一號」は88鍵となっています。この現物は高さ実測125cmですが、まぁ「十號」と判断して差し支えなかろうと思います。

Hmatsumotono10_catalog
*資料提供:三浦啓市

Cécile Chaminade(1857−1944)は、経済的に自立した最初の女性作曲家とされています。サロン風な曲を数多く出版しており、数々の小洒落たピアノ曲はなかなか素敵です。この『目覚まし時計』は「6 Pièces humoristiques/6つのユーモラスな作品集, Op.87」の第1曲め、お聴きになると、なんか「なるほど〜」って感じですよ〜✨

まさにシャミナードの時代の1874年にフランスの発明家アントワーヌ・レディエが調節可能な機械式目覚まし時計の特許を取得して、さまざまなメーカーが目覚まし時計の開発に乗り出すようになった由。目覚まし時計が庶民一般に普及するのはもう少し後になって1930年台あたりかららしいですが、この「ユーモラスなピアノ曲集, op.87」が出版された19世紀終わり頃には既にその在り方は知れ渡っていたのではないでしょうか。

目覚まし時計って、ヒトを遅刻しないようにさせてくれる本来なら感謝されてしかるべき存在なのに、同時に毎朝毎朝エラく憎まれる存在だったりもしますからね〜。シャミナードが「ユーモラスなピアノ曲集, op.87」の一曲めに『目覚まし時計』をぶっ込んできたのはまことに愉しいことではございませんか😝

2022年8月20日 (土)

MATSUMOTO & SONS 12型(1955年頃?)(PIAPIT修復)で、ドヴォジャーク『8つのユーモレスク, op.101』から、第7曲を

MATSUMOTO & SONS はもともと日本のオルガン・ピアノ製造の先駆者のひとりである松本新吉(1865-1941)が創業、西川虎吉や山葉寅楠らとともに日本の楽器業界の黎明期を担っていました。やがて長男の広によるH.MATSUMOTOが月島で大量生産を始め、かたや新吉は六男の新治とともに郷里の君津でS.MATSUMOTOとして自らの理想とする<スウヰトトーン(心地よい音)>を目指すべくピアノを作り続けました。戦中に新吉と新治が相次いで亡くなりましたが、新治の妻の和子が1952(昭和27)年に工場を復興、長男の新一とともに MATSUMOTO & SONS として再興しました。和子の没後も新一と妻の衣子の二人三脚で2007(平成19)年の工場閉鎖まで少〜しずつ作り続けていました。

この楽器の鋳物フレームの左上に鋳込まれている新吉の生没年は(1685-1941)となっていてJ.S.バッハの生年と同じwになっていますがこれは6と8を逆にした単純ミス^^;、そして弦を引っ掛けるための「ヒッチピン」という部品の配置が極めてナゾで誤った位置に弦が掛けられていたことで駒ピンに無理がかかって割れていました。そこでさすがの ピアピット の 渡辺順一 さん、正しい位置を見つけ出して駒を作り直して弦を掛け直したところ、素晴らしい鳴りそして音色に大化けして一同仰天の一コマでした。松本新吉が目指した<スウヰトトーン(心地よい音)>の真髄が聴こえるかも知れませんよ〜(・o・ゞ

*ピアノ工房ピアピット(千葉県印西市)
ピアノは本気で直せば古いピアノでも必ずよみがえります
http://www.piapit.com/repair.html

ドヴォジャーク(1841-1904)の『ユーモレスク』はヴァイオリン独奏曲としてばかり知られていますが、もともとは『ピアノのためのユーモレスク集 op.101』として8曲セットで出版された曲集の7曲めなのでありま〜す。Dvořákの曲には弦楽器な感覚が随所にあり、ヴァイオリン版が有名になるのも頷けたりしますね〜。

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