戦前 H.Matsumoto/エチ松本ピアノ 十號 で、シャミナードの『目覚まし時計 op.87-1』を
戦前の H.Matsumoto/エチ松本ピアノ 十號 で、シャミナードの『目覚まし時計 op.87-1』を弾きました。
H.Matsumoto/エチ松本ピアノは、日本のピアノ製作の先駆者である松本新吉の長男である広(ひろし)の個人経営として、月島で関東大震災の翌年から東京大空襲で全焼させられるまで製造されていました。H.Matsumoto/エチ松本ピアノは当時高まっていたピアノの需要に応えるための大量生産であり、創業者である新吉と六男:新治による音づくりの信念である「スヰートトーン」とは異なる方向ですが、このような「量」と「質」のせめぎ合いはどんな時代でも避けられないんですよね〜🧐
*「エチ松本」はカタログの表記そのままで、「エイチ松本」ではございませんぞ!
*ピアノ工房ピアピット(千葉県印西市)
ピアノは本気で直せば古いピアノでも必ずよみがえります
http://www.piapit.com/repair.html
基礎文献:三浦啓市『日本のピアノメーカーとブランド』
https://www.ankasha.com/books/books2
動画内にも載せているこのエチ松本ピアノカタログ(印刷年不詳)には高さ4フィート2インチ(=127cm)の「十號」と「十一號」が併記(ステッカーによる修正)されており、「十號」は85鍵で「十一號」は88鍵となっています。この現物は高さ実測125cmですが、まぁ「十號」と判断して差し支えなかろうと思います。
*資料提供:三浦啓市
Cécile Chaminade(1857−1944)は、経済的に自立した最初の女性作曲家とされています。サロン風な曲を数多く出版しており、数々の小洒落たピアノ曲はなかなか素敵です。この『目覚まし時計』は「6 Pièces humoristiques/6つのユーモラスな作品集, Op.87」の第1曲め、お聴きになると、なんか「なるほど〜」って感じですよ〜✨
まさにシャミナードの時代の1874年にフランスの発明家アントワーヌ・レディエが調節可能な機械式目覚まし時計の特許を取得して、さまざまなメーカーが目覚まし時計の開発に乗り出すようになった由。目覚まし時計が庶民一般に普及するのはもう少し後になって1930年台あたりかららしいですが、この「ユーモラスなピアノ曲集, op.87」が出版された19世紀終わり頃には既にその在り方は知れ渡っていたのではないでしょうか。
目覚まし時計って、ヒトを遅刻しないようにさせてくれる本来なら感謝されてしかるべき存在なのに、同時に毎朝毎朝エラく憎まれる存在だったりもしますからね〜。シャミナードが「ユーモラスなピアノ曲集, op.87」の一曲めに『目覚まし時計』をぶっ込んできたのはまことに愉しいことではございませんか😝
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