Rinck(1770-1846) の教会用小品ハ長調を、100年前の大型リードオルガンで
ボストン近郊の Bridgewater で1930年代始めまで頑張っていたパッカード社1905年製の大型棚つきリードオルガンで、Christian Heinrich Rinck(1770-1846) の教会用小品を弾きました。
この手の大型棚つきリードオルガンは100年ちょい昔の北米にはごく普通にあった楽器です。見た目はパイプオルガンに匹敵するくらいに派手ですが、実は普通の箱型のリードオルガンの上に豪華な装飾棚(しかも意外と軽いw)を載せているだけなので、構造や機能自体は普通のリードオルガンと一緒と考えて差し支えないのでした。見た目で身構える必要は全〜然ないんですよ〜(・o・ゞ
曲は、日本の「基督教音楽出版」から出版された『教会オルガン前奏・間奏・後奏曲集(全音調による)オルガン・ブック』(木岡英三郎、1974)の第8曲です。Rinckは1770年生まれということはベートーヴェンと同い年ですが、バッハのような対位法音楽や教会音楽の方向に当時の新しい響きを取り入れたというなかなかに独自な方向性の音楽を作っていたそうです。それにしても、76歳まで生きたというのは当時としてはかなりの長命だったんですね〜。
残念ながら原曲は不明、まぁこんなことはこの手の曲集にはわりかし頻繁にあることでして。市井の人々の間にかつてあふれていた音楽はとにかく自由なものでちょっとした集会所のスクエアピアノやリードオルガンそしてハルモニウムの周りに生まれていたわけですし、そのための音楽のための作曲家/編曲家もそれこそそこら中に存在していたようです。普通の人々のための普通の曲集では長い曲をバッサリ切り詰めたり調号の少なく読みやすい調性に移調したりしてあるのもごく当たり前のこと、考えてみれば、現代の通俗曲でも全く同じことやってますよね〜。
リードオルガンの魅力は大向こうをウナらせるような超絶技巧では断じてなく、柔らかく優しい世界観にこそ。忙しすぎる現代人にこそ、この世界でユルんでいただきたいなぁと思ってやまないワタクシでありま〜す。
・リードオルガン修復:渡邉祐治
https://www.youtube.com/channel/UCSiix1iGPuO6XR54th_BjHw
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