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カテゴリー「音楽>作曲家>MacDowell」の4件の記事

2024年5月20日 (月)

1932年製のSCHILLER/シラー Style H, Hepplewhite Design で、マクダウェル「森のスケッチ, op.51」から第3曲『懐かしき思い出の場所で』を

1929年製の SCHILLER/シラー Style H: Hepplewhite Design で、マクダウェルの「森のスケッチ, op.51」から第3曲『懐かしき思い出の場所で』を弾きました。

例によっての渡辺順一さんのピアピットによる徹底的なオーバーホール品です。ボロボロガタガタだったのをとにかく新品当時に戻すべく、徹底的に観察してガッツリ手を加えてのオーバーホールでじっくりと一年、寸法資料はおろか SCHILLER/シラー社が求めていた楽器としての方向性もナニもかも誰も知らないワケで、無数の部品をイイ感じで機能させるための詳細な観察そしてバランス調整は想像を絶する世界だなぁと思わされました。いやはや、どんな分野でも、多面的重層的に理解している技術者たちってばホントに凄まじい存在ですね〜😳

SCHILLER/シラーは米国イリノイ州はオレゴンのメーカー、1890年頃から1936年まで独立経営でその後 Cable Company と合併し、SCHILLERブランドはそのラインナップの中で最高級品とされてさまざまなスタイルによる「アートケース・ピアノ」を数多く生産していました。なお小さな機種ばかりということもあり、SCHILLERブランドはあくまでも家庭用の最高級品という位置づけであったようです。ネット上で合併前1929年のカタログが発見でき、細部は異なりますが奥行5フィート2インチ(=158cm弱)のStyle H, Hepplewhite Design であろうと判断しました。

この1929年のカタログでは「音響業界がラジオや蓄音機のおかげで著しく発展しているのにピアノ業界は旧態依然としており、唯一、Schiller社だけが例外的に最先端の知見を援用している」という主張をしています。

<最新のラジオや蓄音機の開発でこのような顕著な発展をもたらしたものと同じ原理が Schiller Super Grand の発音部分にも援用されています。
 他社のグランドピアノとは異なり、シラー社のグランドピアノの響板の振動部分はケースから独立しています。 (ラジオのスピーカーユニットの振動板にも同じアイデアが見られます。)
 その結果、信じられないほどの深みと歌唱力を備えた音色が生まれました。響板がケースとの接触から解放されて振動することで、わずかなタッチに瞬時に反応すると同時に持続的な共鳴が得られています。>(Schiller社カタログ、1929年)

*ピアノ工房ピアピット(千葉県印西市)
ピアノは本気で直せば古いピアノでも必ずよみがえります
http://www.piapit.com/repair.html

マクダウェルはアメリカの生んだ代表的作曲家、この「森のスケッチ」はインディアンの音楽を素材としてアメリカ的なものを目指してはいますが、ドイツロマン派っぽい雰囲気満載ですね〜。このSchiller社のピアノは繊細に響く弱音のふくよかさそして伸びが絶品で、懐かしき思い出の場所=若き日の密やかなデートをじんわりかみしめるこの曲の良さを十全に引き出せている気がします👌

2022年10月10日 (月)

遠州楽器制作株式会社、ENSCHU E121-P2 新品で、マクダウェル「森のスケッチ, op.51」から第1曲『野ばらに寄す』を

遠州楽器制作株式会社、ENSCHU E121-P2 新品で、マクダウェル「森のスケッチ, op.51」から第1曲『野ばらに寄す』を弾きました。

遠州楽器制作株式会社は、日本の新しいピアノメーカーです。かつて日本では浜松を中心として百社以上のピアノメーカーがありましたが、現在は最大手以外はほとんど全滅して日本のピアノ制作の伝統が途絶えてしまったかに見えますが、ぎりぎりのところで踏みとどまったのが何よりも嬉しいことと思います。MADE IN HAMAMATSU の誇りを持って、安かろう悪かろうでなく「柔らかく美しい音色のピアノ」を作り続けようというその意気や良し!
・遠州楽器制作株式会社: https://enschu-gakki.co.jp/

なお、ロゴ周りの木目は例によってのピアピットの渡辺さんによるカスタム木目塗装仕上げですよ〜(・o・ゞ

2020年8月 1日 (土)

KAWAIのアップライトピアノBL-31(1976年製、PIAPIT修復)で、マクダウェルの「ニューイングランド牧歌集 op.62」から、第4曲『甘いラベンダーの花を持って/With Sweet Lavender』を

先日襲撃した印西市のピアピット/PIAPITから、さっそくお仕事が舞い込みました (*´-`)

カワイとヤマハが互いにしのぎを削っていた時代、おなじみの中型機種の BL-31(1976年製)の紹介動画の撮影です。このピアノ、駒割れのため駒をきっちり作り直すところからの気合い入った修理、弦圧測定してバランスを再調整したためか、ひょっとしたらオリジナルより「良く」なっている気にさえさせられる心地よい楽器に仕上がりましたよ〜。つ〜か、マジで音イイんですけど (`・ω・´)

マクダウェル(1860-1908)作曲
「ニューイングランド牧歌集 op.62」から、第4曲『甘いラベンダーの花を持って/With Sweet Lavender』

  *ピアノ工房ピアピット(千葉県印西市)のチャンネルです
   ピアノは本気で直せば古いピアノでも必ずよみがえります
   http://www.piapit.com/repair.html

2015年12月28日 (月)

マクダウエル/『森のスケッチ』から第1曲「野ばらに寄す」

白金台のチェコ製ピアノ「ペトロフ」専門店のピアノプレップによる、きわめて普通な方向を突き詰めた精密調整で仕上げられた、ごく普通のペトロフ製173cmグランドピアノで弾いた、亜米利加の作曲家:マクダウエル/MacDowell (1860-1908) による小品集『森のスケッチ』から、第1曲「野ばらに寄す」です。

生楽器というシロモノは、周囲の環境の変化に応じて常に動き続けています。そのいわば動的バランスの妙は、実は工場出荷の時点では半製品ですらないとさえ言える、なかなかシビアな世界だったりします。ですから、マトモな生楽器とマトモな販売店、そして可能ならばマトモな温湿度管理は三位一体、そこに関わる人々による丁寧な作業と愛情が不可欠で、絶対的に時間が必要とされる世界です

このような楽器という実にファジーな「生き物」を昨今のせわしない世の中で扱うにあたって、常に「現代的な抜け目ない効率」とのせめぎ合いで販売がなされる、というのは当たり前のことです。その抜け目ない世界の中で安易に安売りに走ることなく敢然と丁寧に精密調整を行い続ける販売店はなかなかありませんが、その矜持に最大限の敬意を払いたく思います。
そして同時に、エンドユーザーに対しても、安いのにはちゃ〜んと理由があり、高い値引率にもちゃ〜んと理由がある、と声を大にして伝えたいです。「努力して安くする」のではなく「努力しないから安くできる」のであります。「安くて良いもの」なんぞ、この世の中に存在するはずがございません。
・・・高けりゃナンでもイイわけでもございませんが。めんどくせ〜(^o^;


大恐慌以来(って大げさと思うなかれ)もはや「音楽」や「楽器」ひいては「芸術」に対していくらでも手間ひまをかけられる時代ではなくなってしまい、昨今その傾向が悲劇的にまで加速してしまいましたので、残念ながら丁寧な取り組みが馬鹿を見ることが多くなってしまいました。しかし、そもそも楽器とは昔の人たちが想像を絶するほどの経験をつぎ込んで改良に改良を重ねてさらに時間による厳しい淘汰に耐えて生き残ってきた結果なのですから時代が変わってもその扱いが変わるはずはなく、その手間ひまや時間を尊重せずして素敵な結果は絶っ対に得られません。

この万事忙しく抜け目なくなってしまった現代、少なくとも自分の音楽の周りには丁寧さを第一にできるようなゆったりした時間が流れていて欲しいなぁ・・・と願いつつ、昔ながらの「木の響き」をお楽しみください。

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