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カテゴリー「音楽>作曲家>Marcello」の2件の記事

2023年11月23日 (木)

クリストフォリ1726年製ピアノの複製楽器による演奏動画/ベネデット・マルチェルロ:ソナタ へ長調 S.724a から、第3楽章

ピアノの発明者とされる Bartolomeo Cristofori(1655-1731) によるピアノのオリジナルは3台現存しており、そのうちライプツィヒ大学所蔵の1726年製の楽器を基にした精密な複製楽器を大阪は堺の山本宣夫(やまもとのぶお)氏が制作したのは1999年のこと。実はその楽器のデモ音源を弾いてCDを焼いてごくごく限られた範囲でウケていたwのが他ならぬワタクシなのですが、それからほぼ四半世紀経って再び収録する機会に恵まれました😍
(なお、浜松市楽器博物館の有名なのとは別の個体です👌)

*山本宣夫氏のインタビュー
 ホンモノの熱意というのは神がかりのように運を引き寄せるのだと納得させられます。運も実力のうち!
https://phoenixhall.jp/interview/2004/06/01/747/

この3台現存している Cristofori のピアノのうち、ローマ博物館所蔵の1722年製のピアノを最初に入手したのが誰あろう、この Benedetto Marcello(1686-1739) です。このへ長調のソナタは、op.3として出版されたであろう曲集に入っていたと資料から推測されている曲です(この曲集の出版譜は残っていないので全てが推測👌)。なお、op.2が1712年出版でop.4が1717年出版ですからop.3の出版年はまぁ確実にその間、というコトは Cristofori のピアノを入手する前の出版でチト残念だったり💦

「最初のピアノはチェンバロの躯体に弦を叩く機構を取り付けただけの不完全なシロモノだった」と憶測するだけなら知識があろうがなかろうが容易ですが、いまだにピアノの専門家な方々ですら案外とこの程度の認識でとどまっているコトが少なからずなようで歯がゆいです。例によってと言うべきかw史実は全く異なっており、Cristofori のピアノはチェンバロよりはるかに複雑強靭に組まれていて、しかもこの1726年製の個体の打弦機構(アクション)はウナるしかないほどに洗練されています。

*打弦機構の動画をどうぞ〜✨✨✨


実は後年 Gottfried Silbermann(1683-1753) がピアノを作ったときも結局はこの1726年版のアクションの寸法はおろか形状までもまるっきりコピーを搭載していることが判っていまして、この形態が Cristofori のピアノアクションの完成形だった可能性が高い・・・ということは頭の外側wにでも留めてくださると嬉しいです。この1726年版のアクションは、1700年代初期にヨーロッパで複数現れていたピアノ誕生の萌芽の中でも圧倒的に抜きん出ています。

この山本宣夫氏による複製楽器は「未完成かつ不完全なシロモノ」という根拠のない憶測を吹っ飛ばすに足る驚くべき出来栄えで、やはりピアノという楽器は Cristofori という「真の天才による偉大な発明」だったのだろうなぁと思わされます。願わくば、この動画でその魔力が少しでも伝われば幸いです。

2015年4月25日 (土)

クリストフォリ1726年製ピアノの複製楽器による演奏動画/ベネデット・マルチェルロ:ソナタ イ短調から、プレスト

最初期のピアノで弾いた、ピアノ(=ハンマーで弦を叩いて発音する鍵盤楽器)のため、と明記された最古の曲をご紹介します。2001年に録ったminiDVからの資料ですが、意外と音がマトモに録れており、恥ずかしながら公開を決意しました (`・ω・´)キリッ

なお、古すぎるwまとめですが、ピアノの誕生周辺の資料はこのページにまとめています。ご興味があればご一読くださいませ!m(._.)m


2001年4月1日、帯広の相原求一朗デッサン館で行った「最古のピアノコンサート」のライヴ録画です。

ベネデット・マルチェッロ(1686-1739):ソナタ イ短調から、プレスト
Benedetto Marcello(1686-1739) Presto from SONATA in a minor played on a copy of Cristofori Piano (Nobuo Yamamoto 1999) based on the 1726 model (Leipzig)

ピアノは伊太利亜のCristoforiによって1700年少し前あたりに発明されたということになっていますが、この時期ヨーロッパでは打弦式鍵盤楽器の萌芽が複数生じていた形跡があります。
そのうち現存していて最も洗練されているものがCristoforiの手による3台(1720年、1722年、1726年)ですが、これら3台それぞれにさまざまなアイディアが盛り込まれており、単純に最古の個体に価値を見いだすのか最後の個体を最終形態として価値を見いだすのかは結論が出ませんし、そもそもこの<真の天才による偉大な発明>を現代人ごときが云々するのは意味のないことです。

ただし、ニューヨークのメトロポリタン博物館の所蔵で「現存する最古のピアノ」とされている1720年製のクリストフォリのピアノは後年に音域を高く変更する、という大改造がされていることは知っておくべきです。これに伴ってピアノの音質に重大な影響を及ぼす打弦点がクリストフォリオリジナルと異なる位置に変えられており、残念ながらもはやこの1720年製のクリストフォリピアノの音色の資料的価値は非常に乏しい・・・と言わざるを得ないのではないでしょうか。それに加えて、1938年に著名な音楽学者のクルト・ザックスの主導の下に響板とそれに付随する数多くのオリジナルの部品が交換されてしまった、という取り返しのつかない損害を被ってしまっています。

これに対して、大阪は堺のフォルテピアノ修復家の山本宣夫氏が1999年に完成させた、Cristofori晩年1726年製の楽器(現Leipzig大学所蔵)の複製は、最初期のピアノがまだまだ未熟な初歩楽器だった・・・という先入観を払拭してあまりある素晴らしい楽器で、この時代の(特に伊太利亜の)鍵盤楽器音楽の方向をまさしく指し示していた奇跡でありました。

この時代の伊太利亜の鍵盤楽器音楽については、ピアニストはおろか古楽器の演奏家ですら今ひとつパッとしない、という印象を持っているようですが、Cristoforiのピアノで演奏してみるとその香り立つ魅力に陶然となることもしばしばです。これは「時代の必然」と言っても差し支えなさそうな、楽曲と楽器とのベストマッチングでありましょう!

ベネデット・マルチェッロ Benedetto Marcello(1686-1739)の兄であるアレッサンドロ・マルチェッロ Alessandro Marcello(1669-1747)が、現在ローマの博物館に所蔵されている1722年製のクリストフォリピアノのかつての所有者であった・・・とされており、ベネデットもクリストフォリのピアノを体験したと考えて差し支えないでしょう。

補)1722年製のクリストフォリピアノについては、このコピー楽器が非常に優秀と思われます。どうぞご一読あれ!(英語ですが)
http://www.arpicimbalo.com/about_the_instrument.php


作曲当時の創造力の源泉たる楽器に対する興味(ワクワク感とも言えますネ)無くして、いわゆる「クラシック音楽」と称する音楽の理解は浅くならざるを得ません。どうぞ、楽器も曲も存分にお楽しみくださりますように。

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