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カテゴリー「音楽>作曲家>Liszt」の6件の記事

2024年7月15日 (月)

1932年製のSCHILLER/シラー Style H, Hepplewhite Design で、リスト『La lugubre gondola I/悲しみのゴンドラ第1』を

SCHILLER/シラー Style H, Hepplewhite Design 1932年製 で、リスト(1811-1886)が最晩年(1882年)に作曲した『La lugubre gondola I/悲しみのゴンドラ第1』を弾きました。

例によっての渡辺順一さんのピアピットによる徹底的なオーバーホール品です。ボロボロガタガタだったのをとにかく新品当時に戻すべく、徹底的に観察してガッツリ手を加えてのオーバーホールでじっくりと一年、寸法資料はおろか SCHILLER/シラー社が求めていた楽器としての方向性もナニもかも誰も知らないワケで、無数の部品をイイ感じで機能させるための詳細な観察そしてバランス調整は想像を絶する世界だなぁと思わされました。いやはや、どんな分野でも、多面的重層的に理解している技術者たちってば凄まじい存在ですね〜😳

*ピアノ工房ピアピット(千葉県印西市)
ピアノは本気で直せば古いピアノでも必ずよみがえります
http://www.piapit.com/repair.html

最晩年のリストのピアノ小品は調性を逸脱させようという実験的な試みがなされている・・・というような記述がそれこそそこら中にコピペされてそれで「以上、終了」な印象wを受けますが、ちょ〜っと待っていただきたい。かのワーグナー(1813-1883)が古典的機能和声の崩壊の端緒となったとされる『トリスタンとイゾルデ』を作曲したのは四半世紀も昔の1857年から1859年にかけてですし、リストはワーグナーの作品をさんざんピアノソロ編曲して熟知(我々凡人が想像すらできないレベルで「熟知」していたのも当然ですネ)していたに決まってますし、いまさらナニが「調性を逸脱させようという実験的な試み」だと思うわけで。とは言え、最晩年のピアノ曲はリストの曲としてよく知られている響きとは全く異なる響きに満ちているのもまた確かですけどね〜(・x・ゞ

SCHILLER/シラーは米国イリノイ州はオレゴンのメーカー、1890年頃から1936年まで独立経営でその後 Cable Company と合併し、SCHILLERブランドはそのラインナップの中で最高級品とされてさまざまなスタイルによる「アートケース・ピアノ」を数多く生産していました。なお小さな機種ばかりということもあり、SCHILLERブランドはあくまでも家庭用の最高級品という位置づけであったようです。ネット上で合併前1929年のカタログが発見でき、細部は異なりますが奥行5フィート2インチ(=158cm弱)のStyle H, Hepplewhite Design であろうと判断しました。

この1929年のカタログでは「音響業界がラジオや蓄音機のおかげで著しく発展しているのにピアノ業界は旧態依然としており、唯一、Schiller社だけが例外的に最先端の知見を援用している」という主張をしています。

 <最新のラジオや蓄音機の開発でこのような顕著な発展をもたらしたものと同じ原理が Schiller Super Grand の発音部分にも援用されています。
  他社のグランドピアノとは異なり、シラー社のグランドピアノの響板の振動部分はケースから独立しています。 (ラジオのスピーカーユニットの振動板にも同じアイデアが見られます。)
  その結果、信じられないほどの深みと歌唱力を備えた音色が生まれました。響板がケースとの接触から解放されて振動することで、わずかなタッチに瞬時に反応すると同時に持続的な共鳴が得られています。>(Schiller社カタログ、1929年)

2019年9月30日 (月)

リスト『La lugubre gondora I/悲しみのゴンドラ第1』を、EHRBAR/エアバーが1928年ころに作ったアップライトピアノで

リスト(1811-1886)が最晩年(1882年)に作曲した『La lugubre gondola I/悲しみのゴンドラ第1』を、ウィーンで1928年ころに作られたEHRBAR/エアバーのアップライトピアノで弾きました。リスト(1811-1886)は大変な長命で、ブラームス(1833-1897)が亡くなったのがリストが亡くなった11年後というのはちょっと時空が歪んでいるような気さえしませんか?w

最晩年のリストのピアノ小品は調性を逸脱させようという実験的な試みがなされている・・・というような記述がそれこそそこら中にコピペされてそれで「以上、終了」な印象wを受けますが、ちょ〜っと待っていただきたい。かのワーグナー(1813-1883)が古典的機能和声の崩壊の端緒となったとされる『トリスタンとイゾルデ』を作曲したのは四半世紀も昔の1857年から1859年にかけてですし、リストはワーグナーの作品をさんざんピアノソロ編曲して熟知(我々凡人が想像すらできないレベルで「熟知」していたのも当然ですネ)していたに決まってますし、いまさらナニが「調性を逸脱させようという実験的な試み」だと思うわけで。とは言え、最晩年のピアノ曲はリストの曲としてよく知られている響きとは全く異なる響きに満ちているのもまた確かですけどね〜(・x・ゞ

このエアバーは某超絶強烈変態wピアノヲタクな知り合い(特定できちまうかナwww)の持ちものでして、ボロボロな状態で店頭に放置されていたも同然なお道具を救出できてご満悦、そりゃ〜世の中に知らしめるために動画を録って差し上げるのが、友人としての当然の努めでありま〜す(・o・ゞ

EHRBAR/エアバーは今となってはほとんど知られていませんが実はその創業は非常に古く、なんと1801年でベーゼンドルファーより古いんですよ〜。ですが1930年ころを境に生産台数がガタ落ちになっており、大恐慌(1929年)の影響をいやでも感じずにはいられません。100年ぐらい昔のウィーン周辺にはピアノのメーカーがそれこそ100社やそこらはあったワケでして、知られざるメーカーもそれこそ星の数ほど。そして古い楽器は履歴の個体差こそがその楽器の個性、という一面もございます。唯一無二の響きをどうぞ!

2019年8月13日 (火)

リスト『Nuages gris/灰色の雲』を、EHRBAR/エアバーが1928年ころに作ったアップライトピアノで

リスト(1811-1886)が最晩年(1881年)に作曲した『Nuages gris/灰色の雲(『暗い雲』と称されることも)』を、ウィーンで1928年ころに作られたEHRBAR/エアバーのアップライトピアノで弾きました。リスト(1811-1886)は大変な長命で、ブラームス(1833-1897)が亡くなったのがリストが亡くなった11年後というのはちょっと時空が歪んでいるような気さえしませんか?w

最晩年のリストのピアノ小品は調性を逸脱させようという実験的な試みがなされている・・・というような記述がそれこそそこら中にコピペされてそれで「以上、終了」な印象wを受けますが、ちょ〜っと待っていただきたい。かのワーグナー(1813-1883)が古典的機能和声の崩壊の端緒となったとされる『トリスタンとイゾルデ』を作曲したのは四半世紀も昔の1857年から1859年にかけてですし、リストはワーグナーの作品をさんざんピアノソロ編曲して熟知(我々凡人が想像すらできないレベルで「熟知」していたのも当然ですネ)していたに決まってますし、いまさらナニが「調性を逸脱させようという実験的な試み」だと思うわけで。とは言え、最晩年のピアノ曲はリストの曲としてよく知られている響きとは全く異なる響きに満ちているのもまた確かですけどね〜(・x・ゞ

EHRBAR/エアバーは今となってはほとんど知られていませんが実はその創業は非常に古く、なんと1801年でベーゼンドルファーより古いんですよ〜。ですが1930年ころを境に生産台数がガタ落ちになっており、大恐慌(1929年)の影響をいやでも感じずにはいられません。100年ぐらい昔のウィーン周辺にはピアノのメーカーがそれこそ100社やそこらはあったワケでして、知られざるメーカーもそれこそ星の数ほど。そして古い楽器は履歴の個体差こそがその楽器の個性、という一面もございます。唯一無二の響きをどうぞ!

2019年7月 2日 (火)

リスト『En rêve/夢のなかで(ノクターン)』を1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)で

リスト(1811-1886)が亡くなる前の年(1885年)に作曲した『En rêve/夢のなかで(ノクターン)』を、まさに同時代の1894年ベーゼンドルファー製ウィーンアクションのピアノで弾きました。同時代の楽器を使いさえすればその時代の雰囲気が自動的に生成wされるほど現実は甘くございませんが、現代のピアノとは全く異なる雰囲気がかもし出されているのは聴き取っていただけようかと思います。

19世紀末の爛熟期のヨーロッパといえど科学技術が発展をはじめてあまり時間が経っていないころですから、人類の周りには理由が解らずに畏敬の念を呼び覚まさせられる存在に満ちていたでしょうし、そのような世界は、まだまだ夢のようであり、天界のようであり、言い知れぬ哀しみのようでもあり、魔界のようでもあったことでしょう。この動画で使っているウィーン式アクションのベーゼンドルファーも「神と対話するための楽器」という意味を十全に残していた時代のお道具ですから、とりわけこの曲のような不思議な曲では呪術的な威力を存分に発揮してくれます。単純に音色の美しさというだけでなく、多彩に何層にも折り重なった響きの美しさを際立たせてくれるんですよ〜(・ω・ゞ

『En rêve/夢のなかで(ノクターン)』が作曲された1885年は明治18年、日本ではようやく太政官制度に代わって内閣制度が創始された年です。ネット上には初代総理大臣の伊藤博文がこの数年前に西園寺公望と渡欧したときにリストの演奏を聴いて感銘を受け「あの者を日本に招くことはできないか」と思ったという記述が複数見られますがどれも出典が明示されておらず、不勉強ですみませんがウラも取れていないので、現時点では信憑性には難ありと言わざるを得ないなぁ・・・というのが正直な感想ですw

2017年7月31日 (月)

リストの命日によせて『コンソレーション第3番』を、プレイエル1858年製ピアニーノで

今日(7/31)は、リスト(1811-1886)の命日ですよ〜。

リストが生きている時代のプレイエル1858年製ピアニーノ(85鍵、鉄骨無し)で弾いた、有名な『コンソレーション第3番』です。この曲、バスをいかにして伸ばして聴こえさせるかが鍵のひとつですが、この楽器のように非常に理解度が高い技術者の手で思想に忠実な修復をされた楽器で弾くと、これがまた普通〜に伸びてくれます (`・ω・´)シャキーン

このピアニーノはショパンが自宅に持っていたピアニーノと構造的にはほとんど変化がなく、この時代ではすでに古い機構の楽器でしたが、コンソレーションのような親密な雰囲気が大切な曲にはいかにもふさわしい楽器の一つと言えるのではないでしょうか。まぁ「親密な雰囲気」とゆ〜のは「雑にテケト〜に」という意味ぢゃない・・・ちぅのがちぃとばかし厄介なのですが、これは楽器の問題ではなく演奏者のモンダイ(・x・ゞ

2016年7月31日 (日)

リストの命日によせて『詩的で宗教的な調べ』第6曲「眠りから覚めた御子への賛歌」を、1843年プレイエル製スクエアピアノで

本日(7/31)は、リスト(1811-1886)の命日ですよ〜。
これまた言わずと知れた大リスト、ではありますが、どうしても極めて一面的な理解しかされない不幸な大芸術家だなぁ、と思わざるを得ません。
(そんなこと言ったら大芸術家なんてみんなそうぢゃん、というツッコミは無しねw)

ピアノをとてつもないショウマンシップで華麗に弾きまくる・・・というレッテルが強烈に貼られてしまっているのは無理もないことですが、それだけで説明できる程度の人物が当時のパリで芸術家としてしかも尊敬/畏敬の対象になれようハズがないではございませぬか。

リストはさまざまな方面の芸術文化に通じるだけでなくそのどれもが相当なレベルであったようで、各分野の芸術家から「リストにかかったらど〜しようもねぇ」というような怖れすら抱かれていたフシがあります。そのような恐るべき大芸術家を一面だけで語るのは、語っている人物のお里が知れるwだけのおハナシですよね〜(・x・ゞ

だいたい、この時代にひときわ高くそびえていた大巨人の人となりをたかが一人の現代人が理解できる、なんておこがましいにも程があります。「歪んだリスト観」の最たるもの<技巧だけで内容がない>という譏りがいまだにありますが、この譏りは実は、そのような観点でしかリストを見られない狭量な人物こそが生み出しているのでありま〜す。

リストの『詩的で宗教的な調べ』より、第6曲「眠りから覚めた御子への賛歌」を、リストもショパンも生きていた1843年プレイエル製のスクエアピアノ(個人蔵)でどうぞ!

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