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カテゴリー「音楽>作曲家>Galuppi」の4件の記事

2023年11月26日 (日)

クリストフォリ1726年製ピアノの複製楽器による演奏動画/ガルッピ:ソナタ ハ短調 から、第1楽章

ピアノの発明者とされる Bartolomeo Cristofori(1655-1731) によるピアノのオリジナルは3台現存しており、そのうちライプツィヒ大学所蔵の1726年製の楽器を基にした精密な複製楽器を大阪は堺の山本宣夫(やまもとのぶお)氏が制作したのは1999年のこと。実はその楽器のデモ音源を弾いてCDを焼いてごくごく限られた範囲でウケていたwのが他ならぬワタクシなのですが、それからほぼ四半世紀経って再び収録する機会に恵まれました😍
(なお、浜松市楽器博物館の有名なのとは別の個体です👌)

*山本宣夫氏のインタビュー
 ホンモノの熱意というのは神がかりのように運を引き寄せるのだと納得させられます。運も実力のうち!
https://phoenixhall.jp/interview/2004/06/01/747/

Cristofori の1726年製の個体は鍵盤1つあたり弦が2本ずつ張られており、これすなはち due corde(=2本の弦)です。この個体では鍵盤全体を手で左にズラすことで1本だけの弦を叩くことができ、これすなはちホンモノの una corda(=1本の弦)です。この動画では Cristofori. による una corda の素晴らしく dolce な雰囲気を味わってくださいませ〜😉

Galuppi のソナタはミケランジェリが現代ピアノを弾いた素晴らしい録音がございますが、この時代の特にイタリアの鍵盤楽曲はこれほどの名手が弾かないとなかなか「それっぽく」ならないです。現代のピアノで弾くとどうしても大げさな雰囲気になりやすく、大げさにならないように注意したところでただ弱いだけの演奏に。そしてチェンバロで弾くと、現代ピアノを知っている我々にとって満足できるような細かな強弱表現が難しいためにどうしても物足りない印象になってしまいます💦 なんとなくの印象に過ぎませんが、この時代、ピアノというまだ見ぬ楽器をあたかも念頭に置いているかのような方向に音楽が変わり始める兆しがあり、ガルッピの鍵盤楽曲はまさにこの時代ど真ん中の中途半端とも評価されてしまいそうな存在であり気がしてなりません。そのような音楽を Cristofori のフォルテピアノで弾くと、その独特な魅力が「腑に落ちる」感覚があります。

「最初のピアノはチェンバロの躯体に弦を叩く機構を取り付けただけの不完全なシロモノだった」と憶測するだけなら知識があろうがなかろうが容易ですが、いまだにピアノの専門家な方々ですら案外とこの程度の認識でとどまっているコトが少なからずなようで歯がゆいです。例によってと言うべきかw史実は全く異なっており、Cristofori のピアノはチェンバロよりはるかに複雑強靭に組まれていて、しかもこの1726年製の個体の打弦機構(アクション)はウナるしかないほどに洗練されています。

*打弦機構の動画をどうぞ〜✨✨✨


実は後年 Gottfried Silbermann(1683-1753) がピアノを作ったときも結局はこの1726年版のアクションの寸法はおろか形状までもまるっきりコピーを搭載していることが判っていまして、この形態が Cristofori のピアノアクションの完成形だった可能性が高い・・・ということは頭の外側wにでも留めてくださると嬉しいです。この1726年版のアクションは、1700年代初期にヨーロッパで複数現れていたピアノ誕生の萌芽の中でも圧倒的に抜きん出ています。

この山本宣夫氏による複製楽器は「未完成かつ不完全なシロモノ」という根拠のない憶測を吹っ飛ばすに足る驚くべき出来栄えで、やはりピアノという楽器は Cristofori という「真の天才による偉大な発明」だったのだろうなぁと思わされます。願わくば、この動画でその魔力が少しでも伝われば幸いです。

2016年10月22日 (土)

ガルッピの『ソナタ ハ長調』を、右ペダル踏みっぱなしのペトロフGPで

先日(10/18)誕生日を迎えた、伊太利亜の作曲家:ガルッピ(1706-1785)の『ソナタ ハ長調』より第1楽章を、チェコ製のピアノ:ペトロフで弾きました。

誕生日にアップした動画( https://bergheil.air-nifty.com/blog/2016/10/post-d979.html )ではクリストフォリタイプの初期フォルテピアノを使いましたが、この動画では、現代ピアノで 右 ペ ダ ル を 曲 の 最 初 か ら 最 後 ま で 全 く 踏 み 替 え ず に 演奏しています。足元をギリギリ見せていますので、ご確認wくださいませ。
・・・このようなペダルの使い方を邪道とおっしゃるなかれ。実は、ピアノ誕生からしばらくの間には珍しくなかった使い方なのでありま〜す (`・ω・´)シャキーン

そして、今なお、昔の楽器のような温かい響きのピアノを作り続けているチェコのペトロフという奇跡的な存在、そのポテンシャルに惚れ込んで専門店:ピアノプレップを営み「基本調整」のみを忠実に精密に行って大化けさせた山内敦氏の存在。

せっかくこのように素敵に「進化」した現代ピアノがあるのですから、そりゃ〜古典鍵盤楽器奏者としては、昔の奏法を積極的に使ってみるのが当然のこと。お楽しみいただければ!m(._.)m



Soundcloud にも音声をアップしましたです(・o・ゞ

2016年10月18日 (火)

ガルッピの生誕祭によせて『ソナタ ハ短調』を、クリストフォリ式の初期イタリア風フォルテピアノで

今日(10/18)は、イタリアの作曲家:ガルッピ(1706-1785)の誕生日ですよ〜。

ピアノに相当する楽器が歴史上記録に残っているのは1700年のフィレンツェ、メディチ家の楽器所蔵目録で、それならばピアノの誕生は少なくともこれより少し前、というのが通常の理解でしょう。それなのに、いまだに「ピアノの誕生は1709年」という記述がそこら中でまかり通っている現状には呆れるほかございませんが、もはや仕方ないかなぁ・・・と(・x・ゞ

ガルッピのソナタはミケランジェリが現代ピアノを弾いた素晴らしい録音がございますが、この時代の特にイタリアの鍵盤楽曲はこれほどの名手が弾かないとなかなか「それっぽく」ならないです。現代のピアノで弾くとどうしても大げさな雰囲気になりやすく、大げさにならないように注意したところでただ弱いだけの演奏に。そしてチェンバロで弾くと、現代ピアノを知っている我々にとって満足できるような細かな強弱表現が難しいため、どうしても物足りない印象になってしまいます。

この動画で使っている「クリストフォリ式の初期イタリア風フォルテピアノ」にはモデルとして特定の楽器があるワケではなく、ピアノの発明者とされている伊太利亜のクリストフォリによる1726年製の楽器(現:ライプツィヒ大学所蔵)にもとづくアクションを搭載して、自由な発想のもとにチェンバロ製作の久保田彰氏が2006年に製作した楽器です。

1700年ごろ、実はピアノの誕生を目指す萌芽がヨーロッパのあちこちで見られ、やはり音楽もピアノというまだ見ぬ楽器をあたかも念頭に置いているかのような方向に変わり始める兆しがあります。ガルッピの鍵盤楽曲は、まさにこの時代ど真ん中の中途半端とも評価されてしまいそうな存在ですが、このようなクリストフォリタイプの初期フォルテピアノで弾くと、その独特な魅力が「腑に落ちる」感覚があります。



Soundcloud にも音声をアップしましたです(・o・ゞ

2016年6月26日 (日)

6月25日/オーディオ・アンド・カフェ『新空間』コンサートから、ガルッピのソナタ

2016年6月25日、埼玉県は蓮田の オーディオ ギャラリー Café「新空間」にて、最初期のスタイルによるピアノの演奏会を行う機会に恵まれました。

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現代の「ピアノ」に相当する楽器が歴史上記録に残っているのは1700年のフィレンツェはメディチ家の楽器所蔵目録が最古で、それならばピアノの誕生は少なくともこれより少し前、というのが通常の理解でしょう。それなのに、いまだに「ピアノの誕生は1709年」という記述がそこら中でコピペされてそれが堂々とまかり通っている現状には呆れるほかございませんが、もはや仕方ないかなぁ・・・と(・x・ゞ

この動画で使っているフォルテピアノは特定の楽器をモデルとした楽器ではなく、ピアノの発明者とされている伊太利亜のクリストフォリによる1726年製の楽器(現:ライプツィヒ大学所蔵)にもとづくアクションを搭載して、自由な発想のもとにチェンバロ製作の久保田彰氏が2006年に製作した楽器です。言うなれば「クリストフォリ式の初期イタリア風フォルテピアノ」という表現が無難でしょう。このフォルテピアノは音域 GG-e''' の5オクターヴ弱、クリストフォリによる1726年製の楽器同様にウナ・コルダ機構を備えてダンパーペダルは無い、という楽器です。

ガルッピのソナタはミケランジェリが現代ピアノを弾いた素晴らしい録音がございますが、この時代の特にイタリアの鍵盤楽曲はこれほどの名手が弾かないとなかなか「それっぽく」ならないです。現代のピアノで弾くとどうしても大げさな雰囲気になりやすく、そこに注意してもただ弱いだけの演奏に。そしてチェンバロで弾くと、現代ピアノを知っている我々にとって満足できるような細かな強弱表現が難しいためにどうしても物足りない印象になってしまいます。

1700年ごろ、実はピアノの誕生を目指す萌芽がヨーロッパのあちこちで見られ、やはり音楽もピアノというまだ見ぬ楽器をあたかも念頭に置いているかのような方向に変わり始める兆しがあります。ガルッピの鍵盤楽曲はまさにこの時代ど真ん中のため、ともすれば中途半端とも評価されてしまいそうな存在ですが、このようなクリストフォリタイプの初期フォルテピアノで弾くとその独特な魅力が「腑に落ちる」感覚があります。

ガルッピ(1807-18)ソナタ ハ短調から、第1楽章
2016.6.25. 蓮田、オーディオ ギャラリー Café「新空間」
 クリストフォリ式初期イタリア風フォルテピアノ(製作:久保田彰)筒井 一貴


Soundcloud にも音声をアップしましたです(・o・ゞ

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