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カテゴリー「音楽>作曲家>Giustini」の4件の記事

2023年12月12日 (火)

クリストフォリ1726年製ピアノの複製楽器による演奏動画/ジュスティーニ:「強弱がつく所謂ハンマー付チェンバロのためのソナタ集, op.1」から、ソナタ第3

大阪は堺の山本宣夫(やまもとのぶお)氏の制作による Cristofori 1726年製 ピアノの動画第3弾ですぜ😎

この Cristofori のピアノのために作曲・出版された最初の曲集として限られた範囲で有名wwwなのが、Lodovico Giustini(1685-1743) が Cristofori が亡くなった翌年の1732年にフィレンツェで出版したこのソナタ集です。題して
Sonate da cimbalo di piano e forte detto volgarmente di martelletti, op.1」でして、だいたいの感じで「強弱がつく所謂ハンマー付チェンバロのためのソナタ集, op.1」という邦題とできようかと思います。その中からソナタ第3番へ長調でございます。

Cristofori の1726年製の個体は鍵盤1つあたり弦が2本ずつ張られており、これすなはち due corde(=2本の弦)です。この個体では鍵盤全体を手で左にズラすことで1本だけの弦を叩くことができ、これすなはちホンモノの una corda(=1本の弦)です。この動画では第3楽章のみ una corda で弾いており、楽章間で切り替える様子が観察できるようにしましたよ〜😉

「最初のピアノはチェンバロの躯体に弦を叩く機構を取り付けただけの不完全なシロモノだった」と憶測するだけなら知識があろうがなかろうが容易ですが、いまだにピアノの専門家な方々ですら案外とこの程度の認識でとどまっているコトが少なからずなようで歯がゆいです。例によってと言うべきかw史実は全く異なっており、Cristofori のピアノはチェンバロよりはるかに複雑強靭に組まれていて、しかもこの1726年製の個体の打弦機構(アクション)はウナるしかないほどに洗練されています。

*打弦機構の動画をどうぞ〜✨✨✨


実は後年 Gottfried Silbermann(1683-1753) がピアノを作ったときも結局はこの1726年版のアクションの寸法はおろか形状までもまるっきりコピーを搭載していることが判っていまして、この形態が Cristofori のピアノアクションの完成形だった可能性が高い・・・ということは頭の外側wにでも留めてくださると嬉しいです。この1726年版のアクションは、1700年代初期にヨーロッパで複数現れていたピアノ誕生の萌芽の中でも圧倒的に抜きん出ています。

この山本宣夫氏による複製楽器は「未完成かつ不完全なシロモノ」という根拠のない憶測を吹っ飛ばすに足る驚くべき出来栄えで、やはりピアノという楽器は Cristofori という「真の天才による偉大な発明」だったのだろうなぁと思わされます。願わくば、この動画でその魔力のごく一部でも伝われば幸いです。

2016年12月12日 (月)

ジュスティーニの生誕祭によせて、『ハンマー付の強弱チェンバロのための12のソナタ集 op.1』から第10ソナタを、クリストフォリピアノの完全コピーで

今日(12/12)は、ピアノ黎明期のイタリアの作曲家、ロドヴィコ・ジュスティーニ(1685-1743)の誕生日ですよ〜(・o・ゞ

<最初期のピアノはチェンバロに打弦機構を組み込んだだけの未完成な楽器だった>というのが一般的な理解ですが、コレはと〜んでもない曲解でして。だいたい、書き手が想像だけで憶測した記述を信用するのはいい加減に止めて欲しい・・・とワタクシが主張し始めたのは21世紀になったばかりのタイミングだったりしますが、残念ながらこの憶測に基づく記述をコピペしたものばかりがweb上にはびこっている現状は全く変わっていません。

ジュスティーニは史上初めて「ピアノ」という楽器のための作品を出版した作曲家として、ごくごく限られた好事家の間で有名wです。

1732年、ピアノの発明者とされる Cristofori の没年の翌年にジュスティーニは、12のソナタ集<SONATE da cimbalo di piano e forte detto volgarmente di martelletti, op.1 (FIRENZE 1732)>を出版しました。この伊太利弁の題名には「ハンマー付の強弱チェンバロのために」と明記されており、すなはち、この曲集こそがピアノを演奏楽器として指定した最古の曲なのです。出版が Cristorofi 没年の翌年であること、何か意味があるかも知れませんし、ないかも知れません(・o・ゞ

この『12のソナタ集』から、第10ソナタを、1726年 Cristofori によるピアノの完全コピーで弾きました。2002年春、miniDVで録った動画です。意外と音がマトモに録れていてビックリです。

2015年4月15日 (水)

クリストフォリ1726年製ピアノの複製楽器による演奏動画/ジュスティーニ:ソナタ第10番

最初期のピアノで弾いた、ピアノ(=ハンマーで弦を叩いて発音する鍵盤楽器)のため、と明記された最古の曲をご紹介します。2001年に録ったminiDVからの資料ですが、意外と音がマトモに録れており、恥ずかしながら公開を決意しました (`・ω・´)キリッ

なお、古すぎるwまとめですが、ピアノの誕生周辺の資料はこのページにまとめています。ご興味があればご一読くださいませ!m(._.)m


ピアノは伊太利亜のCristoforiによって1700年少し前あたりに発明されたということになっていますが、この時期ヨーロッパでは打弦式鍵盤楽器の萌芽が複数生じていた形跡があります。
そのうち現存していて最も洗練されているものがCristoforiの手による3台(1720年、1722年、1726年)ですが、これら3台それぞれにさまざまなアイディアが盛り込まれており、単純に最古の個体に価値を見いだすのか最後の個体を最終形態として価値を見いだすのかは結論が出ませんし、そもそもこの<真の天才による偉大な発明>を現代人ごときが云々するのは意味のないことです。

ただし、ニューヨークのメトロポリタン博物館の所蔵で「現存する最古のピアノ」とされている1720年製のクリストフォリのピアノは後年に音域を高く変更する、という大改造がされていることは知っておくべきです。これに伴ってピアノの音質に重大な影響を及ぼす打弦点がクリストフォリオリジナルと異なる位置に変えられており、残念ながらもはやこの1720年製のクリストフォリピアノの音色の資料的価値は非常に乏しい・・・と言わざるを得ないのではないでしょうか。それに加えて、1938年に著名な音楽学者のクルト・ザックスの主導の下に響板とそれに付随する数多くのオリジナルの部品が交換されてしまった、という取り返しのつかない損害を被ってしまっています。

これに対して、大阪は堺のフォルテピアノ修復家の山本宣夫氏が1999年に完成させた、Cristofori晩年1726年製の楽器(現Leipzig大学所蔵)の複製は、最初期のピアノがまだまだ未熟な初歩楽器だった・・・という先入観を払拭してあまりある素晴らしい楽器で、この時代の(特に伊太利亜の)鍵盤楽器音楽の方向をまさしく指し示していた奇跡でありました。

この時代の伊太利亜の鍵盤楽器音楽については、ピアニストはおろか古楽器の演奏家ですら今ひとつパッとしない、という印象を持っているようですが、Cristoforiのピアノで演奏してみるとその香り立つ魅力に陶然となることもしばしばです。これは「時代の必然」と言っても差し支えなさそうな、楽曲と楽器とのベストマッチングでありましょう!

このジュスティーニの作曲による12のソナタ集<SONATE da cimbalo di piano e forte detto volgarmente di martelletti, op.1 (FIRENZE 1732)>は、題名に「ハンマー付の強弱チェンバロのために」と明記されており、ピアノを演奏楽器として指定した最古の曲であるとされています。出版された1732年はCristoforiが没した翌年、何か意味があるかも知れませんし、ないかも知れません(・o・ゞ

作曲当時の創造力の源泉たる楽器に対する興味(ワクワク感とも言えますネ)無くして、いわゆる「クラシック音楽」と称する音楽の理解は浅くならざるを得ません。どうぞ、楽器も曲も存分にお楽しみくださりますように。

ロドヴィコ・ジュスティーニ:ハンマー付の強弱チェンバロのためのソナタ集 op.1 より、第10ソナタ ヘ短調
(2002年4月13日、東京、サローネクリストフォリ成城 演奏表現学会 例会)
Lodovico Giustini(1685-1743) SUONATA X in F Minor from "SONATE da cimbalo di piano e forte detto volgarmente di martelletti(1732)" played on a copy of Cristofori Piano (Nobuo Yamamoto 1999) based on the 1726 model (Leipzig)
1. Alemanda - Affettuoso
2. Canzone - Tempo di Gauotta
3. Alemanda - Grave, e Affettuoso
4. Corrente - Allegro assai
(2002.4.13. Tokyo, JAPAN)



・ジュスティーニ ソナタ集、初版(Firenze, 1732)の表紙
Giustini_cover

2015年4月13日 (月)

クリストフォリ1726年製ピアノの複製楽器による演奏動画/ジュスティーニ:ソナタ第8番

最初期のピアノで弾いた、ピアノ(=ハンマーで弦を叩いて発音する鍵盤楽器)のため、と明記された最古の曲をご紹介します。2001年に録ったminiDVからの資料ですが、意外と音がマトモに録れており、恥ずかしながら公開を決意しました (`・ω・´)キリッ

なお、古すぎるwまとめですが、ピアノの誕生周辺の資料はこのページにまとめています。ご興味があればご一読くださいませ!m(._.)m


ピアノは伊太利亜のCristoforiによって1700年少し前あたりに発明されたということになっていますが、この時期ヨーロッパでは打弦式鍵盤楽器の萌芽が複数生じていた形跡があります。
そのうち現存していて最も洗練されているものがCristoforiの手による3台(1720年、1722年、1726年)ですが、これら3台それぞれにさまざまなアイディアが盛り込まれており、単純に最古の個体に価値を見いだすのか最後の個体を最終形態として価値を見いだすのかは結論が出ませんし、そもそもこの<真の天才による偉大な発明>を現代人ごときが云々するのは意味のないことです。

ただし、ニューヨークのメトロポリタン博物館の所蔵で「現存する最古のピアノ」とされている1720年製のクリストフォリのピアノは後年に音域を高く変更する、という大改造がされていることは知っておくべきです。これに伴ってピアノの音質に重大な影響を及ぼす打弦点がクリストフォリオリジナルと異なる位置に変えられており、残念ながらもはやこの1720年製のクリストフォリピアノの音色の資料的価値は非常に乏しい・・・と言わざるを得ないのではないでしょうか。それに加えて、1938年に著名な音楽学者のクルト・ザックスの主導の下に響板とそれに付随する数多くのオリジナルの部品が交換されてしまった、という取り返しのつかない損害を被ってしまっています。

これに対して、大阪は堺のフォルテピアノ修復家の山本宣夫氏が1999年に完成させた、Cristofori晩年1726年製の楽器(現Leipzig大学所蔵)の複製は、最初期のピアノがまだまだ未熟な初歩楽器だった・・・という先入観を払拭してあまりある素晴らしい楽器で、この時代の(特に伊太利亜の)鍵盤楽器音楽の方向をまさしく指し示していた奇跡でありました。

この時代の伊太利亜の鍵盤楽器音楽については、ピアニストはおろか古楽器の演奏家ですら今ひとつパッとしない、という印象を持っているようですが、Cristoforiのピアノで演奏してみるとその香り立つ魅力に陶然となることもしばしばです。これは「時代の必然」と言っても差し支えなさそうな、楽曲と楽器とのベストマッチングでありましょう!

このジュスティーニの作曲による12のソナタ集<SONATE da cimbalo di piano e forte detto volgarmente di martelletti, op.1 (FIRENZE 1732)>は、題名に「ハンマー付の強弱チェンバロのために」と明記されており、ピアノを演奏楽器として指定した最古の曲であるとされています。出版された1732年はCristoforiが没した翌年、何か意味があるかも知れませんし、ないかも知れません(・o・ゞ

作曲当時の創造力の源泉たる楽器に対する興味(ワクワク感とも言えますネ)無くして、いわゆる「クラシック音楽」と称する音楽の理解は浅くならざるを得ません。どうぞ、楽器も曲も存分にお楽しみくださりますように。

ロドヴィコ・ジュスティーニ:ハンマー付の強弱チェンバロのためのソナタ集 op.1 より、第8ソナタ イ長調
(2001年4月1日、帯広、相原求一朗デッサン館)
Lodovico Giustini(1685-1743) SUONATA VIII in A Major from "SONATE da cimbalo di piano e forte detto volgarmente di martelletti(1732)" played on a copy of Cristofori Piano (Nobuo Yamamoto 1999) based on the 1726 model (Leipzig)
1. Sarabanda - Affettuoso
2. Allegro
3. Rondo - Affettuoso
4. Giga - Prestissimo
(2001.4.1. Obihiro, JAPAN)



・ジュスティーニ ソナタ集、初版(Firenze, 1732)の表紙
Giustini_cover

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