フォト

カテゴリー

カテゴリー「音楽>楽器>リードオルガン」の148件の記事

2026年3月 6日 (金)

日本樂器(現:ヤマハ)の1924年製第拾九號オルガンで、ビーズリーの「The Vesper Voluntaries Book 4」から第2曲『ゆるやかな楽章』を

1924(大正14)年製の山葉風琴の動画2本め、全音域にわたって4, 8, 16フィートを備えた13ストップの堂々たる第拾九號です。国産リードオルガンでは珍しく楽器の天板を開けて楽音が前に出てくる仕掛けが備えられており、この動画でもちゃんと開けて弾きました。

1909(明治42)年の共益商社楽器店のカタログに<新製第拾九號>と記載があり、説明には<當拾九號形風琴ハ曩(さき)ニ東京音樂學校ノ御考案ニ基キ日本樂器製造株式會社ニ於テ種々工夫ヲ凝シ製造納附セシ處該校(該校=東京音樂學校)ヨリ風琴トシテ此ニ過グルモノナシトノ御讃辭ヲ博シタルモノニシテ音色善美音量壮大製作マタ堅固ナレバ中等已上(中等以上)ノ學校教授用ニハ尤モ適當ノモノニ御座候>と。

(訳)当19号形リードオルガンはさきに東京音楽学校(現:東京藝術大学)の考案にもとづいて日本楽器で種々工夫を凝らして製造納入したところ東京音楽学校よりリードオルガンとしてこれに過ぎるものなしと御賛辞を博したもので、音色善美音量壮大かつ堅固に作られておりますので中等以上の学校教育用には最も適当なもので御座います。

なるほど、確かにこの躯体全体の豊かで多彩な響きっぷりは素晴らしく、なによりもこの個体の音色はおよそ本邦産とは思えず、ひょっとしたらリードが国産ではなく舶来品なのではないかとすら感じさせられました。まともなオルガンはストップ操作の結果、単純に違う音高の複数の音が重なるだけでなく音色自体がちゃぁんと変化するのですが、この第拾九號ではまさにこのような音色変化を実感できました。大正から昭和ヒト桁くらいまで、実は日本では相当なレベルの文化が花開いていたんだなぁと今さらながら思わされましたぞ。

この個体は女子聖学院中学校・高等学校で生徒向けに開放されているもので、ご縁をいただき演奏することができました。御年100歳超えで普段は積極的には弾かれていないようですが、しっかり丁寧に空気を送って音響振動がしみ込むように弾いたところ、ものの10分程度で素晴らしい響きが甦りました。ただそれはあちこちの部材が動き出していることに他ならず、ともすればビビり振動を引き起こしてしまいますが、ご老体ですからそれをも受け入れるのが弾き手としての御作法でございます。

曲はビーズリー/James Charles Beazley(1850-1929)作曲による「The Vesper Voluntaries Book 4」の第2曲『ゆるやかな楽章』です。 ストップは8フィート2列で+16フィート1列で弾きました。
*楽譜はこちらから入手できます
https://store.piascore.com/scores/399492

ビーズリー/James Charles Beazley(1850-1929)はイングランド最南部のワイト島(the Isle of Wight)に生まれています。「The Vesper Voluntaries for the Organ, Harmonium, or American Organ」の Book 40 も Beazley の手によるものらしいですが、それ以外の情報は見つけられていません。



まともに楽器として機能しているリードオルガンは、小学校低学年の授業で使われていた程度の楽器、という足踏みオルガンのイメージとは全く異なる堂々たる楽器です。管楽器や歌唱のイメージは「レガート」という表現に取り組む上で必要不可欠。リードオルガンは管楽器かつ持続音を得意とする楽器で、しかも空気を足踏みペダルで送るのですから工夫次第で強弱表現が可能、というかなり楽しい楽器です。素直で温かくしかも演奏者の悪知恵w次第で管楽器としての多種多彩な表現ができる魅力は、一部の世界だけに留めさせるにはあまりにも惜しい世界です。

2026年3月 3日 (火)

日本樂器(現:ヤマハ)の1924年製第拾九號オルガンで、ヘインズの「The Vesper Voluntaries Book 3」から第3曲『プレリュード』を

1924(大正14)年製の山葉風琴、全音域にわたって4, 8, 16フィートを備えた13ストップの堂々たる第拾九號です。国産リードオルガンでは珍しく楽器の天板を開けて楽音が前に出てくる仕掛けが備えられており、この動画でもちゃんと開けて弾きました。

1909(明治42)年の共益商社楽器店のカタログに<新製第拾九號>と記載があり、説明には<當拾九號形風琴ハ曩(さき)ニ東京音樂學校ノ御考案ニ基キ日本樂器製造株式會社ニ於テ種々工夫ヲ凝シ製造納附セシ處該校(該校=東京音樂學校)ヨリ風琴トシテ此ニ過グルモノナシトノ御讃辭ヲ博シタルモノニシテ音色善美音量壮大製作マタ堅固ナレバ中等已上(中等以上)ノ學校教授用ニハ尤モ適當ノモノニ御座候>と。

(訳)当19号形リードオルガンはさきに東京音楽学校(現:東京藝術大学)の考案にもとづいて日本楽器で種々工夫を凝らして製造納入したところ東京音楽学校よりリードオルガンとしてこれに過ぎるものなしと御賛辞を博したもので、音色善く美しく音量壮大かつ堅固に作られておりますので中等以上の学校教育用には最も適当なもので御座います。

なるほど、確かにこの躯体全体の豊かで多彩な響きっぷりは素晴らしく、なによりもこの個体の音色はおよそ本邦産とは思えず、ひょっとしたらリードが国産ではなく舶来品なのではないかとすら感じさせられました。まともなオルガンはストップ操作の結果、単純に違う音高の複数の音が重なるだけでなく音色自体がちゃぁんと変化するのですが、この第拾九號ではまさにこのような音色変化を実感できました。大正から昭和ヒト桁くらいまで、実は日本では相当なレベルの文化が花開いていたんだなぁと今さらながら思わされましたぞ。

この個体は女子聖学院中学校・高等学校で生徒向けに開放されているもので、ご縁をいただき演奏することができました。御年100歳超えで普段は積極的には弾かれていないようですが、しっかり丁寧に空気を送って音響振動がしみ込むように弾いたところ、ものの10分程度で素晴らしい響きが甦りました。ただそれはあちこちの部材が動き出していることに他ならず、ともすればビビり振動を引き起こしてしまいますが、ご老体ですからそれをも受け入れるのが弾き手としての御作法でございます。

曲はヘインズ/William Haynes(1829-1901) 作曲による「The Vesper Voluntaries Book 3」の第3曲『プレリュード』です。 ストップは最初は8フィート2列で、途中から低音域に16フィートを加えて弾きました。
*楽譜はこちらから入手できます
https://store.piascore.com/scores/321860

ヘインズ/William Haynes(1829-1901)はイギリスの作曲家・オルガニストで、Malvernの「Great Malvern Priory」のオルガニストを1850年から1893年の43年(!)務めていました。



まともに楽器として機能しているリードオルガンは、小学校低学年の授業で使われていた程度の楽器、という足踏みオルガンのイメージとは全く異なる堂々たる楽器です。管楽器や歌唱のイメージは「レガート」という表現に取り組む上で必要不可欠。リードオルガンは管楽器かつ持続音を得意とする楽器で、しかも空気を足踏みペダルで送るのですから工夫次第で強弱表現が可能、というかなり楽しい楽器です。素直で温かくしかも演奏者の悪知恵w次第で管楽器としての多種多彩な表現ができる魅力は、一部の世界だけに留めさせるにはあまりにも惜しい世界です。

2025年8月 2日 (土)

YAMAHAの1954年製5号オルガンで、ケイレブ・シンパーの「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」シリーズの第1巻から、第7曲『Opening Voluntary』を

イギリスのオルガニストそして作曲家のケイレブ・シンパー/Caleb Simper(1856-1942)の「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」シリーズの第1巻から、第7曲『Opening Voluntary』を、YAMAHAの1954年製5号オルガンで弾きました。
*楽譜はこちらから入手できます
https://store.piascore.com/scores/354218

ケイレブ・シンパーは普通の愛好家にとって親しみやすく平易な作品を数多く作曲しており、それこそ何万冊の単位でむちゃくちゃに「売れて」いたんですね〜。この「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」シリーズだけでも12冊出版されておりまして、実はこのうちオマケが入っているものが5冊もあるという、まぁ似たような雰囲気の曲も少なくはないにしても、多作家ってぇヤツはホントにスゴいんだなぁと。

・リードオルガン修復:渡邉祐治
https://pianoreedorgan.jimdofree.com/

場所は小淵沢の別荘地の一角に2021年6月にオープンしたスペース「スタヂオぴーの」です。もとはブロンズの鋳造のためのしっかりしたスペースでそれをリフォームしたとのことで、30人程度がゆったりくつろげます。天井が高く構造は頑丈、素直な残響が心地よくこれからの展開が楽しみですよ〜。ここ所有のおなじみ 渡邉祐治氏 の修復によるYAMAHAの1954年製5号オルガンを主に使ってこないだ2025年7月26日に行ったコンサートのライヴ動画です。

YAMAHAの5号オルガンは戦後まで長く作り続けられ、教会で見かけることも少なくないモデルですが、ここの1954年製の楽器は木部が合板でなく無垢材の時代の生き残りです。修復は万全でこのスタヂオぴーのの環境も素晴らしく、イイ音で入ってますよ〜👌

2025年7月27日 (日)

7月25〜26日/鍵盤楽器全般セミナー@小淵沢、スタヂオぴーの

Img_1958s

いつの間にか恒例になっている、1954年製リードオルガン、1952年製カワイグランドピアノNo.500、そしてウチのモーツァルトの旅行用クラヴィコードを使った鍵盤楽器寄り合い怪&演奏怪、つつがなく怪催でござりましたぞ👌

Img_1957s

場所は小淵沢の別荘地の一角、スタヂオぴーの、昨今の殺人的な暑さゆえ涼しい高原の避暑地というワケというほどにはなりませんが、今年はそこそこしのぎやすくてホッ。

Img_1959s

いつもの才気堂の渡辺祐治さんが完全オーバーホールしてカシュー塗装まできっちりとやり直した無垢材でできた1954年製ヤマハ5号リードオルガン、この場所に来て5年ほどですが良い環境に慣れてきたおかげか、鳴りも音色もすこぶる快調で大ウケと相成りました✨

2025年3月19日 (水)

Caleb Simper(1856-1942)「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」第2巻から第1曲『Opening Voluntary』を、1893年ごろシカゴコテージオルガン社の豪華棚付きリードオルガンで

ピアピットに展示していた才気堂、渡邉祐治さんからの足踏みオルガン、なんとアップし忘れていましたw(*´-`)

北米はリードオルガンの本場、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのアップライトピアノが家庭を席巻する前の時代には、それこそ星の数ほどのメーカーがこのような豪華な棚つき大型リードオルガンをこぞって作っており、柔らかで温かくそして大らかな音色の世界が普通の家庭の中に豊かに広がっておりました。Chicago Cottage Organ社は、1800年後半から1900年初めまでリードオルガンを大量に作っていた大手メーカーです。開拓者精神にあふれていた当時のアメリカを彷彿とさせる世界をどうぞ〜!(ヤマハもカワイもピアノが最初ではなく、足踏みオルガンの製造が最初だったことも知っていただきたく!)

・お問合せ→リードオルガン修復:才気堂、渡邉祐治
https://pianoreedorgan.jimdofree.com/

イギリスのオルガニストそして作曲家のケイレブ・シンパー/Caleb Simper(1856-1942)の「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」シリーズの第2巻から、第5曲『Meditation』を、ボストン近郊の Bridgewater で1930年代始めまで頑張っていたパッカード社1905年製の大型棚つきリードオルガンで弾きました。このベル社のリードオルガンは長い(=低い)16フィートのストップが低音側だけでなく全音域にわたって使えるのが特徴ですが、この動画では普通に8フィート+4フィートで弾きました。

ケイレブ・シンパーは普通の愛好家にとって親しみやすく平易な作品を数多く作曲しており、それこそ何万冊の単位でむちゃくちゃに「売れて」いたんですね〜。この「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」シリーズだけでも12冊出版されておりまして、その第2巻の第1曲がこの『Opening Voluntary』です。実はこの「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」はオマケが入っているものが5冊もあるという、似たような雰囲気の曲もまぁ少なくはないにしても、多作家ってぇヤツはホントにスゴいんだなぁと。

このベル社のリードオルガンは1900年前後に北米で隆盛を極めていた豪華棚付きリードオルガンの生き残り。小学校低学年の授業で使われていた程度の楽器、というリードオルガンのイメージとは全く異なる堂々たる楽器です。管楽器や歌唱のイメージは「レガート」という表現に取り組む上で必要不可欠。リードオルガンは管楽器かつ持続音を得意とする楽器で、しかも空気を足踏みペダルで送るのですから工夫次第で強弱表現が可能、というかなり楽しい楽器です。素直で温かくしかも演奏者の悪知恵w次第で管楽器としての多種多彩な表現ができる魅力は、一部の世界だけに留めさせるにはあまりにも惜しい世界です。

2024年5月17日 (金)

八ヶ岳リードオルガン美術館所蔵、キンボール社1900年代初頭製らしき豪華棚付きリードオルガンで「Le trésor des chapelles」第24巻『Morceaux religieux, op.25』から、第4曲「Communion」を

昨年2023年8月末に「八ヶ岳リードオルガン美術館」所蔵のアメリカはキンボール社の名器、おそらく20世紀初頭に作られた豪華棚付きリードオルガン(9ストップ)を使わせていただきました。「八ヶ岳リードオルガン美術館」は小海線の甲斐小泉駅からワリと急な坂道を20分ほど登った別荘地の一角にある瀟洒な建物で、所狭しとリードオルガンやらハルモニウムやらが並んでいて試奏もできる素敵な場所です。ココはけっこう前から気になっていたのですが、コレほど大切な場所をなんとなく後回しにしていた自分ってばほんっっっと見る目がないなぁ💦

Le trésor des chapelles」は1864〜1865年になんと30冊も刊行された、小さめのオルガンまたはハルモニウムのための曲集です。当時、教会が増えてオルガン奏楽者の需要が高まっていたにも関わらずそのために必要な安価で難しくない曲集はまだまだ足りていなかったようで、それを解消するべく一挙に30冊もの作品集を刊行した見識、素晴らしいと思います。30冊全てが作曲家でありオルガニストでもある作者の手による作品集で、実用的にも文句なかったことでしょう。

Le trésor des chapelles」の第24巻は Édouard Schluty(1826-1866) なる作曲者による曲集で Morceaux religieux, op.25 と題されていおり、この動画はその四曲目の Communion です。Édouard Schluty は、フランス南部アルザス地方のPézenas/ペズナの教会のオルガニストを1851年から1866年に短い生涯を終えるまで努めており、その作品が弟の Jean Joseph Schluty(1829-1920) が1828年に寄稿した作品の中に1曲引用されています。Édouard Schluty はこの第24巻を見る限り美しい作品を生み出せる霊感に恵まれた作曲家に思え、弟がその早すぎる死を悼んで1曲引用した・・・というのはいかにもありそうに思えます。



このキンボール社のリードオルガンは1900年前後に北米で隆盛を極めていた豪華棚付きリードオルガンの生き残り。小学校低学年の授業で使われていた程度の楽器、というリードオルガンのイメージとは全く異なる堂々たる楽器です。管楽器や歌唱のイメージは「レガート」という表現に取り組む上で必要不可欠。リードオルガンは管楽器かつ持続音を得意とする楽器で、しかも空気を足踏みペダルで送るのですから工夫次第で強弱表現が可能、というかなり楽しい楽器です。素直で温かくしかも演奏者の悪知恵w次第で管楽器としての多種多彩な表現ができる魅力は、一部の世界だけに留めさせるにはあまりにも惜しい世界です。

2024年3月26日 (火)

Caleb Simper(1856-1942)「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」第2巻から第9曲『Adagio』を、1893年ごろシカゴコテージオルガン社の豪華棚付きリードオルガンで

才気堂、渡邉祐治さんからの足踏みオルガンがピアピットに展示ちぅですぞ(*´-`)

イギリスのオルガニストそして作曲家のケイレブ・シンパー/Caleb Simper(1856-1942)の「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」シリーズの第2巻から、第9曲『Adagio』を、ボストン近郊の Bridgewater で1930年代始めまで頑張っていたパッカード社1905年製の大型棚つきリードオルガンで弾きました。このベル社のリードオルガンは長い(=低い)16フィートのストップが低音側だけでなく全音域にわたって使えるのが特徴ですが、この動画では単純に8フィート1本に甘い揺れが入る「VOX HUMANA」をかけてみました。「VOX HUMANA」は要は「human voice」でして、扇風機に向かって声を出すと細かく強弱がついてあたかも人の声のような表情っぽくなるという、いかにもアナログな音質変換装置です。コレ、音程はほぼ変わらないのでヴィブラートではないのですが、厳密なコト指摘しても仕方ないのかなぁとかなんとか😅

ケイレブ・シンパーは普通の愛好家にとって親しみやすく平易な作品を数多く作曲しており、それこそ何万冊の単位でむちゃくちゃに「売れて」いたんですね〜。この「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」シリーズだけでも12冊出版されておりまして、実はこのうちオマケが入っているものが5冊もあるという、まぁ似たような雰囲気の曲も少なくはないにしても、多作家ってぇヤツはホントにスゴいんだなぁと。

・お問合せ→リードオルガン修復:才気堂、渡邉祐治
https://pianoreedorgan.jimdofree.com/

*ピアノ工房ピアピット(千葉県印西市)
ピアノは本気で直せば古いピアノでも必ずよみがえります
http://www.piapit.com/repair.html



このベル社のリードオルガンは1900年前後に北米で隆盛を極めていた豪華棚付きリードオルガンの生き残り。小学校低学年の授業で使われていた程度の楽器、というリードオルガンのイメージとは全く異なる堂々たる楽器です。管楽器や歌唱のイメージは「レガート」という表現に取り組む上で必要不可欠。リードオルガンは管楽器かつ持続音を得意とする楽器で、しかも空気を足踏みペダルで送るのですから工夫次第で強弱表現が可能、というかなり楽しい楽器です。素直で温かくしかも演奏者の悪知恵w次第で管楽器としての多種多彩な表現ができる魅力は、一部の世界だけに留めさせるにはあまりにも惜しい世界です。

2024年2月12日 (月)

Caleb Simper(1856-1942)「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」第2巻から第3曲『Offertoire』を、戦前1930年代前後の日本樂器 第八號 リードオルガンで

戦前1930年代前後製造、未修復の日本樂器 第八號 リードオルガンで、イギリスのオルガニストそして作曲家のケイレブ・シンパー/Caleb Simper(1856-1942)の「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」シリーズの第2巻から、第3曲『Offertoire』を弾きました。

この楽器はあざみ野ガーデンズにほど近い、ガーデニング・エクステリアの『LEAD(リード)』の店舗内にストリートオルガンと言う位置づけで無料開放されている楽器です。なんでも社長のおばあさまだったかの蔵でこの楽器を見つけて、雰囲気も良くなりそうだし置いてみたのだとか。リードオルガン(=足踏みオルガン)は100万台を優に超えるくらいの台数作られたという説もあり、旧家の蔵から出てくるというのはリードオルガンあるあるだったりするんですよ〜😉

ただこの楽器は修復の手が全く入っていないので出ない音も数音で雑音も数音、足踏みペダルからは軋み雑音で演奏会の用途にはさすがに使えません。ただ置いてあって雰囲気を愉しむというストリートの楽器らしい存在ですが、LEADあざみ野の建物はなかなか素直な音がする場所でして、戦前の日本製の楽器独特の低音域の粘りのある充実感は充分に愉しめました。展示してある小物類も実にセンス良く、とっても心地よい空間でした。

・LEADあざみ野
https://yokohama-lead.net/

ケイレブ・シンパーは普通の愛好家にとって親しみやすく平易な作品を数多く作曲しており、それこそ何万冊の単位でむちゃくちゃに「売れて」いたんですね〜。この「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」シリーズだけでも12冊出版されておりまして、その第2巻の第3曲がこの『Offertoire』です。実はこの「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」はオマケが入っているものが5冊もあるという、似たような雰囲気の曲もまぁ少なくはないにしても、多作家ってぇヤツはホントにスゴいんだなぁと思わされます。

2024年1月 4日 (木)

八ヶ岳リードオルガン美術館所蔵、キンボール社1900年代初頭製らしき豪華棚付きリードオルガンで「Le trésor des chapelles」第24巻『Morceaux religieux, op.25』から、第1曲「Offertoire」を

昨年2023年8月末に「八ヶ岳リードオルガン美術館」所蔵のアメリカはキンボール社の名器、おそらく20世紀初頭に作られた豪華棚付きリードオルガン(9ストップ)を使わせていただきました。「八ヶ岳リードオルガン美術館」は小海線の甲斐小泉駅からワリと急な坂道を20分ほど登った別荘地の一角にある瀟洒な建物で、所狭しとリードオルガンやらハルモニウムやらが並んでいて試奏もできる素敵な場所です。ココはけっこう前から気になっていたのですが、コレほど大切な場所をなんとなく後回しにしていた自分ってばほんっっっと見る目がないなぁ💦

Le trésor des chapelles」は1864〜1865年になんと30冊も刊行された、小さめのオルガンまたはハルモニウムのための曲集です。当時、教会が増えてオルガン奏楽者の需要が高まっていたにも関わらずそのために必要な安価で難しくない曲集はまだまだ足りていなかったようで、それを解消するべく一挙に30冊もの作品集を刊行した見識、素晴らしいと思います。30冊全てが作曲家でありオルガニストでもある作者の手による作品集で、実用的にも文句なかったことでしょう。

Le trésor des chapelles」の第24巻は Édouard Schluty(1826-1866) なる作曲者による曲集で Morceaux religieux, op.25 と題されていおり、この動画はその一曲目の Offertoire です。Édouard Schluty は、フランス南部アルザス地方のPézenas/ペズナの教会のオルガニストを1851年から1866年に短い生涯を終えるまで努めており、その作品が弟の Jean Joseph Schluty(1829-1920) が1828年に寄稿した作品の中に1曲引用されています。Édouard Schluty はこの第24巻を見る限り美しい作品を生み出せる霊感に恵まれた作曲家に思え、弟がその早すぎる死を悼んで1曲引用した・・・というのはいかにもありそうに思えます。



このキンボール社のリードオルガンは1900年前後に北米で隆盛を極めていた豪華棚付きリードオルガンの生き残り。小学校低学年の授業で使われていた程度の楽器、というリードオルガンのイメージとは全く異なる堂々たる楽器です。管楽器や歌唱のイメージは「レガート」という表現に取り組む上で必要不可欠。リードオルガンは管楽器かつ持続音を得意とする楽器で、しかも空気を足踏みペダルで送るのですから工夫次第で強弱表現が可能、というかなり楽しい楽器です。素直で温かくしかも演奏者の悪知恵w次第で管楽器としての多種多彩な表現ができる魅力は、一部の世界だけに留めさせるにはあまりにも惜しい世界です。

2023年12月20日 (水)

Joseph Edward Newell (1843-c1936)『The Vesper Voluntaries Book 27』から第10曲『Verset』を、日本樂器 第七號 1905(明治38)年製リードオルガンで

日本樂器 第七號 1905(明治38)年製リードオルガンで、Joseph Edward Newell (1843-c.1936) による『The Vesper Voluntaries, Book 27』の第10曲「Verset」を弾きました。
*楽譜の入手はココからどうぞ!
https://store.piascore.com/scores/316967

才気堂、 渡邉祐治さんの塗装を含めた完全修復足踏みオルガンですぞ(*´-`)
ヤマハもカワイもピアノの製造ではなく足踏みオルガンの製造から始まっています。この足踏みオルガンは現代のヤマハである日本樂器1905(明治38)年製造、ヤマハ初のピアノを1900年に作ってようやく5年経ったぐらいのタイミングの楽器ですよ〜。

・お問合せ→リードオルガン修復:才気堂、渡邉祐治
https://pianoreedorgan.jimdofree.com/

J.E.Newell という作曲家の名前は手鍵盤のためのオルガン曲集にはかなりの頻度で登場しますが、非常に情報が少なく往生します(没年が怪しいというのが象徴的な気もします)。この時代は世の中に存在する音のうち蓄音機以外のほぼ全てが生音であり、生楽器の需要は現代とは考えられないほど多かったのでした。ということは、この時代は Newell のような「普通の」音楽家がそれこそそこら中で活躍していた時代で、機械に人間が使い倒されるばかりの現代とは違って人それぞれが個性的な能力に応じて幅広く活躍できた時代だったんですね〜 (*´-`)


より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

イベント・演奏会 グルメ・クッキング ファッション・アクセサリ レッスン 写真>Instagram 写真>昔のレンズ/カメラ 学問・資格 彫金 文化・芸術 旅行>アジア>フィリピン 旅行>アジア>中国 旅行>アジア>台湾 旅行>アジア>韓国 旅行>アジア>香港 旅行>ヨーロッパ 旅行>中南米 旅行>北米 旅行>北米>アメリカ 旅行>日本>中国地方 旅行>日本>中部地方 旅行>日本>九州地方 旅行>日本>北海道 旅行>日本>北陸地方 旅行>日本>四国 旅行>日本>山陰 旅行>日本>東北地方 旅行>日本>甲信越 旅行>日本>近畿地方 旅行>日本>関東地方 旅行・地域 日記・コラム・つぶやき 書籍・雑誌 萬年筆 鉄道 鉄道>写真 鉄道>模型 鉄道>模型>マヌ34 音楽 音楽>Soundcloud 音楽>YouTube 音楽>アンドレ・ギャニオン 音楽>オーディオ 音楽>クリストフォリピアノ 音楽>ピアノなど鍵盤楽器の歴史 音楽>ピアノ工房ピアピット 音楽>メーカー>ADLER Organ 音楽>メーカー>BECHSTEIN 音楽>メーカー>BELL Organ 音楽>メーカー>BELTON 音楽>メーカー>Blüthner 音楽>メーカー>Broadwood 音楽>メーカー>Bösendorfer 音楽>メーカー>Chicago Cottage Organ 音楽>メーカー>DIAPASON 音楽>メーカー>EASTEIN 音楽>メーカー>EHRBAR 音楽>メーカー>ENSCHU 音楽>メーカー>Farrand & Votey Organ 音楽>メーカー>FAZIOLI 音楽>メーカー>Grotrian 音楽>メーカー>Gröber 音楽>メーカー>HORUGEL 音楽>メーカー>KAWAI 音楽>メーカー>MATSUMOTO 音楽>メーカー>NISHIKAWA Organ 音楽>メーカー>Packard Organ 音楽>メーカー>PETROF 音楽>メーカー>Pleyel 音楽>メーカー>Steinway & Sons 音楽>メーカー>Streicher 音楽>メーカー>YAMAHA 音楽>中島みゆき 音楽>作曲家>Alberti 音楽>作曲家>Alkan 音楽>作曲家>Bach 音楽>作曲家>Battmann 音楽>作曲家>Beethoven 音楽>作曲家>Boëllmann 音楽>作曲家>Boëly 音楽>作曲家>Brahms 音楽>作曲家>Brambach 音楽>作曲家>Bruckner 音楽>作曲家>Burgmüller 音楽>作曲家>Buxtehude 音楽>作曲家>Böhm 音楽>作曲家>Cabezón 音楽>作曲家>Cage(1912-1992) 音楽>作曲家>Caplet 音楽>作曲家>Chaminade 音楽>作曲家>Chopin 音楽>作曲家>Clark 音楽>作曲家>Clementi 音楽>作曲家>Couperin 音楽>作曲家>Czerny 音楽>作曲家>Debussy 音楽>作曲家>Dubery(1948- ) 音楽>作曲家>Dvořák 音楽>作曲家>Fauré 音楽>作曲家>Fibich 音楽>作曲家>Field 音楽>作曲家>Fischer 音楽>作曲家>Flor Peeters(1903-1986) 音楽>作曲家>Franck 音楽>作曲家>Frescobaldi 音楽>作曲家>Froberger 音楽>作曲家>Gael 音楽>作曲家>Galuppi 音楽>作曲家>Giustini 音楽>作曲家>Godard 音楽>作曲家>Granados 音楽>作曲家>Grieg 音楽>作曲家>Hahn 音楽>作曲家>Haydn 音楽>作曲家>Hindemith 音楽>作曲家>Händel 音楽>作曲家>Janáček 音楽>作曲家>Lefébure-Wély 音楽>作曲家>Liszt 音楽>作曲家>MacDowell 音楽>作曲家>Marcello 音楽>作曲家>Massenet 音楽>作曲家>Mendelssohn 音楽>作曲家>Merikanto 音楽>作曲家>Moir 音楽>作曲家>Mompou 音楽>作曲家>Monti 音楽>作曲家>Mozart 音楽>作曲家>Pachelbel 音楽>作曲家>Ponce 音楽>作曲家>Reinecke 音楽>作曲家>Rinck 音楽>作曲家>Royer 音楽>作曲家>Rubinstein 音楽>作曲家>Satie 音楽>作曲家>Scarlatti 音楽>作曲家>Schubert 音楽>作曲家>Schumann 音楽>作曲家>Scriabin 音楽>作曲家>Sibelius 音楽>作曲家>Suk 音楽>作曲家>Séverac 音楽>作曲家>Tchaikovsky 音楽>作曲家>Wagner 音楽>作曲家>三島元樹 音楽>作曲家>中国人作曲家 音楽>作曲家>吉松隆 音楽>作曲家>大中寅二 音楽>作曲家>鷲見五郎 音楽>楽器>アップライトピアノ 音楽>楽器>クラヴィコード 音楽>楽器>スクエアピアノ 音楽>楽器>チェンバロ 音楽>楽器>フォルテピアノ 音楽>楽器>リードオルガン 音楽>楽器>特殊管楽器 音楽>楽器>鍵盤ハーモニカ 音楽>楽譜作成(lilypond) 音楽>蓄音器 音楽>高橋靖志ハープシコード&クラヴィコード 音楽に思うこと

2026年3月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

最近のコメント

無料ブログはココログ