中島みゆき 作詞/作曲『童話』ピアノソロ:1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)で
中島みゆきの『童話』を、いつもの1894年製アンティークピアノで弾きました(*´-`)
*この編曲譜はこちらから入手できます
https://store.piascore.com/scores/391712
『童話』は中島みゆきの44作め(!)のアルバム《世界が違って見える日》のど真ん中に収録されています。
2020年に中島みゆきのラストツアーとして10都市11会場24公演が予定されていた『中島みゆき 2020 ラスト・ツアー《結果オーライ》』は新型コロナウイルスの拡大の影響で8公演のみで終了、幻のツアーとなってしまいました。その後人類はこの厄介極まる感染症に翻弄され続けましたが、ようやく付き合いがわかってきて世の中が落ち着いてきたタイミングの2023年3月にリリースされたアルバムが、この《世界が違って見える日》であります。このアルバムのタイトル《世界が違って見える日》から、戦争や感染症に翻弄された2020年以来数年間の人類世界を類推するのは容易でしょう。それでいながら中島みゆきの尋常ならざる洞察力は、このアルバムを前向きなものとして作ってのけたのです。
例によってですが、この曲の『童話』というタイトルから我々が単純に思い描ける程度の歌詞ではまっっったくナイところ、やはりやはり安定の中島みゆきでございますな。しかも、いかにも童話っぽいオルゴールの出だしで油断させられていきなりのロックな調子にガツンとヤラれるという瀬尾一三のアレンジもやはりむっちゃ冴えてますね〜。
<美しい物語 読み聞かせていた
良い夢を見なさいと 寝かしつけていた
おはなしのお終いは どれも必ず
報われた幸せで 満ちあふれていた
目を醒まして見るのは 片付かない結末
どうして 善い人が まだ泣いているの
童話は童話 世界は世界
子供たちに何んと言えばいいのだろうか>
この歌詞はヒネって読み解くようなモンじゃなく、単純にそのまま受け取るのが力量をストレートに感じ取れそうな気がします。否、いかにこの歌詞をヒネって読み解こうとしても、ここまで現実を冷酷に残酷に見据えられては、頷くより他ないでしょうね。最初の4行をひっくり返す次の2行のコントラストの強烈なことと言ったら、もう眩暈すらしますよ。実は、この5行めの<片付かない結末>の箇所で歌詞の方向性がガラッと変わると同時になかなか不思議な和音の使い方がされていまして、ここをカラオケで歌うのは至難でしょうね〜w
<勇ましい物語 悪者は倒されて
囚われの人々は 救われて いだき合い
穏やかな物語 長い旅路の果て
たどり着くふるさとで 青い鳥が待っている
目を醒まして見るのは 不思議な 現の闇
泣き歩く人々が なぜまだ居るの
童話は童話 世界は世界
子供たちに何んと言えばいいのだろうか>
2番の歌詞もどストレートに現実をえぐってきますね〜。童話の中の「正義は勝つ」「戦いの果ての安寧」なんてぇのはゲンジツの人間社会のドロドロな不条理さの中では所詮は理想論にすぎず、ホント、空々しいったらありゃ〜しないですわよ。童話の中では悪は悪と決められていて正義は正義と決められていますがゲンジツにはさまざまな正義が入り乱れているワケで、両者ともに自分が信じる正義のために突き進んでいるんですよね。おりしも国会冒頭での衆議院解散で1月27日衆議院議員選挙公示、なかなかに エ ゲ つ な い 正 義 の 多 様 性 を目の当たりにして、否が応でも<童話は童話 世界は世界>だよなぁぁぁ、と感じさせられるワタクシ庶民でございますことよ😮💨
<童話は童話 世界は世界
子供たちに何んと言えばいいのだろうか>
結局、人間社会の中でそれぞれが生きていかねばならぬのですから、割り切るところは割り切って受け入れないとど〜しよ〜もないんですよね。現代はもはや幼いうちから社会の不条理も童話もわざわざ親から教わるまでもなく簡単に見聞きできる時代となりましたから、もはや童話を無批判に信じる子供なんて存在しないような気すらしますし、ひょっとしたら親世代よりも冷静にドライに社会の不条理を見据えているかも知れません。それはそれで親世代としては「親の心子知らず」で寂しいところですが、それでも温かい目線を若い世代に投げ掛けたいのが親世代でございますぞ。
アルバムのあとがきで中島みゆきはこう呼びかけました。これぞ親世代。
<ときには世界が180°絶望方向へ見えてしまうような
出来事もあるけれど。
それでも、きっと次の瞬間には、世界が180°希望方向へ
見えて来るような出来事が、あなたにも、ありますように>
この動画で使っているピアノは100年以上昔、1894年製のアンティークピアノ。このような楽器を使ってこのような曲を弾くのはまことに愉しいです。現代では世間で聞こえる音のほとんどは電気を通していますが、このころに世間で聞こえていた音は生音が主流でした。1877年にエジソンが蓄音機を実用化し、このピアノが作られた1894年にはSPレコードの大量生産ができるようになって、次第に「録音」というシロモノが世間に知られるようになった時代。こんな時代の楽器がどれほど豊かな音世界を伝えていたのか、この動画で使っている楽器は奇跡的にオリジナルほぼそのまま、まさに時代の生き証人です。

最近のコメント