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カテゴリー「音楽>YouTube」の483件の記事

2023年9月28日 (木)

中島みゆき 作詞/作曲『心音(しんおん)』ピアノソロ:1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)

中島みゆきの『心音(しんおん)』を、いつもの1894年製アンティークピアノで弾きました(*´-`)

『心音(しんおん)』は中島みゆきの最新作、ついこないだ2023年9月13日に48作め(!)のシングル《心音/有謬の者共》としてリリースされました。『心音(しんおん)』は中島みゆき初のアニソン、スタジオMAPPA制作、岡田麿里監督による9月15日公開の最新作映画『アリスとテレスのまぼろし工場』主題歌です。内容にしても評判にしてもそこら中にあふれていますので、どうぞ参考になさってくださいませ〜(ヒトまかせw)

*商品ページはコチラです、買いましょうね〜。コメント全文もご一読を(*´-`)
https://www.yamahamusic.co.jp/s/ymc/artist/59

 ゲームもアニメもさっぱりわからない中島に、御注文を
  くださるとは、なんでなの?と謎な気持ちで、
  届いた台本をおそるおそる読み始め、最後まで読み終わ
  らないうちに、どっぷり、岡田麿里様のしもべとなっておりました。
  岡田麿里様は、中島の絶大なる「推し」です!
(中島みゆき コメント(部分))

 『⼼⾳(しんおん)』が流れてきた瞬間、正⾯から、強い⾵がぶわっと吹いた気がしました。
  ⾵にあおられて、緊張だけでなく、スタジオの景⾊がすべて吹っ⾶んでいきました。
  そして、この物語の主⼈公である正宗と五実、睦実の姿が⾒えました。
  彼らはしんと冷たい世界の中で、腹の底から叫び、⾛っていました。
(岡田麿里 コメント(部分))

優しく語りかけるような歌い出しからこの力強いサビに至るまで、さすがの安定感です。映画の内容は断片的にしか知りませんが、ことごとく「なるほど」な歌詞と思わされました。それと同時に和声の美しさが際立っており、この複雑さをピアノ一台で表現するのは無理かもなぁと一瞬絶望したことは白状させてくださいませ💦 おかげで編曲が部分的に非常に難しくなってしまい、も〜必死でしたよ〜www

 綺麗で醜い嘘たちを 僕は此処で抱き留めながら
  僕は本当の僕へと 祈りのように叫ぶだろう
  未来へ 未来へ 未来へ 君だけで行け




この動画で使っているピアノは100年以上昔、1894年製のアンティークピアノ。このような楽器を使ってこのような曲を弾くのはまことに愉しいです。現代では世間で聞こえる音のほとんどは電気を通していますが、このころに世間で聞こえていた音は生音が主流でした。1877年にエジソンが蓄音機を実用化し、このピアノが作られた1894年にはSPレコードの大量生産ができるようになって、次第に「録音」というシロモノが世間に知られるようになった時代。こんな時代の楽器がどれほど豊かな音世界を伝えていたのか、この動画で使っている楽器は奇跡的にオリジナルほぼそのまま、まさに時代の生き証人です。

2023年9月22日 (金)

SCHWESTER/シュベスター No.53 1981年製 で、サペルニコフの『詩興の時 op.10-2』を

1981年製の SCHWESTER/シュベスター No.53 で、サペルニコフの『詩興の時 op.10-2』を弾きました。例によっての ピアピット の気合いの入りすぎたオーバーホールですよ〜(*´-`)

日本のピアノ製造は浜松周辺が中心でしたがそれ以外で作られていなかったワケではなく、東京蒲田で1929(昭和4)年に創業した協信社ピアノ製作所で作られていたのがシュベスターというブランド、日本が誇る老舗の一つです。1958年に名称をシュベスターピアノ製造に名称変更、1978年に浜松近くの磐田に拠点を移転して1981年に社名をエスピー楽器製作所と変更して現代に至ります。フレームの払拭で残念ながら新品の製造は止めてしまいましたが、厳選された材料で手堅く作られており、名品のほまれ高いブランドです(*´-`)

*ピアノ工房ピアピット(千葉県印西市)
ピアノは本気で直せば古いピアノでも必ずよみがえります
http://www.piapit.com/repair.html

サペルニコフはオデッサ生まれのピアニスト・作曲家、大ヴィルトゥオーゾとして名声を博していました。大きな声では言えませんが、チャイコフスキーの愛人の一人でもあったりします💦。この曲は「3つの小品, op.10」の2曲めで原題は例によって仏蘭西弁で『Moment lyrique』、Moment musique が<楽興の時>として人口に膾炙していますので、邦題は『詩興の時』とシャレこんでみましたです(・o・ゞ

2023年9月15日 (金)

YAMAHA G3A 1986年製 で、テイルマンの『Kveldsöve/夕べのまどろみ』を

1986年製の YAMAHA G3A で、テイルマンの『Kveldsöve/夕べのまどろみ』を弾きました。例によっての ピアピット の修理ですよ〜(*´-`)

人間でも機械でも、数十年経った個体wのメンテナンスが有料にならざるを得ないのは当然のコト、それぞれの状態やオーナーの意向・予算に応じてさまざまな手当ての可能性がございます。この個体は40歳近くですから比較的手っ取り早い全弦交換を行い、それならフレームを外して再塗装まで、アクション部分にはもう少し頑張ってもらいましょう、という方針になったとのことでした(*´-`)

テイルマンはオスロ郊外生まれのノルウェーの作曲家で、あの有名なグリーグの1ヶ月半年下です。ノルウェー風味な旋律の妙はグリーグと相通ずるものが感じられ、この時代にある種共通なノルウェー風味が興ってきたんだろうなぁと漠然と思わされます。ノルウェー語の原題が『Kveldsöve』で、Kveldが「夜、夕方」そしてsöveが「睡眠」なようでこりゃ困りましてw。「まどろみ」は基本的に明るいタイミングでうとうとすることなので「夜」でなく「夕べ」と工夫しましたです(・o・ゞ

*ピアノ工房ピアピット(千葉県印西市)
ピアノは本気で直せば古いピアノでも必ずよみがえります
http://www.piapit.com/repair.html

2023年9月12日 (火)

八ヶ岳リードオルガン美術館所蔵、キンボール社1900年代初頭製らしき豪華棚付きリードオルガンで「Le trésor des chapelles」第24巻『Morceaux religieux, op.25』から、第2曲「Communion」を

8月末に「八ヶ岳リードオルガン美術館」所蔵のアメリカはキンボール社の名器、おそらく20世紀初頭に作られた豪華棚付きリードオルガン(9ストップ)を使わせていただきました。「八ヶ岳リードオルガン美術館」は小海線の甲斐小泉駅からワリと急な坂道を20分ほど登った別荘地の一角にある瀟洒な建物で、所狭しとリードオルガンやらハルモニウムやらが並んでいて試奏もできる素敵な場所です。ココはけっこう前から気になっていたのですが、コレほど大切な場所をなんとなく後回しにしていた自分ってばほんっっっと見る目がないなぁ💦

Le trésor des chapelles」は1864〜1865年になんと30冊も刊行された、小さめのオルガンまたはハルモニウムのための曲集です。当時、教会が増えてオルガン奏楽者の需要が高まっていたにも関わらずそのために必要な安価で難しくない曲集はまだまだ足りていなかったようで、それを解消するべく一挙に30冊もの作品集を刊行した見識、素晴らしいと思います。30冊全てが作曲家でありオルガニストでもある作者の手による作品集で、実用的にも文句なかったことでしょう。

Le trésor des chapelles」の第24巻は Édouard Schluty(1826-1866) なる作曲者による曲集で Morceaux religieux, op.25 と題されていおり、この動画はその二曲目の Offertoire です。Édouard Schluty は、フランス南部アルザス地方のPézenas/ペズナの教会のオルガニストを1851年から1866年に短い生涯を終えるまで努めており、その作品が弟の Jean Joseph Schluty(1829-1920) が1828年に寄稿した作品の中に1曲引用されています。Édouard Schluty はこの第24巻を見る限り美しい作品を生み出せる霊感に恵まれた作曲家に思え、弟がその早すぎる死を悼んで1曲引用した・・・というのはいかにもありそうに思えます。



このキンボール社のリードオルガンは1900年前後に北米で隆盛を極めていた豪華棚付きリードオルガンの生き残り。小学校低学年の授業で使われていた程度の楽器、というリードオルガンのイメージとは全く異なる堂々たる楽器です。管楽器や歌唱のイメージは「レガート」という表現に取り組む上で必要不可欠。リードオルガンは管楽器かつ持続音を得意とする楽器で、しかも空気を足踏みペダルで送るのですから工夫次第で強弱表現が可能、というかなり楽しい楽器です。素直で温かくしかも演奏者の悪知恵w次第で管楽器としての多種多彩な表現ができる魅力は、一部の世界だけに留めさせるにはあまりにも惜しい世界です。

2023年9月 8日 (金)

EARL WINDSOR W114 1970年代後半? で、サティの『嫌らしい気取り屋の3つの高雅なワルツ』から、第2曲『彼の鼻眼鏡』を

1970年代後半製らしき EARL WINDSOR W114 で、サティの『嫌らしい気取り屋の3つの高雅なワルツ』から、第2曲『彼の鼻眼鏡』を弾きました。例によっての ピアピット のピアノですよ〜(*´-`)

*ピアノ工房ピアピット(千葉県印西市)
ピアノは本気で直せば古いピアノでも必ずよみがえります
http://www.piapit.com/repair.html

EARL WINDSOR は、浜松の中堅メーカー:フローラが高級機種という位置づけで部品そして材料にこだわって作っていました。この個体はオーバーホールまでしなくてイイかな、という判断で徹底したクリーニングと再調整のみでかっちりと仕上げられていました。

このいかにもサティな『嫌らしい気取り屋の3つの高雅なワルツ』ちぅ皮肉を効かせた題名にどのような意味が込められているかはさておき、単純かつなかなかに楽しい曲です。第2曲のオリジナルの題名は単なる『彼の眼鏡』なのですが、嫌らしい気取り屋だったらやっぱり『鼻眼鏡』でなくっちゃですよね〜(・o・ゞ

2023年8月30日 (水)

中島みゆき 作詞/作曲『あぶな坂』ピアノソロ:1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)

中島みゆきの『あぶな坂』を、いつもの1894年製アンティークピアノで弾きました(*´-`)

前回の動画で最新2023年リリースのアルバム《世界が違って見える日》のラストを飾る『夢の京(みやこ)を弾いたのはイイですが、曲があまりにも充実していたので次の選曲にハタと行き詰まりましてな。かくなる上は、1976年リリース一番最初のアルバム《私の声が聞こえますか》の最初の曲『あぶな坂』にしようという苦し紛れw

それにしてもこの『あぶな坂』の歌詞の怪しさたるやなかなかなモンでして、デビューアルバムの最初の曲をコレにするなんて当時のヤマハのプロデューシングはど〜なっていたのかしらん。ただ考えてみれば1970年前後はアングラ演劇が盛んで、その旗手であった寺山修司プロデュースの浅川マキがレコードを一通りリリースしたタイミングでもあったりするんですね〜。中島みゆきはコンクール優勝後のインタビューでレパートリーを「130曲」と即答しており、単なる「ポプコン出身の女性シンガー」にとどまらぬ幅の広さを見せようとしていたのなら慧眼とも思いますが、それにしても、ねぇwww

 あぶな坂を越えたところに
  あたしは住んでいる
  坂を越えてくる人たちは
  みんな けがをしてくる


という、のっけからめっちゃ屈折して詩の不可思議さ全開な歌い始めでござる。

 橋をこわした おまえのせいと
  口をそろえて なじるけど

  遠いふるさとで 傷ついた言いわけに
  坂を落ちてくるのが ここからは見える


「故郷を出て夢破れて戻ってきたのか」と思いきや、<遠いふるさとで 傷ついた>ですからさらに謎は深まります。まぁこのテの怪しげな世界wでは「坂」とか「橋」とかは結界のような意味を持つ、という認識で充分なのかなぁと。そしてここでの「坂」と「橋」が同じ結界であるかどうかも定かではござらぬ。<遠いふるさとで 傷ついた>のが<橋をこわした おまえのせい>だと<坂を落ちてくる>人たちが<口をそろえて なじる>という読み方もできるのではないでしょうか。

さて2番。

 今日もだれか 哀れな男が
  坂をころげ落ちる
  あたしは すぐ迎えにでかける
  花束を抱いて

  おまえがこんな やさしくすると
  いつまでたっても 帰れない

  遠いふるさとは おちぶれた男の名を
  呼んでなどいないのが ここからは見える


ふるさととなるべき居場所に呼ばれぬまま人生に<おちぶれた男>たちは、おちぶれたのはおまえのせいだとなじる相手が欲しいのです。そしてけがをしたのも自分が至らなかったせいではなく、坂を落ちてきたせいなのです。みっともないと申されるな、思い通りに生きられぬ当の本人にとってはそれも含めて他でもないてめぇの人生、そしてその逆風はあらゆる人にとっていつ何時降りかかってきてもおかしくないことなのです。そのような苛烈な人生においてのささやかな安らぎの場所があるのなら、それが<あぶな坂を越えたところ>なのではないでしょうか。

3番です。

 今日も坂は だれかの痛みで
  紅く染まっている
  紅い花に魅かれて だれかが
  今日も ころげ落ちる

  おまえの服があんまり紅い
  この目を くらませる

  遠いかなたから あたしの黒い喪服を
  目印にしてたのが ここからは見える


あぶな坂>は人生の荒野そのもの、という読み方もできそうな。ささやかな安らぎの後の再出発が「けがが癒えた男たちを見送る」とかなんとかで描写されていないところが沁みます。「少し休んでまた頑張ろう!」とかいう現代的でわかりやすいキャッチフレーズがこの怪しい世界にあってたまるかwww

 行路難 行路難 多岐路 今安在『行路難』李白 745年)
 人生行路は困難だ 困難だ 分かれ道ばかりで 自分はいったい何処にいるのか



この動画で使っているピアノは100年以上昔、1894年製のアンティークピアノ。このような楽器を使ってこのような曲を弾くのはまことに愉しいです。現代では世間で聞こえる音のほとんどは電気を通していますが、このころに世間で聞こえていた音は生音が主流でした。1877年にエジソンが蓄音機を実用化し、このピアノが作られた1894年にはSPレコードの大量生産ができるようになって、次第に「録音」というシロモノが世間に知られるようになった時代。こんな時代の楽器がどれほど豊かな音世界を伝えていたのか、この動画で使っている楽器は奇跡的にオリジナルほぼそのまま、まさに時代の生き証人です。

2023年8月26日 (土)

YAMAHA G2B 小池岩太郎モデル 1964年製 で、ブラムバッハの「8つの演奏会用作品, op.69」から、第7曲『ロマンス』を

1964年製の YAMAHA G2B 小池岩太郎モデル で、ブラムバッハの「8つの演奏会用作品, op.69」から、第7曲『ロマンス』を弾きました。

このデザインは長年根拠なくレーモンドによるデザインとされていましたが、最近YAMAHAが特許庁の意匠登録データなどを精査し直した結果、代表デザイナーを示す「意匠考案者」が工業デザインの重鎮の東京芸大名誉教授の小池岩太郎氏(1913-1992)であったことが再発見されました。なお「意匠考案者」がレーモンドだった機種は、アップライトの一機種だけだった由(*´-`)

・毎日新聞 2023/3/19
https://mainichi.jp/articles/20230315/k00/00m/040/317000c?fbclid=IwAR2ie2YkxgX8M8xaYgGD6qQrPO5cw7kpsfi47OYWQocs7joepzTgvbSzyUo

*ピアノ工房ピアピット(千葉県印西市)
ピアノは本気で直せば古いピアノでも必ずよみがえります
http://www.piapit.com/repair.html

ブラムバッハはドイツのボン近郊に生まれケルンの音楽院で学び、生涯をほぼボンでの作曲と音楽生活に専念しました。例によってほぼ完っ全に忘れられていますが適度に複雑で飽きずに聴きやすく美しい曲を多数生み出しており、この『ロマンス』はその白眉とも言えそうな曲ですよ〜(・o・ゞ

2023年8月20日 (日)

フラヴェル「The Vesper Voluntaries, Book 250」から、第5曲『Alla breve』を、1893年頃 Chicago Cottage Organ 製大型リードオルガンで

1900年前後の欧米では足踏み送風式オルガンのための曲集がそれこそ星の数ほどシリーズとして出版されておりました。そのうちの一つ「The Vesper Voluntaries for the Organ, Harmonium, or American Organ」シリーズの Book 25 の作曲は Edwin Mark Flavell (c.1860-c.1919) なる人物で、ロンドンのテムズ川沿いのワンズワース(Wandsworth)でピアニストそして指揮者として活躍しており、手鍵盤のみのオルガン曲集をいくつか出版しています。

この足踏みオルガンは、シカゴ・コテージ・オルガン社が1893年ごろに作った大型棚つきリードオルガンです。この手の大型棚つきリードオルガンは100年ちょい昔の北米にはごくごく普通にあった楽器です。見た目はパイプオルガンに匹敵するくらいに派手ですが、実は普通の箱型のリードオルガンの上に豪華な装飾棚(しかも意外と軽いw)を載せているだけなので、構造や機能自体は普通のリードオルガンとおおむね一緒と考えて差し支えないのでした。見た目で身構える必要は全〜然ないんですよ〜(・o・ゞ

・リードオルガン修復:渡邉祐治
https://pianoreedorgan.jimdofree.com/

2023年8月18日 (金)

YAMAHA U3 1968年製 で、ランゲの「小さな世界, op.139」から『ロマンス』として出版された曲を

1968年製の YAMAHA U3 カスタム塗装仕上で、ランゲの「小さな世界, op.139」から『ロマンス』として出版された曲を弾きました。

1968年は昭和43年ですからピアノ業界に限らず日本全体が活気に満ちており、ヤマハとカワイがゴリゴリにシノギを削っていた時代です。そんな時代にしっかり作られた個体を例によってのピアピットのオーバーホール&茶色系のカスタム塗装仕上ですよ〜(*´-`)

*ピアノ工房ピアピット(千葉県印西市)
ピアノは本気で直せば古いピアノでも必ずよみがえります
http://www.piapit.com/repair.html

Gustav Lange(1830−1889)は一昔前のピアノ発表会のド定番『花の歌, op.39』の作曲者として非常〜に有名でしたが、今ではもはや知る人も少なくなってしまったのではないでしょうか。この動画で弾いている『ロマンス』の元ネタははランゲ没後の1912年ごろにワルシャワで2曲組『Romance, Conte, op.139』として出版された譜面ですが、な〜んと「小さな世界, op.139」の9曲に『ロマンス』という題名の曲がなかったりします。この曲はop.139の中の一曲なのか、そもそも作曲者が本当にランゲなのか、オリジナルを突き止めるのはなかなか厳しそうです(・o・ゞ

2023年8月11日 (金)

八ヶ岳リードオルガン美術館所蔵、エステイ社1887年製の豪華棚付きリードオルガンで「Le trésor des chapelles」第1巻から「Communion」を

「八ヶ岳リードオルガン美術館」所蔵のアメリカはエステイ社の名器、1887年製の豪華棚付きリードオルガン(13ストップ)を使わせていただきました。八ヶ岳リードオルガン美術館」は小海線の甲斐小泉駅からワリと急な坂道を20分ほど登った別荘地の一角にある瀟洒な建物で、所狭しとリードオルガンやらハルモニウムやらが並んでいて試奏もできる素敵な場所です。ココはけっこう前から気になっていたのですが、コレほど大切な場所をなんとなく後回しにしていた自分ってばほんっっっと見る目がないなぁ💦

Le trésor des chapelles」は1864〜1865年になんと30冊も刊行された、小さめのオルガンまたはハルモニウムのための曲集です。当時、教会が増えてオルガン奏楽者の需要が高まっていたにも関わらずそのために必要な安価で難しくない曲集はまだまだ足りていなかったようで、それを解消するべく一挙に30冊もの作品集を刊行した見識、素晴らしいと思います。30冊全てが作曲家でありオルガニストでもある作者の手による作品集で、実用的にも文句なかったことでしょう。

第1巻は Frère Léonce なる作曲者名が印刷されていますが例によってwロクに情報がなく、どうやら本名 Gérard-Augustin Giscaro なる人物であろう、という記述がネット上に見つけられたにすぎません。この第1巻はまぁ当然でしょうがハンパなくリキが入っていて、非常〜に充実した10曲が収められています。この動画の「Communion」は第2曲め、美しい中に華やかなオペラ的な走句が織り込まれているという意欲的な作品だと思います (`・ω・´)



このエステイ社のリードオルガンは1900年前後に北米で隆盛を極めていた豪華棚付きリードオルガンの生き残り。小学校低学年の授業で使われていた程度の楽器、というリードオルガンのイメージとは全く異なる堂々たる楽器です。管楽器や歌唱のイメージは「レガート」という表現に取り組む上で必要不可欠。リードオルガンは管楽器かつ持続音を得意とする楽器で、しかも空気を足踏みペダルで送るのですから工夫次第で強弱表現が可能、というかなり楽しい楽器です。素直で温かくしかも演奏者の悪知恵w次第で管楽器としての多種多彩な表現ができる魅力は、一部の世界だけに留めさせるにはあまりにも惜しい世界です。

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