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2025年10月の7件の記事

2025年10月31日 (金)

中島みゆき 作詞/作曲『ピエロ』ピアノソロ:1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)で

中島みゆきの『ピエロ』を、いつもの1894年製アンティークピアノで弾きました(*´-`)
*ワタクシの編曲譜はこちらから入手できます
https://store.piascore.com/scores/372721

『ピエロ』は1979年9月21日にリリースされたシングル《りばいばる/ピエロ》のB面です。『ピエロ』は根津甚八への提供曲で、なんとこちらも同じキャニオン・レコードから同じ1979年9月21日にシングル《ピエロ/まだ浅い別れ》としてリリースされています。根津甚八の方も YouTube に転がっているので聴いてみましたが、さすがさすがの舞台人の歌、語り口がバツグンでございましたぞよ〜👌

 思い出の部屋に 住んでちゃいけない
  古くなるほど 酒は甘くなる
  えらそうに俺が 言うことでもないけど
  出てこいよ さあ 飲みにゆこうぜ


この『ピエロ』の歌詞の情景描写は単純ですが描かれている人間関係はなかなかシビれますね〜。フラれて手酷く傷ついた心を癒せずに幸せだった<思い出の部屋>という世界に閉じこもってしまっている女性、そしてその女性に片想いし続けていて気が気じゃないと思いつつもチャンスと狙っている<>という関係。失恋は立ち直ってこそ人生の糧となり得る経験ですが、立ち直れないままに思い出に浸って心を麻痺させてしまうのは危うい、ということを<古くなるほど 酒は甘くなる>と表現しており、同時にすぐ後に現れる<麻酔>の伏線としています。この中島みゆきの言葉の切れ味、いつもながらですがもぅさすがとしか言いようがないですね〜。片想いの相手が失恋したらチャンスと思うのはごくフツーと思いますがw、それにしても主人公の<>ってば、ほんとにホントに優しすぎるオトコですな😅

 かまれた傷には 麻酔が必要
  俺でも少しは 抱いててやれるぜ


コレ、要は「どうした? ハナシ聞こうか?」であわよくば、という単純なネタでしょうが、そこに<>と<麻酔>とを掛けるという歌詞のテクニックをしれっとぶっ込むセンスに脱帽ですわよ。

 思い出の船を おまえは降りない
  肩にかくれて 誰のために泣く
  まるで時計か ゆりかごみたいに
  ひとりで俺は さわぎ続ける


優しすぎる主人公のせいなのか、女性にとっての<思い出>があまりにもよろしかったからでしょうか、主人公の心配も期待も虚しく空回りし続けているようです。<時計>は時間の経過と同時にその無情さも象徴しており、<ゆりかご>は<思い出の船>を揺らす波であると同時に女性の心を動かそうと孤軍奮闘する主人公の心の動き。<ひとりで俺は さわぎ続ける>は、まさに主人公が女性が受けた失恋の痛手をどうにかして癒し忘れさせようと孤軍奮闘している様子。同時に、<時計>と<ゆりかご>とは同じ運動を繰り返す存在で、主人公の心配も期待も虚しく空回りし続けていることも象徴していたりしますね。これぞ題名の『ピエロ』=道化、という、表面はおどけて見せていても内面にはなんとも言いようのない哀しみそして翳りを抱えている存在、癒し手になりたくても果たせない恋の痛みを抱えている存在、ピエロの輪舞から抜け出せない存在でありま〜す💡

 飲んでりゃ おまえも うそだと思うか
  指から 鍵を奪って
  海に 放り投げても


この一連は難しいですが、まずは単純にココは倒置法ですから・・・

 指から 鍵を奪って 海に 放り投げても
  飲んでりゃ おまえも うそだと思うか


となり、<>とは<思い出の部屋/船>の鍵。その鍵をおまえの指から奪って海に放り投げるのですから、女性を閉じこもった殻の外に連れ出せて(=出てこいよ)、首尾良く失恋の痛手を癒すことができた(=かまれた傷には 麻酔が必要)、という状況を主人公が仮定というか妄想していると読みます。そして、<うそだと思うか>の「か」は反語ではなく詠嘆をあらわす終助詞「か」と読みます。しかし悲しいかな、その仮定・妄想の中であっても女性がかけられた麻酔のような何かは<かまれた傷>だけに効くワケもなし、主人公が失恋の痛手を癒してくれたということにも効いてしまって<うそだと思>われてしまうんだろうなぁぁぁ=<>の片想いは結局は女性に通じないんだろうなぁぁぁ、というな〜んともやるせなく逡巡する主人公の心でありますことよ(詠嘆)

ここで思い出すのは

 二人だけ この世に残し
  死に絶えてしまえばいいと
  心ならずも願ってしまうけど
  それでもあなたは 私を選ばない
『この世に二人だけ』1983年)



この動画で使っているピアノは100年以上昔、1894年製のアンティークピアノ。このような楽器を使ってこのような曲を弾くのはまことに愉しいです。現代では世間で聞こえる音のほとんどは電気を通していますが、このころに世間で聞こえていた音は生音が主流でした。1877年にエジソンが蓄音機を実用化し、このピアノが作られた1894年にはSPレコードの大量生産ができるようになって、次第に「録音」というシロモノが世間に知られるようになった時代。こんな時代の楽器がどれほど豊かな音世界を伝えていたのか、この動画で使っている楽器は奇跡的にオリジナルほぼそのまま、まさに時代の生き証人です。

2025年10月30日 (木)

世にも静かな洋館LIVE 盛会御礼

本日(10/30)の池袋、自由学園明日館での『世にも静かな洋館LIVE』は盛会のうちに終了、いつもありがとうございます〜🙇🏻

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自由学園明日館は池袋の猥雑とさえ言えそうな雑踏から7〜8分離れるだけですが、ま〜るで別世界。100年ちょい昔の重要文化財の建物の限られたスペースで、我がモーツァルトの旅行用クラヴィコードはいつもながら生き生きと鳴ってくれましたぞ✨

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ますますメンドくさくなっているこの国ですが、ここだけはユルく温かいままであり続けてほしいですね〜🐌

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2025年10月29日 (水)

1960年製 ETERNA/エテルナ E3A で、エルネスト・ドランゴーシュ「3つの作品, op.27」から、第1曲『慰め/Consolación』を

1960年製 ETERNA E3A で、エルネスト・ドランゴーシュ「3つの作品, op.27」から、第1曲『慰め/Consolación』を弾きました。
*楽譜はこちらから入手できます
https://store.piascore.com/scores/366872

ETERNA/エテルナはヤマハ傘下の天龍楽器製造株式会社の自社ブランドです。天龍楽器はこの個体が製造された1960年少し前からヤマハの下請けとなっており、初期のヤマハOEM品とみなして差し支えないでしょう。弦・ピン・ハンマー交換もバッチリ決まって、量産前の国産ピアノらしくこの個体もなかなか密度の詰まったしっかりした音色ですよ〜👌
*ピアノ工房ピアピット(千葉県印西市)
ピアノは本気で直せば古いピアノでも必ずよみがえります
http://www.piapit.com/repair.html

Ernesto Drangosch/エルネスト・ドランゴーシュ (1882-1925) はアルゼンチンのピアニスト・作曲家です。ドイツ留学で実力をつけ、アルゼンチン初のピアノ協奏曲も作曲しています(・o・ゞ

2025年10月25日 (土)

1981年製 KAWAI KG-5C で、コルニロフ「3つの前奏曲」から第3曲を

1981年製 KAWAI KG-5C で、コルニロフの「3つの前奏曲」から第3曲を弾きました。
*楽譜はこちらから入手できます
https://store.piascore.com/scores/371895

ピアノ修理工房はこだわりがハンパないとこが少なくないですが、このピアノを偏執的探究心のカタマリ(褒め言葉w)をもってして仕上げた埼玉は春日部の「シオンピアノ工房」のこだわりの方向性、包括的理論的論理的かつ極めて明快なところがまことに小気味良いです。無論、技術的にも安定安心最優秀レベルなのは言わずもがな。まさかこのテのピアノがこんなにもイイ感じになるのか〜?! というピアノを見せつけられるのが毎回めっちゃ新鮮✨ 今回の個体は昔のカワイにありがちなボタ重く鈍重な弾き心地をできるだけ「弾きやすく」という依頼で、まぁよくもここまで追い込みやがれるんだなぁぁぁ、と呆れさせてもらえるのがさすがの変態工房(褒め言葉www)。
*シオンピアノ工房
http://zionpiano.starfree.jp/

この個体は旧式のシュワンダー式アクションが搭載されており、設計当時の標準もま〜るでイケてなかったとのことで、それでは新品当時に戻すという並みのオーバーホールでは鈍重さが解消できないのが道理。カワイの旧式のシュワンダー式アクションは現代標準のヘルツ式アクションと寸法が異なっており、単純に載せ替えることが原理的に不可能で改造を伴わねばならぬという、アクション機構のなかなかヤヤこしいテコの関係を極めて真っ当に正しく理解していなければ手も足も出ないであろう改造を見事に成功させていたように感じました(さすが変態工房wwwww)。

無論、この時代のカワイですから楽器自体の性能も限られていていろいろと限界が早いのは仕方ないのですがなかなかの雰囲気が出せて、この時代のカワイってば楽器の共鳴箱自体は案外と悪くなかったのね〜、とビックリでございました😳

2025年10月18日 (土)

1972年製 DIAPASON No.125M3 で、フレデリック・ルイス・リッター「8つのピアノ小品, Op.5」から第3曲『秋の歌』を

DIAPASON(ディアパソン)の1972年製 No.125M3 でフレデリック・ルイス・リッターの「8つのピアノ小品, Op.5」から第3曲『秋の歌』を弾きました。例によってのピアピットのクリーニング&再調整ですぜ(*´-`)
*楽譜はこちらから入手できます
https://store.piascore.com/scores/369795

DIAPASON(ディアパソン)はよく知られた国産ピアノで、天才技術者の誉れ高い大橋幡岩氏の高い志を実現すべく製造されたのが始まりです。この動画の楽器は1972年製ですので浜楽商事が販売していた時代の製品で、この個体は落ち着いてしっかりした音色に感じますね〜(*´-`)

*ピアノ工房ピアピット(千葉県印西市)
ピアノは本気で直せば古いピアノでも必ずよみがえります
http://www.piapit.com/repair.html

フレデリック・ルイス・リッター/Frédérick Louis Ritter(1834-1891)はフランス出身のアメリカの音楽学者です。1867年にニューヨーク初の音楽祭を企画して同年から Vasser 大学で音楽学部長を務め、ピアノ・作曲・音楽理論・声楽を教える傍ら、妻と共に数多くの著書を執筆しました。

2025年10月14日 (火)

1985年つくば科学万博、EF80牽引エキスポライナー

昨日(10/13)大阪カジノ整備万博が閉幕、会場へのアクセスがイケてなかったらしいことを仄聞しましてな。

それはともかくw本日は鉄道記念日、夢と希望にあふれていた40年前、なつかしの1985年のつくば科学万博の会場アクセス列車を1つだけ紹怪いたしましょうぞ。Wikiにかなり詳細に解説されているので、それも見てね。

つくば万博の会場最寄駅として国鉄常磐線牛久駅 - 荒川沖駅間に大っきな大っきな万博中央駅(現:ひたち野うしく駅)を新設、普通電車の塗色を従来のいかにも常磐線なイケてない「あずき色」から白地に青ラインに変更するとともにそれでも足りないと見込んで「エキスポライナー」なるアクセス快速列車をバンバン運行していました。

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「エキスポライナー」は余剰車の溜まり場というか古い車輌の最後の活躍の場でもあり、往年の寝台特急用の20系客車そしてこれまた寝台特急用の583系電車も使われていた由。この時ワタクシ浪人生で派手に出歩くのは流石に控えており、夕方確か17時ちょい前に金町駅を通過して上野に向かうこの12系客車しか撮ってないんですけどね〜。

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この少し前のタイミングで常磐線には老兵のEF80形電気機関車を置き換えるべくEF81形電気機関車が増備されていまして万博閉幕直前の9月初めの客車「エキスポライナー」もほとんどEF81が牽引、ですがEF80が運用に入るまで粘ってなんとか1日だけ撮れたのでした。寫眞機は隠れた名機のキヤノンEF、鏡玉はくっそ高価だったNewFD80-200mmF4でした。

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2025年10月 3日 (金)

1974年製 OHHASHI/オオハシ 132D で、ヨハネス・ハーベルト「ミニアチュア, Op.38」から、第1曲を

1974年製 OHHASHI/オオハシ(オーハシではありません)132D で、ヨハネス・ハーベルト「ミニアチュア, Op.38」から、第1曲を弾きました。
*楽譜はこちらから入手できます
https://store.piascore.com/scores/366873

OHHASHI/オオハシは天才技術者とのほまれ高き大橋幡岩氏のこだわりにこだわり抜いたブランドです。充実した低音に支えられた豊かな鳴りっぷり、そして声部ごとの弾き分けの可能性の拡がりがさすがです👌

Johannes Evangelista Habert/ヨハネス・ハーベルト(1833-1896) は、北部オーストリアの音楽家で、主にカトリック教会での音楽にたずさわっていました(・o・ゞ

*ピアノ工房ピアピット(千葉県印西市)
ピアノは本気で直せば古いピアノでも必ずよみがえります
http://www.piapit.com/repair.html

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