中島みゆき 作詞/作曲『金魚』ピアノソロ:1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)で
中島みゆきの『金魚』を、いつもの1894年製アンティークピアノで弾きました(*´-`)
*この編曲譜はこちらから入手できます
https://store.piascore.com/scores/352907
『金魚』は1983年にリリースされたアルバム《予感》のB面の最後から2曲めに収録されています。前の曲が『テキーラを飲みほして』でラストが『ファイト!』ですから、これまたまっことに絶妙な曲順なだなぁぁぁとウナらされます。『テキーラを飲みほして』から『金魚』には間髪を入れずに突入しており、だからこそ『金魚』の前半半分以上がイントロ(もはやイントロではないw)な意味があって、その意味ではそもそも『金魚』は独立させて鑑賞する性格の曲ではないんでしょネ💦
<一匹も すくえなかったね
ほんとうに要領が悪いんだから
浮いてきたところ すくわなきゃ
ほらシャツの袖が水びたし>
7月も末になってしまいましたが、この時期は夏祭りとか花火大会とかの縁日の時期。金魚すくいはや〜っぱり縁日の屋台には欠かすことのできないアイテムですよね〜。それにしてもシャツの袖を水びたしにするほどの主人公の要領の悪さはもはや才能で、コレ、おそらく幼少期の中島美雪嬢(本名)の記憶を誇張させて重ね合わせているのでしょう。そして2006年のアルバム《ララバイSINGER》所収の『とろ』同様に舌ったらずな声色にしているところもいかにも、でありま〜す💡 そうそう、それで、夏祭りのシャツは半袖だから原理的に袖が水びたしになるハズがない、浴衣の袖でなきゃ〜、と冷静に突っ込むのはヤボですよ、ヤボwww
<きらりひらりきらりひらり
人生が身をかわす
きらりひらり
幸せが逃げる>
な〜にやっても裏目に出てしまって生きづらいタイミングってそれなりに長く人生を送っていれば何度も経験するでしょうし、それどころか、もはやそれが芸風とすら思えるほどいつでもどこでも人生に苦労しているヒトもいますよね〜。それを<要領が悪いんだから>の一言で単純明快に済ませてしまうことに違和感を覚えてしまうワタクシではありますが、だからと言ってそのヒトの「生きづらさ」に心の底から共感できるハズもなく、よしんば共感できたところでいわゆる「解決」につながるワケもないのが個々人の限界。その逃げる人生の幸せを中島みゆきという稀代の言葉の達人が逃げる金魚になぞらえると、こうも美しく輝くんですね〜✨
<でも嬉しいみたい
すくえなかったことが
どうせ飼えないものね
Um 旅暮らし>
ここは流石の掛け言葉で、金魚を掬えなかったことは確かに残念だったでしょうが、逆に金魚を掬えなかったことで金魚と主人公の気持ちが救われていますね。「与えられた環境で輝け」とはワリと耳にする励ましフレーズですが、少なくともこの『金魚』の中で主人公はことさらに輝いているコトもありません。ですが、ひと夏のちょっとした残念な経験を、前向きとも言いづらいながらもホントにささやかな嬉しさに昇華できているように感じます。
この『金魚』はワタクシは6/8拍子として採譜しましたが、ここの<Um>という感嘆詞の箇所はフェルマータと解釈するほど長くもなくテンポ感も止まっておらず、残念だけど<でも嬉しいみたい>というフクザツな感興をあらわすために絶妙な間になっていてチト悩まさせられました。きっちりとタイムをとってみたらなんとぴっっったり8分音符4つ分で、なるほど、ということで独立させた4/8拍子の小節にしました。
この動画で使っているピアノは100年以上昔、1894年製のアンティークピアノ。このような楽器を使ってこのような曲を弾くのはまことに愉しいです。現代では世間で聞こえる音のほとんどは電気を通していますが、このころに世間で聞こえていた音は生音が主流でした。1877年にエジソンが蓄音機を実用化し、このピアノが作られた1894年にはSPレコードの大量生産ができるようになって、次第に「録音」というシロモノが世間に知られるようになった時代。こんな時代の楽器がどれほど豊かな音世界を伝えていたのか、この動画で使っている楽器は奇跡的にオリジナルほぼそのまま、まさに時代の生き証人です。
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