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2023年11月 8日 (水)

八ヶ岳リードオルガン美術館所蔵、エステイ社1887年製のリードオルガンで「Le trésor des chapelles」第10巻から「Élévation ou Communion」を

「八ヶ岳リードオルガン美術館」所蔵のアメリカはエステイ社の名器、1887年製のリードオルガン(13ストップ)を使わせていただきました。「八ヶ岳リードオルガン美術館」は小海線の甲斐小泉駅からワリと急な坂道を20分ほど登った別荘地の一角にある瀟洒な建物で、所狭しとリードオルガンやらハルモニウムやらが並んでいて試奏もできる素敵な場所です。ココはけっこう前から気になっていたのですが、コレほど大切な場所をなんとなく後回しにしていた自分ってばほんっっっと見る目がないなぁ💦

「Le trésor des chapelles」は1864〜1865年になんと30冊も刊行された、小さめのオルガンまたはハルモニウムのための曲集です。当時、教会が増えてオルガン奏楽者の需要が高まっていたにも関わらずそのために必要な安価で難しくない曲集はまだまだ足りていなかったようで、それを解消するべく一挙に30冊もの作品集を刊行した見識、素晴らしいと思います。30冊全てが作曲家でありオルガニストでもある作者の手による作品集で、実用的にも文句なかったことでしょう。

第10巻は Ignace Xavier Joseph Leybach(1817-1891) による、op.57の曲集です。レイバックはオルガニストとしての訓練を受けた後、パリでカルクブレンナーそしてショパンの弟子となりました。レイバックは当時有名なピアニストであると同時にオルガニストでもあり、1844年からやトゥールーズの Saint-Étienne大聖堂のオルガニストを務めてその地で亡くなっています。この動画の「Élévation ou Communion」は、op.57の第2曲め、非常に柔らかく美しい部分の間にオペラ的な部分が織り込まれているという作品です。



このエステイ社のリードオルガンは1900年前後に北米で隆盛を極めていた豪華棚付きリードオルガンの生き残り。小学校低学年の授業で使われていた程度の楽器、というリードオルガンのイメージとは全く異なる堂々たる楽器です。管楽器や歌唱のイメージは「レガート」という表現に取り組む上で必要不可欠。リードオルガンは管楽器かつ持続音を得意とする楽器で、しかも空気を足踏みペダルで送るのですから工夫次第で強弱表現が可能、というかなり楽しい楽器です。素直で温かくしかも演奏者の悪知恵w次第で管楽器としての多種多彩な表現ができる魅力は、一部の世界だけに留めさせるにはあまりにも惜しい世界です。

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