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2023年10月22日 (日)

中島みゆき 作詞/作曲『有謬(うびゅう)の者共』ピアノソロ:1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)

中島みゆきの『有謬(うびゅう)の者共』を、いつもの1894年製アンティークピアノで弾きました(*´-`)

『有謬(うびゅう)の者共』は中島みゆきの最新作、ついこないだ2023年9月13日に48作め(!)のシングル《心音/有謬の者共》としてリリースされました。カップリングの『心音(しんおん)』ばかりが話題にのぼるのは、映画『アリスとテレスのまぼろし工場』の主題歌ですからそりゃまぁ無理ないでしょうが、な〜んのなんの、この『有謬(うびゅう)の者共』の炸裂ぐあいwはスゴいもんですぜ〜(・o・ゞ #有謬の者共 #心音 #中島みゆき

 いくつの夜を 集めても足りない
  ここは隠れ家 息をひそめてる
  幻の火を 連ねても足りない
  ここは物陰 嘘たちの棲み処
  隠れて隠れて隠れ続けた
  逃れて逃れて逃れ続けた
  真っ新で 真っ直ぐで 真っ暗な空
  完璧で 潔癖で 鉄壁な空
  嘘が解れる夜
  間違えてもニンゲン 間違えてもニンゲン
  間違うのがニンゲン 誰かがまだニンゲン
  間違えてもニンゲン 間違えてもニンゲン
  間違うのがニンゲン あんたがまだニンゲン


この歌詞、字句を怪釈しようとしてもナニがナニやらですが、このシングルCDのデザインに中島みゆきが一切登場せず映画『アリスとテレスのまぼろし工場』一色であることを鑑みれば映画の内容が下敷きになっているだろうなぁと想像できます。映画『アリスとテレスのまぼろし工場』(すんません、観てないです)、突然起こった製鉄所の爆発事故により全ての出口を失い、時まで止まってしまった町で少年が二人の少女と出会いその世界の均衡を崩していく物語。<隠れ家>やら<物陰>やら<隠れて>やら<逃れて>やら、そして<>という時間帯も象徴的に「外界とのやり取りが無い場所」を示しているのかなぁと気づきます。(夜行生物はど〜なのよとか突っ込むのはヤメてよねw)

 時が縺れる 夜へ傾れ込む
  離れ離れの記憶が入り組む
  停まって停まって停まり続けた
  凍って凍って凍り続けた
  清潔で 高潔で 冷血な空
  従順で 恭順で 単純な空
  嘘が溶けだす夜
  間違えてもニンゲン 間違えてもニンゲン
  間違うのがニンゲン 誰かがまだニンゲン
  間違えてもニンゲン 間違えてもニンゲン
  間違うのがニンゲン あんたがまだニンゲン


2番にも「外界とのやり取りが無い場所」を暗示する言葉が散りばめられていますね〜。この「外界とのやり取りが無い場所」を現代人間社会に置き直してみると、昨今よく目にする「自らの狭い視野に閉じこもった者共」なのではないでしょうか。まぁ誰もがみんなそうでしょ、というツッコミも同時にしておきたいですが。そのような閉ざされた存在を見下ろしているのが<>という絶対的なナニか。ここで<>はど〜なのよと思いますが、夜という時間帯は地上にしかなく天空には昼も夜もないことに気づくとちょっとニヤりとします。イヤ、まぁ、それだけですけどwww

 真っ新で真っ直ぐで真っ暗な空
  完璧で潔癖で鉄壁な空
  嘘が弾ける夜
  間違えてもニンゲン 間違えてもニンゲン
  間違うのがニンゲン 誰かがまだニンゲン
  間違えてもニンゲン 間違えてもニンゲン
  間違うのがニンゲン あんたがまだニンゲン
  間違えてもニンゲン 間違えてもニンゲン
  間違うのがニンゲン 誰かがまだニンゲン


地上には<間違い>やら<>やらに満ち満ちていますが、楽しかろうが苦しかろうがいかなる状況に置かれようとも空のもとで人間は間違う<ニンゲン>で徹頭徹尾あり続けるのでありま〜す。さまざまなことが降りかかってきているこんな人類世界になってしまいましたが、誰もがみ〜んな<まだニンゲン>という『有謬の者共』=「誤謬に満ちた存在たち」ですよね。そのようなしょ〜もない我々ですが、せめて、せめてささやかな安寧(もはや平和とは言えませんわ)がほしいです。

 宇宙(そら)の掌の中
  人は 永久欠番
『永久欠番』1991年)



この動画で使っているピアノは100年以上昔、1894年製のアンティークピアノ。このような楽器を使ってこのような曲を弾くのはまことに愉しいです。現代では世間で聞こえる音のほとんどは電気を通していますが、このころに世間で聞こえていた音は生音が主流でした。1877年にエジソンが蓄音機を実用化し、このピアノが作られた1894年にはSPレコードの大量生産ができるようになって、次第に「録音」というシロモノが世間に知られるようになった時代。こんな時代の楽器がどれほど豊かな音世界を伝えていたのか、この動画で使っている楽器は奇跡的にオリジナルほぼそのまま、まさに時代の生き証人です。

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