中島みゆき 作詞/作曲『旅人のうた』ピアノソロ:1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)
中島みゆきの『旅人のうた』を、いつもの1894年製アンティークピアノで弾きました。
『旅人のうた』は、前年1994年に放送された日本テレビ系ドラマ『家なき子』の続編『家なき子2』の主題歌として書き下ろされ、1995年発売のシングル《旅人のうた》として発売されました。このシングルもオリコンシングルチャートで好成績を収め、中島みゆき4作目の1位獲得、そして前作に引き続きオリコンで3作目のミリオンセラーとなりました。
さらに『旅人のうた』は1996年発売のアルバム《パラダイス・カフェ》の斬り込み隊長として収録されていますが、これはシングルとは違うバージョンになっています。この動画ではシングル版を弾いていまして、重くも力強い推進感のある「ざっざかざっざか」したベースが心地よいです。ですが、コレ、ピアノの左手で弾こうとするとウマいこと手のひらの力が抜けていないとツリそうになるんですよ〜〜〜(・x・ゞ
<男には男のふるさとがあるという
女には女のふるさとがあるという
なにも持たないのは さすらう者ばかり
どこへ帰るのかもわからない者ばかり
愛よ伝われ ひとりさすらう旅人にも
愛よ伝われ ここへ帰れと>
ドラマ『家なき子2』の主題歌をこのように始めること、なるほど。「家なき子」には帰れるふるさとはないわけで、確かに<さすらう者>なんですよね〜。「家なき子」の置かれた状況はかくも過酷ですが、そこに差し伸べられる手は、やはり<愛>なのであります。そしてハタと思い当たるのは・・・たとえ<ふるさと>のような帰る物理的存在があったとしても、心のよりところがなくては人は迷いさすらい寂しいままなんだよなぁ、ということ。コレ、現代人の孤独として言い古されているのは百も承知で、昨今SNSでちょっとしたきっかけで過度に攻撃的になってしまう輩の激増を嘆かざるを得ません。
さて2番。
<西には西だけの正しさがあるという
東には東の正しさがあるという
なにも知らないのは さすらう者ばかり
日ごと夜ごと変わる風向きにまどうだけ
風に追われて消えかける歌を僕は聞く
風をくぐって僕は応える>
時と場合そして置かれた立場などによって<正しさ>何てぇシロモノは簡単に正反対になるということ、一度社会を知るとイヤというほど直面させられますよね。それでも人は<風に追われて消えかける>ような<正しさ>を求めるという、ホントに因果な存在だと思わされますわ。同時に、自分の見聞そして論理こそが正しいと臆面もなく言い放つ輩が激増している昨今のSNSであることよw
そして、嬰ト短調の力強さから嬰ハ長調に転調して歌い上げられるのがこのサビ、題名の『旅人のうた』の公式英訳が "TRAVELLERS SONG" ではなく "WANDERERS SONG" とされているのが納得ですね。それにしても、この転調ってばまことにドラマチックでたまらんですぜ〜(*´-`)
<あの日々は消えてもまだ夢は消えない
君よ歌ってくれ僕に歌ってくれ
忘れない忘れないものも ここにあるよと>
この動画で使っているピアノは100年以上昔、1894年製のアンティークピアノ。このような楽器を使ってこのような曲を弾くのはまことに愉しいです。現代では世間で聞こえる音のほとんどは電気を通していますが、このころに世間で聞こえていた音は生音が主流でした。1877年にエジソンが蓄音機を実用化し、このピアノが作られた1894年にはSPレコードの大量生産ができるようになって、次第に「録音」というシロモノが世間に知られるようになった時代。こんな時代の楽器がどれほど豊かな音世界を伝えていたのか、この動画で使っている楽器は奇跡的にオリジナルほぼそのまま、まさに時代の生き証人です。
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