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2022年10月の8件の記事

2022年10月31日 (月)

中島みゆき 作詞/作曲『旅人のうた』ピアノソロ:1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)

中島みゆきの『旅人のうた』を、いつもの1894年製アンティークピアノで弾きました。

『旅人のうた』は、前年1994年に放送された日本テレビ系ドラマ『家なき子』の続編『家なき子2』の主題歌として書き下ろされ、1995年発売のシングル《旅人のうた》として発売されました。このシングルもオリコンシングルチャートで好成績を収め、中島みゆき4作目の1位獲得、そして前作に引き続きオリコンで3作目のミリオンセラーとなりました。

さらに『旅人のうた』は1996年発売のアルバム《パラダイス・カフェ》の斬り込み隊長として収録されていますが、これはシングルとは違うバージョンになっています。この動画ではシングル版を弾いていまして、重くも力強い推進感のある「ざっざかざっざか」したベースが心地よいです。ですが、コレ、ピアノの左手で弾こうとするとウマいこと手のひらの力が抜けていないとツリそうになるんですよ〜〜〜(・x・ゞ

 男には男のふるさとがあるという
  女には女のふるさとがあるという
  なにも持たないのは さすらう者ばかり
  どこへ帰るのかもわからない者ばかり
  愛よ伝われ ひとりさすらう旅人にも
  愛よ伝われ ここへ帰れと


ドラマ『家なき子2』の主題歌をこのように始めること、なるほど。「家なき子」には帰れるふるさとはないわけで、確かに<さすらう者>なんですよね〜。「家なき子」の置かれた状況はかくも過酷ですが、そこに差し伸べられる手は、やはり<>なのであります。そしてハタと思い当たるのは・・・たとえ<ふるさと>のような帰る物理的存在があったとしても、心のよりところがなくては人は迷いさすらい寂しいままなんだよなぁ、ということ。コレ、現代人の孤独として言い古されているのは百も承知で、昨今SNSでちょっとしたきっかけで過度に攻撃的になってしまう輩の激増を嘆かざるを得ません。

さて2番。

 西には西だけの正しさがあるという
  東には東の正しさがあるという
  なにも知らないのは さすらう者ばかり
  日ごと夜ごと変わる風向きにまどうだけ
  風に追われて消えかける歌を僕は聞く
  風をくぐって僕は応える


時と場合そして置かれた立場などによって<正しさ>何てぇシロモノは簡単に正反対になるということ、一度社会を知るとイヤというほど直面させられますよね。それでも人は<風に追われて消えかける>ような<正しさ>を求めるという、ホントに因果な存在だと思わされますわ。同時に、自分の見聞そして論理こそが正しいと臆面もなく言い放つ輩が激増している昨今のSNSであることよw

そして、嬰ト短調の力強さから嬰ハ長調に転調して歌い上げられるのがこのサビ、題名の『旅人のうた』の公式英訳が "TRAVELLERS SONG" ではなく "WANDERERS SONG" とされているのが納得ですね。それにしても、この転調ってばまことにドラマチックでたまらんですぜ〜(*´-`)

 あの日々は消えてもまだ夢は消えない
  君よ歌ってくれ僕に歌ってくれ
  忘れない忘れないものも ここにあるよと




この動画で使っているピアノは100年以上昔、1894年製のアンティークピアノ。このような楽器を使ってこのような曲を弾くのはまことに愉しいです。現代では世間で聞こえる音のほとんどは電気を通していますが、このころに世間で聞こえていた音は生音が主流でした。1877年にエジソンが蓄音機を実用化し、このピアノが作られた1894年にはSPレコードの大量生産ができるようになって、次第に「録音」というシロモノが世間に知られるようになった時代。こんな時代の楽器がどれほど豊かな音世界を伝えていたのか、この動画で使っている楽器は奇跡的にオリジナルほぼそのまま、まさに時代の生き証人です。

2022年10月30日 (日)

11月2日/日独楽友協会シンフォニエッタ・アカデミー演奏会「忘れられた名曲たち 2」お手伝い

急遽お手伝いすることになりました🔥

一昨日10/29に高崎で使ったChicago Cottage Organ社のリードオルガンを川口に運んで、20世紀前半の混沌とした時代の音楽、シュレーカーの『室内交響曲』のハルモニウムパート。全く馴染みのない音楽でしたが、いやいやなんのなんの、美しいところあり混沌ありの素晴らしい音楽ですぞ🫵

この曲は『室内交響曲』と言いながら、ハープ、チェレスタ、ハルモニウム、ピアノが入っているのも見どころ聴きどころだったり。現代のオーケストラの中だと埋もれそうな気もしますが、低音の伸ばしで存在感を発揮させられたらイイなと思ってます😎

11月2日、川口リリア音楽ホールにて19時開演です。当日いきなりでも大丈夫ですので、是非ともおいでくださいませ〜☝️

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2022年10月20日 (木)

10月29日/風琴音楽會 Vol.5@高崎、アトリエミストラル

10月29日、ひさびさに高崎のアトリエミストラルで演奏会です。

今回は、1890年代前半に作られたらしき Chicago Cottage Organ 社のリードオルガンです。このように上に飾り棚がついたリードオルガンは「Parlor organ」と呼ばれており、19世紀後半の北米ではアップライトピアノ以前の家庭用鍵盤楽器として隆盛を極めていたんですよ〜〜〜(・o・ゞ

日本ではリードオルガンはまだまだ教会の讃美歌か童謡唱歌か、というなんとなく「懐かしい癒やしの楽器」程度の認識にとどまっているフシもございますが、イヤイヤなんのなんの。一時代を築き上げたような楽器がその程度にとどまっていようハズはございませんで、その美しい姿のみならず音色が素晴らしいんですね〜。アメリカそしてカナダにはかなりの数のリードオルガン製作所がありまして。それこそ何万台も量産されていたようです。

そんな楽器をメインに使って、国産のリードオルガンも並べてこの豊かな世界の一端をお見せします(*´-`)

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2022年10月19日 (水)

ゴーベール『フルートとピアノのためのロマンス(1905年)』を、100年前のフルートClaude Riveと1905年製プレイエルで

1900年前後のフランスのフルートと、1905年製フランスの PLEYEL の夢の共演シリーズ、今回は石井孝治さんが吹くベーム式フルートの知る人ぞ知る名器、19世紀後半のClaude Riveです。曲は、これまた同時代の名手ゴーベール/Gaubert(1879-1941) が1905年に作曲した『ロマンス』です。

実は、ゴーベールのフルートとピアノのための『ロマンス』は1905年作曲と1908作曲の2曲ありましてともにイ長調、おそらくこの動画で演奏している1905年作曲の方が演奏される機会が多いかと思います。ゴーベールはフルートの世界以外ではむしろパリ音楽院管弦楽団の指揮者としての活躍が知られているフシがあり、蓄音機時代に数々の名盤を残しています。また、都響を振っていた名指揮者ジャン・フルネの師匠だったりもするんですよ〜。

ワタクシがワリと過激な「中古派w」なのはみなさまご存知とは思いますが、この夢の共演シリーズでご一緒しているフルート教室ファルべのお二方が奏でる100年前のベーム式フルートもまた過激に当時の価値観を我々に投げかけてきて最っ高なんですね〜。そりゃもぅ高崎の アトリエ ミストラル で動画収録をしないワケには行きませんで、ひたすらに温かく美しい世界となりました(*´-`)

今度の11月12日14時半開演で、この三人で 笛の音 あ・ら・か・る・と Vol.1 です。どうぞこのしなやかな遊びの世界にお越しくださいませ〜

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2022年10月14日 (金)

11月12日/笛の音. あ・ら・か・る・と Vol.1

11月12日(土)14:30開演の演奏会です。

会場の「松本記念音楽迎賓館」は、世田谷区岡本にございます。岡本という場所は、成城学園と二子玉川の間、豪邸たくさんの丘の上。眼下に「岡本民家園」や「静嘉堂文庫」を見下ろし(借景とも言える)館内にも広いお庭にお茶室まで!
と言いますのも、こちらはパイオニアの創始者の元居宅でホントに広いです。フルートのお二人とも数回こちらの会場をお借りして過去に演奏会を開催したことがありますが、鍵盤を使用するのは今回が初めて。

そのピアノは、かの懐かしのショパンコンクールの覇者ブーニンがその当時稽古に使っていた1909年製のブリュートナーのピアノ。ブリュートナーは19世紀半ばにドイツで創業したピアノメーカーです。ファルべの講師二人のいつもの100年くらい前のフルートとしなやかな「響き」の音楽をお届けします。

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2022年11月12日(土)14:30開演(14時開場)
世田谷、 松本記念音楽迎賓館 (世田谷区岡本2丁目32−15)
4000円(全席自由、50名 要予約)
主催:音楽マネージメント ファルベ http://www.flutefarbe.com/
問合せ:farbefl24.info@gmail.com(音楽マネージメント ファルベ)
bergheil69@me.com(筒井)          
後援:一般社団法人 日本フルート協会             

・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚


プログラム
・ヘンデル (1685-1759)
 トリオソナタ op.5-1(HWV396) イ長調
・テオバルト・ベーム (1794-1881)
 メンデルスゾーンとラハナーによる3つの二重奏曲
・シューベルト (1797-1828)
 3つの歌曲(ベームj編)
・シューマン (1810-1856)
 3つのロマンス, op.94
 アラベスケ, op.18
・クロンケ (1865-1938)
 2つの演奏会用小品

2022年10月12日 (水)

ATLASのアップライトピアノFA10 (1988年)で、カルク=エーレルト『簸言集/Aphorismen, op.51』第3曲を

1988年製 ATLAS FA10 で、カルク=エーレルト『簸言集/Aphorismen, op.51』から、第3曲を弾きました。

ATLAS の FA10 は高さが僅かに110cmの小〜さなピアノです。ストレート脚ですが縦に窪みがつけられていてなかなか上品なデザインに見えますね〜。少し赤っぽいマホガニー色の深みが美しく、オーバーホールまでしなくてもきちんと調整しただけで豊かな鳴りが読みがえって充分に楽しめそうな楽器になりました。1980年代後半は国産ピアノが一気に衰えてしまったタイミングですが、それまでの蓄積が凝縮されたかのようなしっかりした鳴り、ちょっと思うところがありますね〜。

Karg-Elert/カルク=エーレルト(エラート)はドイツの中堅作曲家です。西洋音楽の潮流が激変していた時代の真っただ中で皆が模索していた時代に、楽器の音色の色彩感や半音階的な和声進行にこだわりを持っていたフシがあります。この曲集は1905年の出版、副題として「ピアノのための17のスケッチ集」とあり、なかなかユニークな小品集なんですよ〜(・o・ゞ

2022年10月10日 (月)

遠州楽器制作株式会社、ENSCHU E121-P2 新品で、マクダウェル「森のスケッチ, op.51」から第1曲『野ばらに寄す』を

遠州楽器制作株式会社、ENSCHU E121-P2 新品で、マクダウェル「森のスケッチ, op.51」から第1曲『野ばらに寄す』を弾きました。

遠州楽器制作株式会社は、日本の新しいピアノメーカーです。かつて日本では浜松を中心として百社以上のピアノメーカーがありましたが、現在は最大手以外はほとんど全滅して日本のピアノ制作の伝統が途絶えてしまったかに見えますが、ぎりぎりのところで踏みとどまったのが何よりも嬉しいことと思います。MADE IN HAMAMATSU の誇りを持って、安かろう悪かろうでなく「柔らかく美しい音色のピアノ」を作り続けようというその意気や良し!
・遠州楽器制作株式会社: https://enschu-gakki.co.jp/

なお、ロゴ周りの木目は例によってのピアピットの渡辺さんによるカスタム木目塗装仕上げですよ〜(・o・ゞ

2022年10月 7日 (金)

中島みゆき 作詞/作曲『空と君のあいだに』ピアノソロ:1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)

中島みゆきの『空と君のあいだに』を、いつもの1894年製アンティークピアノで弾きました。

『空と君のあいだに』は、1994年発売のアルバム《LOVE OR NOTHING》の斬り込み隊長です。もともとは同年放送された日本テレビ系ドラマ『家なき子』の主題歌として書き下ろされ、このドラマの大ヒットの影響もあってかシングル《空と君のあいだに/ファイト!》は中島みゆき最大の売上枚数を叩き出しました。このドラマ『家なき子』は、主人公の少女を演ずる安達祐美の「同情するなら、金をくれ!」のセリフそして内容のかなりのエグさから、それこそ一世を風靡したと言っても過言ではないでしょう。

とはいえ、楽興製作のタイミングではよく知られるフツーの『家なき子』のストーリーの引き写しと主人公の少女が犬を連れている、という大雑把な情報だけ与えられていて、それに基づいて犬の視線の歌として作られたそ〜な。ですが『空と君のあいだに』の歌詞に入っている<>は犬ではない、とも後年中島みゆき本人がもらしているそうで。なんでも犬が飼い主を見上げたら空は飼い主の向こうに見えるから、その両者のあいだにいろんなことが起こるよね・・・って、ソレ、人間関係森羅万象全部じゃ〜ございませんこと?www

とかなんとか、そもそも、中島みゆき本人の解説だって(だからこそ、かもw)本心かどうかなんてわかりゃしないwワケでして、より一層妄想がふくらむんですよね〜。

 君が涙のときには 僕はポプラの枝になる
  孤独な人につけこむようなことは言えなくて
  君を泣かせたあいつの正体を僕は知ってた
  ひきとめた僕を君は振りはらった遠い夜


1番はこのように始まります。なんつ〜か、も〜安定の中島みゆき風味ですよね〜。この曲の歌詞、いろんな妄想をしてもイイとは思うのですけど、深読みせずに単純に味わった方が静かにしんみりできそうな気がします。そして2番の始まりは

 君の心がわかる、とたやすく誓える男に
  なぜ女はついてゆくのだろう そして泣くのだろう
  君がすさんだ瞳で強がるのがとても痛い
  憎むことでいつまでもあいつに縛られないで


ん〜、これまた安定の「見守る愛」ですよね〜。最後の<憎むことでいつまでもあいつに縛られないで>という着眼点、やはりさすがの中島みゆきでありま〜す。こういうアジな着眼点、ワタクシ大好きなんですよ〜(*´-`)

 空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る
  君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる


「家なき子」ですから、<>という主人公の周りには理不尽なできごとばかり、その主人公を寂しくしかしずっと見つめ続ける<僕>の心の強さはいかばかりでしょう。中島みゆきは「家なき子」だから主題歌は逆に明るい調子にした、とどこぞで触れています。それなのにこのサビの部分の調性が暗く沈みやすい嬰へ短調であるのはクラシック音楽的にもフツーに的確な手法。イ長調で始めてサビを平行短調である嬰へ短調にするという王道ですから覚えやすく、シングル盤がミリオンセラーになったのも納得ですわ〜。



この動画で使っているピアノは100年以上昔、1894年製のアンティークピアノ。このような楽器を使ってこのような曲を弾くのはまことに愉しいです。現代では世間で聞こえる音のほとんどは電気を通していますが、このころに世間で聞こえていた音は生音が主流でした。1877年にエジソンが蓄音機を実用化し、このピアノが作られた1894年にはSPレコードの大量生産ができるようになって、次第に「録音」というシロモノが世間に知られるようになった時代。こんな時代の楽器がどれほど豊かな音世界を伝えていたのか、この動画で使っている楽器は奇跡的にオリジナルほぼそのまま、まさに時代の生き証人です。

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