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2022年9月の5件の記事

2022年9月18日 (日)

マルセル・モイーズ『Tone Development through Interpretation』第78番を、100年前のフルートLouis Lotと1905年製プレイエルで

ベーム式フルートの押しも押されもせぬ名器である、20世紀前半のLouis Lotと1905年製のPleyel、という同時代の楽器を使った夢の協演です。
(Fl. 素来聡子 / Piano 筒井一貴)

「昔の楽器は現代の楽器とは違って・・・云々」とは普通〜に言われますが、我々現代人は現代に頭のてっぺんからつま先まで漬かっているワケで、現代の価値観を通した「曲解」になってしまうのは当然のこと。そしてそれを嘆いて「世の中は間違っている!」と憤慨されることもまた少なからず。考えてみれば、他の世界でも「新品vs中古」という相容れない対立wなんていくらでもありますよね〜。

ワタクシがワリと過激(いやフツ〜w)な「中古派w」なのはみなさまご存知とは思いますが、共演しているフルート教室ファルべのお二方が奏でる100年前のベーム式フルートもまた過激(いやフツ〜w)に当時の価値観を我々に投げかけてきて最っ高なんですね〜。そりゃもぅ高崎のアトリエミストラルで動画収録をしないワケには行きませんで、ひたすらに温かく美しい世界となりました(*´-`)

*フルート教室ファルべ:石井孝治&素来聡子
http://www.flutefarbe.com/

曲は、Bruneau(1857-1934)のオペラ『L'attaque du moulin』第2幕から、Dominiqueのアリア「Le jour tombe, 」です。これまたフルートの世界では忘れることは許されぬマルセル・モイーズ(1889-1984)による、さまざまなオーケストラのフレーズやオペラのフレーズなどからフルートの表現を学ぶための『Tone Development through Interpretation』という曲集がございまして、それに第78番として所収されています。



多種多様な情報がタダで手に入る現代、100年前の楽器を使う奏者こそ増えましたが、昔の楽器を使いさえすれば自動的に他人と異なる豊かな音楽表現がくっついてくるほど甘い世界ではございません。昔の楽器は現代の楽器と比べればある意味「不便」ですし、物理的に「限界が早い」のも当然のこと。それをも正面から受け入れて昔の楽器ならではの芸風で演奏できる奏者はごくごくごくごくw少数派で(実は受け入れた方が圧倒的に演奏しやすいことを知らぬ演奏者が圧倒的多数)、そんなお二人と共演できるのは何という光栄☺️
(現代風味で演奏したら昔の楽器を使う意味なんぞ全くないのですが、現代人は現代の人類wですから、ある意味当〜然の帰結ではあります😞)

2022年9月10日 (土)

遠州楽器制作株式会社、ENSCHU E121-P2 新品で、メリカント『ワルツ・レント, op.33』を

遠州楽器制作株式会社、ENSCHU E121-P2 新品で、メリカント『ワルツ・レント, op.33』を弾きました。

遠州楽器制作株式会社は、日本の新しいピアノメーカーです。かつて日本では浜松を中心として百社以上のピアノメーカーがありましたが、現在は最大手以外はほとんど全滅して日本のピアノ制作の伝統が途絶えてしまったかに見えますが、ぎりぎりのところで踏みとどまったのが何よりも嬉しいことと思います。MADE IN HAMAMATSU の誇りを持って、安かろう悪かろうでなく「柔らかく美しい音色のピアノ」を作り続けようというその意気や良し!
・遠州楽器制作株式会社: https://enschu-gakki.co.jp/

なお、ロゴ周りの木目は例によってのピアピットの渡辺さんによるカスタム木目塗装仕上げですよ〜(・o・ゞ

2022年9月 7日 (水)

中島みゆき 作詞/作曲『かもめの歌』ピアノソロ:1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)

中島みゆきの『かもめの歌』を、いつもの1894年製アンティークピアノで弾きました。

『かもめの歌』は、1993年発売のアルバム《時代 -Time goes around-》のラストに収録されています。もともとはフランスで活躍する歌手・バトリシア・カースの3rdアルバム《永遠に愛する人へ/je te disvous》の日本盤のボーナストラックのために書き下ろされた曲で、中島みゆき初の海外アーティストへの書き下ろし曲だったりします。

『かもめの歌』は重々しい3拍子で始まるのですが、歌が入ってきたときに異様に引きずるようにリズムが軋みます。ワタクシ中島みゆきはそれなりに聴いていますが、このような歌い方をしている曲はちょっと他に見当たらず、いつもの独特な節回しとも違うのでこりゃ困ったなぁ・・・と。まぁコレ何日かで怪決できたのですが、伴奏が3拍子で歌が2拍子としやがっているせいでリズムが軋んで、基本が3拍子という前進しやすい性格を2拍子の歌がムリヤリ引き戻すような効果を生んでいるんですね〜〜〜。実はアルバムでは少なからず混乱していたりしてますが、それが狙いなのかそうでないのかは判断不能です。・・・イヤ、コレ、ど〜やってピアノソロで弾きゃぁイイのよ!!www

1番です
 いつかひとりになった時に
  この歌を思い出しなさい
  どんななぐさめも追いつかない
  ひとりの時に歌いなさい
  おまえより多くあきらめた人の
  吐息をつづって風よ吹け
  おまえより多く泣いた人の
  涙をつづって雨よ降れ


「人は独りで生まれて独りで死ぬ」とは、めんどくさい連中にもそうでもない連中にもw古来ワリと言い古されていようかと思います。そのときに残った「何か」こそが自分が生きた証・・・ともめんどくさく説かれますが、ん〜、ワタクシそれなりに半世紀以上人生を歩んでいますが「あんときにこうしときゃ/しとかなきゃヨかった」という後悔ぐらいしか残ってないんですよね〜。とほほほ。

それでも世間はむっちゃ広いワケで、<おまえより多くあきらめた人>も必ずいるでしょうし、<おまえより多く泣いた人>もいくらでもいることでしょう。そしてそのような状況にならざるを得ない人たちが昨今の世間の混乱でどれほど増えてしまったことでしょう。政治に分断され、疫病に分断され、戦争に分断され、庶民はそれこそ踏んだり蹴ったりですが、そこにいささかなりともうるおいを差し出せるのは他でもない芸術ではないでしょうか。それを自らの歌で体現するのが歌手でして、中島みゆきがその頂点の一つであることは他でもない数字が証明していますね。

「音楽の力」とかなんとか言って安っぽく感動を誘いたがる風潮は以前からありますが、そんなのとは一線を画して(当然かw)この歌はここにあるだけでゆるぎなく広く聴き手を抱擁する力があるように思います。

 あらゆる藝術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。>(夏目漱石『草枕』1907(M40)年)

そしてサビの表現、好きなんですよ〜。

 生まれつきのかもめはいない
  あれは其処で笑ってる女
  心だけが身体をぬけて
  空へ空へと昇るよ


思い出すのも難しいほどにさまざまな経験をしたことで、煩悩の象徴である<身体>から解き放たれた<>だけで<イツモシヅカニワラッテヰル(宮澤賢治『雨ニモマケズ』1931年)ことがもしもできたとしたら、なんと嬉しいことでしょうか(反語w)。



この動画で使っているピアノは100年以上昔、1894年製のアンティークピアノ。このような楽器を使ってこのような曲を弾くのはまことに愉しいです。現代では世間で聞こえる音のほとんどは電気を通していますが、このころに世間で聞こえていた音は生音が主流でした。1877年にエジソンが蓄音機を実用化し、このピアノが作られた1894年にはSPレコードの大量生産ができるようになって、次第に「録音」というシロモノが世間に知られるようになった時代。こんな時代の楽器がどれほど豊かな音世界を伝えていたのか、この動画で使っている楽器は奇跡的にオリジナルほぼそのまま、まさに時代の生き証人です。

2022年9月 3日 (土)

BELTONのアップライトピアノFU33W(1976年製)で、シューベルト『ピアノソナタ D664 イ長調』から第2楽章を

シューベルトの「小さなイ長調ソナタ」として知られるピアノソナタ D664 から第2楽章を、昭和51年(=1976年)納入調律という調律カードが入ったBELTONのアップライトピアノFU33W(Serial No. 303xx)で弾きました。
実は音声の扱いをトチった状態で YouTubeにアップしていたので、アップし直しました💦)

このピアノ、形式が「FU33」でウォルナット仕上げなので「W」が付けられているんだろうなぁと推測。この個体は某教会の所有で、調律カードによると2002年までは数年おきに手を加えられていたようですがそれから20年近く放置されていた由。そのワリには状態がまともで調律しただけでそれなりに豊かな響きが蘇ったのが僥倖で、2022年9月3日にごく小規模で行ったミニコンサートの実況録画でございます。教会の礼拝堂で厳しい日本の夏を越えて調律がところどころアサッテに逝ってますがw、まぁご堪忍くださいませ〜(*´-`)

BELTONは古き佳き時代の国産ピアノ、日本のピアノ製作のメッカであった浜松の冨士楽器/ベルトーンピアノ研究所で作られています。このベルトーンという名称は芸大教授でピアニストであったレオニード・クロイツァー/Leonid Kreutzer(1884-1953)氏によるもので、ピアノの鋳物フレームには誇らしげに<"BELTON" NAMED BY PROF. LEONID KREUTZER>と鋳込んであります。また、古い時代のBELTONの鋳物フレームで<MANUFACTURED SINCE 1937>と鋳込んである写真が複数転がっております。BELTONは「国産ピアノの中でとりわけ音色が良い」という定評はあるようですが、かたや「修復にエラく手がかかる」という評価もあるようで、まぁありがちなバラつきなんだろなぁというのがワタクシ個人の見怪でございます。とりわけ、楽器とはもともとの質よりもナニよりも「履歴の個体差」の方が圧倒的にモノを言いますからね〜。

なお、ロゴが「BELTON」であることからか「ベルトン」とカタカナ書きされることも少なくないようですが、調律師学校を卒業して最初に冨士楽器に就職して最後の数年間勤めた方から「カタカナ書きではベルトーンだった」という証言が得られました。

2022年9月 1日 (木)

10月1日/沈黙は金・雄弁は銀 ACT.2@ソフィアザール駒込

「不要不急」というキーワードで全てが規制されてしまいがちなこのごろですが、ちょ〜っと待っていただきたい。人間という存在を単なる生き物でなく(この表現もチト語弊がありますが)人間たらしめているのは、他でもない「不要不急」ができる存在だからではないでしょうか。音楽活動に限りませんで、およそ全ての人間の活動は等しくそれぞれが自らの尊厳を守るために欠くことができないということ、皆が痛感させられてきたことでしょう。

今般の疫病に対して思うところはそれぞれに強〜烈にございましょうが、この状況についてネット上で文句を言ったところで自己満足のガス抜きにしかならない・・・のはサンザン経験してますよね〜。この国の状況に関わらず従来通りの活動が困難になってしまったのもまた確かですし、それなら範囲を絞った上で自分にできることを細々と続ける以外の選択肢は存在し得ないのではないでしょうか。この不要不急なwピアノ演奏会は10月1日の土曜日です。疫病な奴らは手を替え品を替え我々を試してきやがりますが、疫病があろうがなかろうが、音楽家ができるのは不要不急の音楽以外にはないのでありま〜す。

我々にはすでに感染防止の経験が1年半以上あるワケですから、勘所はかなり理解できているはずです。定員50名のところ半分の25名に減らし、時間も少しコンパクトに抑えての開催、くれぐれも無理はなさらずですが、おいでくだされば嬉しいです。少しでも体調に不安があれば当日でも遠慮なくキャンセルしていただきたく、入場料は当日精算にしてあります。受付でのやり取りを少しでも減らすため、お釣りのないように3000円ちょうどの準備をしていただければ幸甚に存じます。


・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚・*:..。o♬*゚

2022年10月1日(土)14時開演(13時半開場)
駒込、ソフィアザール
(JR駒込駅東口徒歩5分程度/北区中里1-26-10)
3000円(当日精算/25名限定、要予約)
共催 ソフィアザール
申し込み 03-3822-9677
               090-8348-1170(ソフィアザール:遠藤)
           bergheil69@me.com(筒井)

声高で乱暴な主張ばかりの世の中、疲れませんか?

20221001_leaflet_pianos

<プログラム>
 ベートーヴェン (1770-1827)
  ロンド ハ長調 op.51-1
 シューベルト (1797-1828)
  ピアノソナタ D664 第2楽章
 グリーグ (1843-1907)
  「抒情小品集」から
 フィビヒ (1850-1900)
  小品集「気分、印象そして追憶」から
 マスネ (1842-1912)
  いともゆるやかなワルツ
 ゴダール (1849-1845)
  田園に想ふ, op.43
 ヘルマン・ネッケ (1850-1912)
  夜のケーヒニス湖上遊覧, op.241
 デオダ・ド・セヴラック (1872-1921)
  おばあさまが撫でてくれる
                    (曲順不同)

*参考動画(本番の楽器はコレじゃないですよ〜)
デオダ・ド・セヴラック/おばあさまが撫でてくれる

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