中島みゆき 作詞/作曲『熱病』ソロ:モーツァルトの旅行用クラヴィコード(1763, J.A.Stein)の複製(2002年)で
中島みゆきの『熱病』を、かの神童モーツァルトが7歳のとき(1763年)に買ってもらったJ.A.シュタイン製の旅行用クラヴィコードの複製で弾きました。
『熱病』は、1985年発売のアルバム《miss M.》に収録されています。《miss M.》はいわゆる中島みゆきの「ご乱心期」のアルバムですが、少し落ち着きも見られる存在なのかなぁとは思っています。この歌詞は論理的に考えると支離滅裂であるかのように思えますがテクニックとしては比較的簡単で、若さそして青春という「期待と不安に満ちていて、だからこその危うい輝きに満ちた一時期」のことを、それに連関する言葉を紡ぐことで象徴的に謳っているのではないだろうかと。
青春の危うい魅力については古来それこそ星の数よりまだ多いwほどの表現がされていますが、単純に過ぎ去った昔を懐かしむというばかりではなく、果たせなかった夢に対して何やらチクチクするようななんとも言えない感覚が入り込むことが多いような印象があります。後悔とはちょ〜っと違うのがまたフクザツなんですよね〜。
コレは2番ですが、前半が鋭く美しく冴えわたっていると思いませんかの?
<僕たちは熱病だった 知恵が身につく寸前だった
熱の中でみんな白紙のテスト用紙で空を飛んでいた
僕たちは氷の海へ 上着のままで飛び込んでいた
ずるくなって腐りきるより阿呆のままで昇天したかった
でも Ha Ha Ha 春は扉の外で
でも Ha Ha Ha 春は誘いをかける
教えて教えて 秘密を教えて いっそ熱病>
ここで使っているクラヴィコードは筒井本人の所有、モーツァルトが7歳のとき(1763年)にアウグスブルクのシュタインの工房で父親のレオポルドに買ってもらって以後終生愛用した、旅行用クラヴィコード(現在、ブダペスト、ハンガリー国立博物館所蔵)の忠実な複製です。旅行用クラヴィコードは、18世紀の旅の空に生きる演奏家や作曲家によく使われていました。このモーツァルトが使っていた旅行用クラヴィコードはたった1m程度の幅しかありませんが意外と重く丈夫で、音域はなんと4オクターヴ半もあったのでした。
« デュフリ《クラヴサン曲集第1集》所収「組曲第1番」から『Rondeau/ロンドー』を、フレンチクラヴサンで | トップページ | BELTONのアップライトピアノFU33W(1976年製)で、メリカント『ワルツ・レント, op.33』を »
« デュフリ《クラヴサン曲集第1集》所収「組曲第1番」から『Rondeau/ロンドー』を、フレンチクラヴサンで | トップページ | BELTONのアップライトピアノFU33W(1976年製)で、メリカント『ワルツ・レント, op.33』を »
コメント