スクリャービン『2つの詩曲 op.63』から第1曲「Masque」を、1905年製プレイエル3bisピアノ(85鍵)で
スクリャービンの『2つの詩曲 op.63』から第1曲『仮面/Masque』 を、高崎のアトリエミストラル の1905年製85鍵のプレイエル 3bis(トロワビス)型ヴィンテージピアノで弾きました。『2つの詩曲 op.63』は1913年の出版ですからこのプレイエル3bis と同世代、ロシアの宮廷文化は超〜おふらんすかぶれでしたから1905年製プレイエルはまさにピッタリな方向の一つに相違ありません。この時代のピアノが持つ不思議な響きで弾くとこのような怪しさwは魅力百倍 (*´-`)
この『仮面/Masque』はスクリャービン後期の中で飛び抜けて聴きやすく、スクリャービンの「神秘和音」を愉しむためにはもってこいです。例によって楽譜には仏蘭西弁で「秘められた優しさとともに/Avec une douceur cachée」→「謎めいて/énigmatique」→「奇妙に/bizarre」という指示があり、な〜るほど、神秘的とは「得体の知れないナニやら」に対したときの心の動きを示す方法の一つなんだなぁ・・・と改めて納得です。
スクリャービンは神秘思想にたいへんに傾倒し、晩年(と言ってもせいぜい40歳)には自らの生み出した「神秘和音」を執拗に使い倒す一種行き止まり的な音楽を書き続けました。神経質で大変な潔癖症だったのですが、よりによって感染症がもとで亡くなってしまったというのがなんとも気の毒というか人間の業の現れというか、複雑な気持ちにさせられますね〜(まぁ逆に免疫力が落ちてしまったんでしょうナ)。
19世紀末から20世紀初頭にかけては現代的な科学技術が次々と花開いたタイミングで、ピアノに限らず人間の生活が大変に変化したタイミングでもありました。そしてこの時代に生み出された芸術もまた大きく変化したワケでして、あまたの才能そして魑魅魍魎がそれこそうじゃうじゃと湧いていた時代なんですね〜。この時代はまだまだ「魔力」に満ちていて神秘的なナニかに対する感受性も相当に高かった時代でしょうから、たかが現代日本人がこの時代のピアノを使ったところでそれを強く強く念頭に置いて弾かないと一発で返り討ちされるのが怖く、またオモシロいのでありま〜す (`・ω・´)
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