スクリャービン『4つの小品 op.56』から第3曲「ニュアンス/Nuances』を、1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)で
スクリャービンの『4つの小品 op.56』から第3曲『ニュアンス』 をいつもの1894年ベーゼンドルファー製ウィーンアクションのピアノで弾きました。
スクリャービンは神秘思想にたいへんに傾倒し、晩年(と言ってもせいぜい40歳なのですが)には自らの生み出した「神秘和音」を執拗に使い倒す一種行き止まり的な音楽を書き続けました。神経質で大変な潔癖症だったのですが、なんと感染症がもとで亡くなってしまったというのがなんとも気の毒というか人間の業の現れというか、複雑な気持ちにさせられますね〜。スクリャービンの世界は自らの独自な論理そして思想の中に閉じこもってその中での美しさそして幸せを追求し続けたかのように見えますが、さすがに人類の歴史に残るほどの大変態wですから、やはり妙に心に訴えてくる「ナニか」を強烈に備えているように思えます。
『4つの小品 op.56』は1908年の出版。次の『2つの小品 op.57』とともに「神秘和音」の萌芽が随所に見られ、えも言われぬ浮遊感を備えているように感じます。この第3曲『ニュアンス』は比較的わかりやすく、そのため逆に不思議な雰囲気も出しやすかったりします。この1894年製ベーゼンドルファーは現代では失われてしまったこの時代の楽器の響きを現代に伝えてくれている生き証人ですから、このような不思議さが十全に体験できるんですよ〜 (*´-`)
19世紀末から20世紀初頭にかけては現代的な科学技術が次々と花開いたタイミングで、ピアノに限らず人間の生活が大変に変化したタイミングでもありました。そしてこの時代に生み出された芸術もまた大きく変化したワケでして、あまたの才能そして魑魅魍魎がそれこそうじゃうじゃと湧いていた時代なんですね〜。この時代はまだまだ「魔力」に満ちていた時代ですから、たかが現代日本人がこの時代のピアノを使ったところでそれを強く強く念頭に置いて弾かないと一発で返り討ちされるのが怖く、またオモシロいのでありま〜す (`・ω・´)
・op.57-1 欲望/Désir
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