中島みゆき 作詞/作曲『クリスマスソングを唄うように』ソロ:モーツァルトの旅行用クラヴィコード(1763, J.A.Stein)の複製(2002年)で
中島みゆきの『クリスマスソングを唄うように』を、かの神童モーツァルトが7歳のとき(1763年)に買ってもらったJ.A.シュタイン製の旅行用クラヴィコードの複製で弾きました。クラヴィコードはピアノ以前の鍵盤楽器のなかで最も大切とされていたフシがあり、現代古楽器界w周辺では「独りで音楽の神さまと向き合う」ための楽器とみなされて過度に神聖化wされていたりします。ですが、実は、そのような内なる世界は優しく親密な世界でもあるはずで、現代人にとって大切なのはむしろ後者の性格ですよね。なお、クラヴィコードの音量は世人の想像を超えて小さいですから、背景のノイズが気にならない程度の音量に抑えたうえで少〜し耳を澄ませてくださいませ。聴こえてきますよ〜(・o・ゞ
『クリスマスソングを唄うように』は1986年12月18〜21日に両国国技館でのライヴ『歌暦Page86 -恋歌-』で歌われ、それを収録したライヴCD《歌暦》の第6曲めに置かれています。ギターの音を軽く確かめつつ「クリスマス、もうすぐだね」の一言に続いてイントロが始まり、中島みゆきによるギター弾き語りソロとなっています。「中島みゆきがアマチュア時代に作った唯一のクリスマスソング」という曲でなかなか耳にする機会はないのですが、それにしてもそれにしても、クリスマスソングほど中島みゆきに合わないネタはないじゃないのよ〜・・・というのは誰もが納得できるツッコミではないでしょうか ( ̄ー ̄)
<クリスマスソング唄うように 今日だけ愛してよ
暦変われば他人に戻る>
出だしからして、あぁ、納得の中島みゆきでありました。ここでホッとしてしまうのってなかなかのヒネくれ具合だとも思いますが、中島みゆきの世界に引きずり込まれていればしゃ〜ないんですよね〜w(・x・ゞ
<急に慈悲深くなった人々と
そして 変わらずに すげない貴方(ひと)>
すげない=素気ない=素っ気ない、ですね。この季節、街の人々はみんな「クリスマス、楽しんでね〜」というのが挨拶代わりになりますが、それなのにただ一人だけ変わらずに<すげない>のが主人公の想い人であります。う〜ん、これでこそ中島みゆきですなww
中島みゆきにはクリスマスを歌った曲がもう一曲『LOVERS ONLY』がございますが、コレ、恋人たち「ONLY」という題名なんですね〜。それじゃ恋人になっていない主人公はどないせぇっちゅんじゃ・・・というどころか、クリスマスには二人で幸せになろうと言われた相手にフラれている設定なんですから、も〜、これでこそ中島みゆきwww
<街じゅうが今夜だけのために 何もかも変わろうとする夜
ほんのひと月前の別れも 昔のことと許される夜
幸せにならなきゃならないように 人は必ず創られてると
あの日あなたに聞いたのに>(『LOVERS ONLY』2001年)
それにしても、この『クリスマスソングを唄うように』の音楽の切ないこと切ないこと。
<クリスマスを理由に
雪を理由に
云えない思いを 御伽噺>
中島みゆきは、誰もが簡単に見えるような表面的な華やかさではなくその片隅にひっそりとしかしけなげに息づいている存在に眼を向けます。クリスマスシーズンは華やかで浮き立つような季節ではありますが、今年2020年のクリスマスシーズンは例の厄介な疫病のために様変わりさせられてしまっていますね。それでも人それぞれの心の中にはいつも通りの感覚が残っているに相違なく、見てくれの華やかさではない「目に見えない何か」に満たされていることでしょう。それと同時に無念さに満ちたこの2020年を振り返って、<云えない想い>を少しでも少しでも次につなげられることを祈ります。
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