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2020年12月の13件の記事

2020年12月29日 (火)

ベートーヴェン『ピアノソナタ第11番 op.22』から第2楽章を1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)で

もう今週末は来年ですよね〜。せっかくのベートーヴェン生誕250年なのにこんな年になってしまったのが残念でならず、せっかくピアノソナタの緩徐楽章串刺しネタを始めたのにだらだらしてロクに進めなかったのも残念でなりません。・・・とゆコトでw、ベートーヴェン(1770-1827)の『ピアノソナタ第11番 op.22』から第2楽章を、いつもの1894年ベーゼンドルファー製ウィーンアクションのピアノで弾きました。

この楽章、9/8拍子かつ Adagio con molta espressione という例によってベートーヴェン先生の容赦ないところ全開wでありま〜す。拍子には「単純拍子」と「複合拍子」があって云々…というのを現代でも音楽の授業で習うかどうかは知りませんが、9/8拍子が「複合拍子」であって単純に3/8拍子が連なっているワケではないこと、専門家スジでもコロッと忘れられることが案外と多い印象がございます。いちにぃさんにぃにっさんさんにっさん」という大きな3拍子で捉えないといかんワケなのですが、コレを Adagio でたゆまずダレずに行い続けるのはなかなか難儀ですよね〜。しかもベートーヴェン先生ってば、この楽章やたらと長く書きやがったしw

そしてさらに con molta espressione ですから、どないせぇっちゅんじゃと。左手の伴奏音型が基本的に同音連打で9/8拍子をキープしつつの con molta espressione ですから、縛りとして相当なモンですね。しかも、タダでさえテンポが揺れるとなんだか「サマにならなく」なってしまうのがベートーヴェン先生の緩徐楽章ですから、なんとも困ったモンです(困ってないw)。それでも金科玉条なのは基本の基本として四声体で書かれていることで、どこでテンポをキープしてどこで con molta espressione な表現をするのかを考えさせてくれる、というまことに教育的な存在でございますね〜 (*´-`)

長い長い時間の淘汰を乗り越えてきた「古典」という人類の財産は、多少の味つけの偏りなんぞモノともしない堅固な「型」を備えていますが、同時にわずかな味つけの偏りでもバレてしまうような「シビアさ」をも備えています。このような楽章を「それっぽくできるかどうか」こそが音楽の理解力の試金石なのであって、指がまわるとか音がそろえられるとかは理解した音楽を楽器で奏でるための「方便」にすぎないのでありま〜す(`・ω・´)

2020年12月26日 (土)

酸菜完成〜♪

クリスマスのタイミングで、めでたく酸菜ができました♪

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少し塩が強かったので食い過ぎないようにしなきゃと思えど、ウマいウマい。年末まで持つかしらん?w

2020年12月25日 (金)

上尾市、聖学院教会の Farrand & Votey 社1891年製リードオルガンで、Alfred Hollins (1865-1942) 作曲『Evening』を

昨日(12/24)の『Morning』に引き続き『Evening』ですよ〜(^^)v

埼玉県上尾市にある聖学院大学のキャンパス内「緑聖伝道所・教会」に新しい聖堂ができたのは2004年とのこと、その際に当時の主任牧師が「教会の名物にする」との意気込みで古いリードオルガンを購入するも一度コンサートを開いたきりでお蔵入り・・・という、ワリとありそうな話がございまして。このオルガンは1891年デトロイトの Farrand & Votey 製の11ストップの堂々たる棚付きリードオルガン、いつものリードオルガン修理の達人、渡邉祐治氏が軽く手を加えただけで例によって柔らかく美しい音色を奏でる存在に化けたというのが100年前のリードオルガンあるあるでありま〜す (`・ω・´)

曲は、Alfred Hollins (1865-1942) 作曲による『Evening』です。この曲は1899年に『Morning』と2曲セットでロンドンで出版されており、両方収録しました。現代は夜でさえ雪でも積もらない限りは静まりかえることは少ないですが、電気が限られた範囲にしかなかった時代のし〜んと静まりかえっていた夜の雰囲気を彷彿とさせる深い響きの曲です。この時代の楽器は全体がふわっと共鳴するものが多いのですが、アメリカの棚付きリードオルガンも全く同じでして、このような楽器は少ない風量で低音を丁寧に鳴らすとえも言われぬ深い響きに包まれるんですね〜。今年(2020年)ならでは(?)の落ち着いたクリスマスになりますように (*´-`)

Hollins はイギリス中部東海岸のキングストン・アポン・ハルに生まれてエディンバラで活躍した盲目のオルガニストとして知られています。ベルリンでピアノをかのハンス・フォン・ビューロー(1830-1894)に師事し、コンサートオルガニストそしてピアニストとしてコンサートツアーも行った由。即興演奏にも長けていて華やかなショウマンシップがウケていましたが、出版された曲はそのような卓越した即興演奏との連関なく単純な構造で喜びに満ちたものがほとんどでした。



・Morning

2020年12月24日 (木)

上尾市、聖学院教会の Farrand & Votey 社1891年製リードオルガンで、Alfred Hollins (1865-1942) 作曲『Morning』を

埼玉県上尾市にある聖学院大学のキャンパス内「緑聖伝道所・教会」に新しい聖堂ができたのは2004年とのこと、その際に当時の主任牧師が「教会の名物にする」との意気込みで古いリードオルガンを購入するも一度コンサートを開いたきりでお蔵入り・・・という、ワリとありそうな話がございまして。このオルガンは1891年デトロイトの Farrand & Votey 製の11ストップの堂々たる棚付きリードオルガン、いつものリードオルガン修理の達人、渡邉祐治氏が軽く手を加えただけで例によって柔らかく美しい音色を奏でる存在に化けた(というか少し復活したw)というのが100年前のリードオルガンあるあるでありま〜す。

このリードオルガンは今年(2020年)の2月に軽〜く修復されて3月に復活コンサートが行われましたが、年度替りで担当牧師が交代したうえに例の厄介な疫病のために人を集めることもできず、再度お蔵入りになりそうな心配もなきにしもあらずなのですが(^^;;;;;

曲は、Alfred Hollins (1865-1942) 作曲による『Morning』です。この曲は1899年に『Evening』と2曲セットでロンドンで出版されており、両方収録しました。朝の静かで澄んだ空気を彷彿とさせる穏やかな曲、いかにも手鍵盤の足踏みオルガンらしく穏やかで滑らかな雰囲気は、この世界ならではの至福の時間ですよ〜。爽やかなイヴになりますように (*´-`)

Hollins はイギリス中部東海岸のキングストン・アポン・ハルに生まれてエディンバラで活躍した盲目のオルガニストとして知られています。ベルリンでピアノをかのハンス・フォン・ビューロー(1830-1894)に師事し、コンサートオルガニストそしてピアニストとしてコンサートツアーも行った由。即興演奏にも長けていましたが、出版された曲はそのような卓越した即興演奏との連関のないものがほとんどでした。



・Evening

2020年12月21日 (月)

中島みゆき 作詞/作曲『クリスマスソングを唄うように』ソロ:モーツァルトの旅行用クラヴィコード(1763, J.A.Stein)の複製(2002年)で

中島みゆきの『クリスマスソングを唄うように』を、かの神童モーツァルトが7歳のとき(1763年)に買ってもらったJ.A.シュタイン製の旅行用クラヴィコードの複製で弾きました。クラヴィコードはピアノ以前の鍵盤楽器のなかで最も大切とされていたフシがあり、現代古楽器界w周辺では「独りで音楽の神さまと向き合う」ための楽器とみなされて過度に神聖化wされていたりします。ですが、実は、そのような内なる世界は優しく親密な世界でもあるはずで、現代人にとって大切なのはむしろ後者の性格ですよね。なお、クラヴィコードの音量は世人の想像を超えて小さいですから、背景のノイズが気にならない程度の音量に抑えたうえで少〜し耳を澄ませてくださいませ。聴こえてきますよ〜(・o・ゞ

『クリスマスソングを唄うように』は1986年12月18〜21日に両国国技館でのライヴ『歌暦Page86 -恋歌-』で歌われ、それを収録したライヴCD《歌暦》の第6曲めに置かれています。ギターの音を軽く確かめつつ「クリスマス、もうすぐだね」の一言に続いてイントロが始まり、中島みゆきによるギター弾き語りソロとなっています。「中島みゆきがアマチュア時代に作った唯一のクリスマスソング」という曲でなかなか耳にする機会はないのですが、それにしてもそれにしても、クリスマスソングほど中島みゆきに合わないネタはないじゃないのよ〜・・・というのは誰もが納得できるツッコミではないでしょうか ( ̄ー ̄)

 クリスマスソング唄うように 今日だけ愛してよ
  暦変われば他人に戻る


出だしからして、あぁ、納得の中島みゆきでありました。ここでホッとしてしまうのってなかなかのヒネくれ具合だとも思いますが、中島みゆきの世界に引きずり込まれていればしゃ〜ないんですよね〜w(・x・ゞ

 急に慈悲深くなった人々と
  そして 変わらずに すげない貴方(ひと)


すげない=素気ない=素っ気ない、ですね。この季節、街の人々はみんな「クリスマス、楽しんでね〜」というのが挨拶代わりになりますが、それなのにただ一人だけ変わらずに<すげない>のが主人公の想い人であります。う〜ん、これでこそ中島みゆきですなww

中島みゆきにはクリスマスを歌った曲がもう一曲『LOVERS ONLY』がございますが、コレ、恋人たち「ONLY」という題名なんですね〜。それじゃ恋人になっていない主人公はどないせぇっちゅんじゃ・・・というどころか、クリスマスには二人で幸せになろうと言われた相手にフラれている設定なんですから、も〜、これでこそ中島みゆきwww

 街じゅうが今夜だけのために 何もかも変わろうとする夜
  ほんのひと月前の別れも 昔のことと許される夜
  幸せにならなきゃならないように 人は必ず創られてると
  あの日あなたに聞いたのに
『LOVERS ONLY』2001年)

それにしても、この『クリスマスソングを唄うように』の音楽の切ないこと切ないこと。

 クリスマスを理由に
  雪を理由に
  云えない思いを 御伽噺


中島みゆきは、誰もが簡単に見えるような表面的な華やかさではなくその片隅にひっそりとしかしけなげに息づいている存在に眼を向けます。クリスマスシーズンは華やかで浮き立つような季節ではありますが、今年2020年のクリスマスシーズンは例の厄介な疫病のために様変わりさせられてしまっていますね。それでも人それぞれの心の中にはいつも通りの感覚が残っているに相違なく、見てくれの華やかさではない「目に見えない何か」に満たされていることでしょう。それと同時に無念さに満ちたこの2020年を振り返って、<云えない想い>を少しでも少しでも次につなげられることを祈ります。

2020年12月15日 (火)

激安白菜で酸菜の仕込み

寒〜くなったタイミング、なぜか一玉120円の安〜い白菜が2つ入荷。わが母親の引きの強さにはホントに助かるんですね〜(*´-`)

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ひさびさに、塩だけで漬けて乳酸発酵させる中国東北部風の酸菜の仕込みでございま〜す。・・・と言っても、半分に裂いて塩をばばばと擦り込んで重ねて詰め込んで重しをして10日ぐらい放置するだけなんですがね〜(`・ω・´)

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おいしくな〜れ!

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2020年12月11日 (金)

Caleb Simperによる「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」シリーズの第7巻から、第5曲『Aria』を、100年前の大型リードオルガンで

リードオルガンやハルモニウムな時代だった120年ほど昔は「市井の作曲家」がどこにでも活躍できた時代で、その作品のほとんどはひっそりと楽譜棚の奥にしまい込まれているんですよね〜。

そんな作曲家のひとり、イギリスのオルガニストそして作曲家のカレブ・シンパー/Caleb Simper(1856-1942)の「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」シリーズの第7巻から、第5曲『Aria』を、ボストン近郊の Bridgewater で1930年代始めまで頑張っていたパッカード社1905年製の大型棚つきリードオルガンで弾きました。

カレブ・シンパーは普通の愛好家にとって親しみやすく平易な作品を数多く作曲しており、それこそ何万冊の単位でむちゃくちゃに「売れて」いたんですね〜。この「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」だけでも12冊出版されておりまして、その第7巻の第5曲がこの『Aria』です。実はこの「17 Voluntaries for the Organ, American Organ or Harmonium」はオマケが入っているものが5冊もあるという、多作家ってぇヤツはホントにスゴいんだなぁと。この第7巻もオマケが1曲入っています。

2020年12月 9日 (水)

手抜きお手軽鶏レバーのニンニク醤油漬け

100g18円という破格の鶏レバーを1.2kg捕獲、しかもかなり素敵につやつやしたお姿。レバーの臭みは味のうちですし、ハツ内部に残った血のりも良質の栄養源(^o^;;;ゆえ、下処理は軽〜く塩水にさらしてハツについている筋をむしり取るだけでおしまい〜(この季節、水が冷たいしねw)

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あとは、ぐらぐら沸騰させたお湯にど〜んと投入して、温度が下がったところで再加熱。量が多いので再沸騰までに数分かかりますが、それが逆になんちゃって低温調理っぽくできるんですね〜。アク取り? そんなのレバーらしさを減らすだけなのでヤリませんぜ。もったいないし。

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あとは拙宅常備のニンニク醤油に一晩漬けるだけ、手抜きお手軽鶏レバーのニンニク醤油漬けの完成でございま〜す(`・ω・´)

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2020年12月 7日 (月)

だあしゑんか/四谷三丁目

昨日(12/6)の蓮田の オーディオ ギャラリー Café 新空間 からの帰り道。上野東京ラインの小田原行きだったので品川まで一本だなぁとヒラめいたのが百年目w、高輪台の ピアノプレップ にご挨拶に伺うのは当〜然の礼儀。

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それならと、かねてからの懸案(?)の四谷三丁目のチェコ料理店の『だあしゑんか』に向かうのも、まぁ当〜然の礼儀で。

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金曜日に開けてなんと残っていたピルスナーウルケルの樽をきっちり賞味できたのは僥倖でございました。神サマはちゃ〜んとご覧になっておられたらしい(*´-`)

2020年12月 6日 (日)

オーディオ ギャラリー Café 新空間@蓮田、悲しき再訪

オーディオ ギャラリー Café 新空間では演奏会を2回させていただきました。

クリストフォリタイプのイタリアンチェンバロで、ガルッピのソナタ動画あり(2016.6.25.)
クラヴィコード演奏会終演後、ご店主との2ショットあり(2017.10.29.)

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昨年、ご店主ががんを発症するも抗がん剤治療がうまく行った・・・と7月に伺って安心して快気祝いを伸ばし伸ばしでしばらくご無沙汰していて、一年半ぶりに連絡差し上げたところ、なんと昨年10月に急変してお亡くなりになっていたことを伺って急ぎ馳せ参じた次第。

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ご遺品の自作アンプを聴かせていただきながら、しばし故人を偲ぶひととき。「新空間」の名が体を表す落ち着いた良い空間は土日だけですが健在、奥さまができる範囲でなんとか続けるとのことで、なんとなく心がゆるみました(*´-`)

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2020年12月 5日 (土)

YAMAHAのグランドピアノG5(PIAPIT修復&カスタム塗装/1976年)で、サティの『冷たい小品集/Pièces froides』第2集『3つのゆがんだ踊り/Danses de travers』から、第1曲を

ひさびさに印西市のピアノ修理工房ピアピットでの動画しぅろくのおしごと〜 (*´-`)

※この楽器は、今、島村楽器ピアノショールーム八千代店で展示ちぅですよ〜♪

オーバーホールのみならずピアピットお得意のカスタム塗装の集大成な一品ですぞ。現代ピアノの象徴たる鋳物のフレームそして本体、譜面台にまさかの桜吹雪っぽいデザインを散らした YAMAHA G5 です。修復したての楽器はいかにも若い感じで音色も華やかで元気なことが多いのですが、小一時間音出しをして「血のめぐりを良くした」結果、重厚な低音を楽器から引き出せてホッ。映像では桜吹雪の美しさはなかなか伝わりづらいですが、実物はか〜なり美しいです。ワタクシこの楽器の下塗りの段階から目にしているので、この凄さを目の当たりにしてちょ〜っと感動でございましたぜ (`・ω・´)

  *ピアノ工房ピアピット(千葉県印西市)のチャンネルです
   ピアノは本気で直せば古いピアノでも必ずよみがえります
   http://www.piapit.com/repair.html

E.サティ(1866−1925)作曲
『冷たい小品集/Pièces froides』第2集『3つのゆがんだ踊り/Danses de travers』から、第1曲
ジムノペディやグノシエンヌに見られるように、同じパターンを少しずつ変えて行く語法はいかにもサティっぽいですね。そして前触れもなくオモシロい展開をぶっこんできてw知らん顔を決め込むところ、まさにサティの面目躍如ではないでしょうか。

2020年12月 3日 (木)

カスタム塗装 YAMAHA G5 動画しぅろく@ピアピット

ひさびさに印西市のピアノ修理工房ピアピットでの動画しぅろくのおしごと〜 (*´-`)
工房の一角に古そうな薪ストーブを発見、なるほど、ココは廃木材がいろいろ出るから有効活用してるんですね〜。

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ココはあくまでもピアノ修理工房ですから、動画しぅろくはなんとか場所を空けて録るのが当然のお作法。いかにも海賊船みたいな修理工房らしい雰囲気が出てピアピットらしいのですが、ワタクシは無類の寒がり。この日はエラく寒かったので十二分に重ね着をして行って大正怪。果たして微妙に寒い空気が忍びよってくる場所にグランドピアノがど〜ん、備えあれば憂いなしw

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さてこのグランドピアノ、オーバーホールのみならずピアピットお得意のカスタム塗装の集大成な一品。現代ピアノの象徴たる鋳物のフレームそして本体、譜面台にまさかの 桜 吹 雪(的な模様w)を散らした YAMAHA G5 でした。

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塗装面が見事に鏡面なので、工房の海賊船状態がキレイに映り込んでますね〜w

2020年12月 2日 (水)

中島みゆき 作詞/作曲『雪傘』ピアノソロ:1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)で

中島みゆきの『雪傘』を、いつもの1894年製アンティークピアノで弾きました。

『雪傘』は2008年に発売された工藤静香のシングル《NIGHT WING/雪傘》のための1曲です。静かに独りつぶやくような淋しく切なくまことに哀しい唄で、中島みゆきは2010年発売の自身のアルバム《真夜中の動物園》でセルフコピーしています。『雪傘』《真夜中の動物園》ではラスト『愛だけを残せ』の前に置かれていますが、アルバムのラストへの道しるべとして秀逸な一曲と思います。この曲も転調の妙が素晴らしく、まずイントロがロ短調なのに一瞬でロ長調に変わる唄い出しが光ります。そこからニ長調に移るのはまぁ普通なのですが、ラストのラスト、ニ長調で万感の想いを込めて語り終わった刹那、後奏で「ふっ」とヘ長調にすべりこむのがもぅキュン死ですよ〜〜〜〜。

最初から最後まで人類が厄介な疫病の前に屈したこの2020年、こんなやるせない状況を自分の誕生日に語るためにふさわしい曲だと思って選曲したのですが、耳コピしていても弾く稽古をしていても沸き上がってくる無念さを抑えるのがことのほか難しく、たびたび中断を余儀なくされました。詩がしっくりきてしまうというのはなかなかに怖いことでしたが、それでもなにやら救われる感じにしてもらえるのは中島みゆきの力なのでしょうか、詩の力なのでしょうか、音楽の力なのでしょうか。是非ともこの『雪傘』『荒野より』とを併せて味わっていただければと思います。

 迷惑でなければ傍にいて  車を拾うまで雪の中
  これきりと心で決めている私の  最後のわがまま聞いてね
  灯り溢れる窓からは  疑いもしない歌がこぼれ来る
  「Happy Birthday 今日の主役は何処?」
  誰かが気づいて探しに来るまで
  雪傘の柄に指を添えて
  思い出を返しましょう


『雪傘』の1番です。雪の降る日、相手の誕生会にそっと別れを告げにきた主人公。限りない哀しみに満ちているのは確かですが、同時になんとも静かで美しい情景ですね。あくまでもひとときの情景に過ぎないのですがさまざまな感興を呼び起こしてくれますし、最後の<雪傘の柄に指を添えて 思い出を返しましょう>のまぁなんとも美しいこと。この情景からして<雪傘>とは相手が主人公にさしかけている傘のことで、その柄に指を添えるということは相手の手に指を添えているひとときに他ならないんですね。ちょ〜っとウルウル来ませんこと?

 足跡消しながら後ずさる  雪の上逃げる小ギツネみたいに
  小枝の代わりに嘘を抱いて  思い出消しながら遠ざかりましょう

  「Happy Birthday」
  今日を祝う人が居てくれたのなら  安心できるわ
  いつまで1人ずつなんて良くないことだわ  心配したのよ
  雪傘の柄に指を添えて
  ゆく時を聞いている


2番です。部屋の中にはすでに相手の誕生日を祝う人が居るのでしょう。それに対して<安心できるわ>と語るのは、主人公が最後まで相手を優しく思い遣る気持ち、否、精一杯の強がりなのでしょうね。<小枝の代わりに嘘を抱いて 思い出消しながら遠ざかりましょう>ですから、<思い出を消す>のも<安心できるわ>も、そして相手に別れを告げることも、全て主人公の嘘。そりゃまぁ当然のことで、このような状況で未練がなかろうハズがございませんわ。

 ありとあらゆる悲しいことから
  あなたが守ってくれていたんだね
  当たり前のように暮らした  あの頃
  アリガトって伝え忘れたね


3番、まさに起承転結の「転」のお手本のような一連ですね。大切ななにかこそ失ってはじめて存在の大きさを知る、というのは古来言い古されてきた真理ではありますが、それをこんなに短い一節に込められるとは。静かな静かな『雪傘』ですが、この短い一節に込められた激情たるや、まさに万感の想いというにも足りぬ、ほとばしり出る強い強い想いであります。

 「Happy Birthday」
  今日を祝う人が居てくれたのなら  安心できるわ
  いつまで1人ずつなんて良くないことだわ  心配したのよ
  雪傘の柄に指を添えて
  ゆく時を聞いている
  思い出全部  アリガト


厄介な疫病のために人類が失ったものは計り知れず、それはあらゆる人が人生を根本からひっくり返されてしまったほどの衝撃で、今なおとどまるところを知らないですね。既に指摘されていることではありますが、これって実は、従来いわゆる「人類の繁栄」とされてきたシロモノがきわめて脆弱だったことが明るみに出たということではないでしょうか。いわゆる「人類の繁栄」とは基本的に経済的物質的な繁栄だった(過去形にしますぞ)と思いますが、そのような「目に見えやすい何か」は多分に表面的な存在であって儚いものだというのもず〜〜〜っと指摘され続けていますよね。

 かんじんなことは、目に見えないんだよ(サン・テグジュペリ『星の王子さま』1943年/内藤濯訳)

まことに僭越ではありますが、今般の厄介な疫病によって断ち切られてしまった全てのつながりそして「目に見えない大切な何か」のために、この演奏を贈りたいと思います。

 思い出全部  アリガト



もう一本、この厄介な疫病による混乱当初に出演したオンラインコンサート『OLOL2020』で、「目に見えない大切な何か」について中島みゆきの詩と音楽を借りて語りました。併せてご覧くださればと思います。

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