スクリャービン『2つの小品 op.57』から第1曲「欲望/Désir」を、1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)で
スクリャービンの『2つの小品 op.57』から第1曲『欲望」 をいつもの1894年ベーゼンドルファー製ウィーンアクションのピアノで弾きました。
スクリャービンは神秘思想にたいへんに傾倒し、晩年(と言ってもせいぜい40際なのですが)には自らの生み出した「神秘和音」を執拗に使い倒す一種行き止まり的な音楽を書き続けました。神経質で大変な潔癖症だったのですが、なんと感染症で亡くなってしまったというのがなんとも気の毒というか人間の業の現れというか、複雑な気持ちにさせられますね〜。スクリャービンの世界は自らの独自な論理そして思想の中に閉じこもってその中での美しさそして幸せを追求し続けたかのように見えますが、さすがに人類の歴史に残るほどの大変態wですから、やはり妙に心に訴えてくる「ナニか」を強烈に備えているように思えます。
『2つの小品 op.57』は、スクリャービン後期への入り口とされる美しくもまことに不思議な作品です。第1曲が「欲望」で第2曲が「舞い踊る愛撫」ですから、それだけでもうタマランですよね〜。スクリャービン自身、この op.57 を好んでいたようで、わりと演奏しているようです。ピアノロールの録音も残っておりますし。
19世紀末から20世紀初頭にかけては現代的な科学技術が次々と花開いたタイミングで、ピアノに限らず人間の生活が大変に変化したタイミングでもありました。そしてこの時代に生み出された芸術もまた大きく変化したワケでして、あまたの才能そして魑魅魍魎がそれこそうじゃうじゃと湧いていた時代なんですね〜。この時代はまだまだ「魔力」に満ちていた時代ですから、たかが現代日本人がこの時代のピアノを使ったところでそれを強く強く念頭に置いて弾かないと一発で返り討ちされるのが怖く、またオモシロいのでありま〜す (`・ω・´)
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