ベートーヴェン『ピアノソナタ第6番 op.10-2』から第2楽章を1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)で
ベートーヴェン(1770-1827)の『ピアノソナタ第6番 op.10-2』から第2楽章を、いつもの1894年ベーゼンドルファー製ウィーンアクションのピアノで弾きました。
この第2楽章は Largo でも Adagio でもなく、Allegretto です。すなはち「小さなAllegro」であって、Allegroの「快適なスピード感」ほどではないのですがあくまでも「遅い楽章ではない」ところが心地よい気がします。3/4拍子というところで舞曲的な要素が加味されやすいのも確かでしょうが、この楽章の雰囲気だとメヌエットというにはチト違うような(まぁ実際メヌエットとは題されてないのであたり前w)。
このような楽章ってイイ感じで「雰囲気を出す」のがなかなか難儀でして、ともすれば何かを表現しているように自らをゴマかすためにテンポを揺らしてしまったりするんですよね〜。「曲の全体像を捉える」とかいう言葉を使いさえすれば理解した気になりやすいのは確かですが、このような抽象的な言葉を使ったところで出てくる音楽が変化しないのであれば実はナニも理解していないのがバレバレ。音楽って誰もが等しく取り組めるものですし、そうでなければならないのですが、それだけにちょっとした味のかたよりで「なんか違う感じ〜」という感想が出てきてしまうのがなかなか怖いです。
長い長い時間の淘汰を乗り越えてきた「古典」という人類の財産は、多少の味つけの偏りなんぞモノともしない堅固な「型」を備えていますが、同時にわずかな味つけの偏りでもバレてしまうような「シビアさ」をも備えています。このような楽章を「それっぽくできるかどうか」こそが音楽の理解力の試金石なのであって、指がまわるとか音がそろえられるとかは理解した音楽を楽器で奏でるための「方便」にすぎないのでありま〜す(`・ω・´)
ベートーヴェンの時代のピアノのアクションはウィーン式アクションとイギリス式アクションに大別できてイギリス式アクションが現代のピアノと直結しているのですが、実はベートーヴェン自身はウィーン式アクションのピアノの方を好んでいたのです。この1894年製ベーゼンドルファーとベートーヴェンがまだ生きていた1820年代のウィーン式ピアノを同じ空間で弾き比べる機会があったのですが、なんと音も響きもそっくりでノケぞりました。さすがは時間が止まっているウィーンの楽器、いわゆる「ウィンナトーン」ってぇシロモノはシェーンベルク(1874-1951)が生まれ育った時代まであまり変わっていなかったんですね〜(・ω・ゞ
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