中島みゆき 作詞/作曲『愛詞(あいことば)』ピアノソロ:1894年ベーゼンドルファー社製ピアノ(ウィーン式アクション/85鍵)で
中島みゆきの『愛詞(あいことば)』をアンティークピアノで弾きました。
この『愛詞(あいことば)』は2013年に中島美嘉に中島みゆきが提供した曲で、MBS・TBS系テレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』のエンディングテーマに採用されました。そして中島みゆき自身も翌2014年にアルバム《問題集》でセルフカバーしています。しかも1曲めという特別な位置でしてね
中島みゆきは自身の詩の解釈を徹底して読み手に任せて「黙して語らず」の姿勢を貫いていますが、この『愛詞(あいことば)』では英語の題名『PASSWORD OF LOVE』のおかげで大変に怪釈wしやすくなっている気がします。
・1番のラスト
<わかる人にしかわからない それでいい愛詞(あいことば)>
・2番のラスト
<心の扉の鍵になれ ひと粒愛詞(あいことば)>
なるほど、まさに<PASSWORD>ですね。このささやかな愛は厳にあなたとわたしだけのもの、他人にはわかってほしくない・・・という気持ちを表現するために<PASSWORD=愛詞(あいことば)>という語を使うとは、今さらですが中島みゆきの尋常ならざる言語センスに慄然とします。心のうちに秘めつつ相手を想いつづける苦しみはまことに厄介ですが、ま〜、これがまた甘美なんですよね〜(・x・ゞ
<ありふれた男と ありふれた女が
群像の中で 突然の中で 特別な人になる>
『愛詞(あいことば)』をひとたび交わした間柄になると、どんなに混沌とした状況でも常に<特別な人>として心の中に居続けてくれるということ、誰もが身に覚えがあることでしょう。まぁそうでない「片想い」という状況も勝手に相手を<特別な人>に仕立ててしまうモンですが、それはさておきw、恋とはそれこそ前触れもなく襲いかかってくるシロモノで、<突然の中で>「落ちる」ものでありま〜す(・o・ゞ
<願いごと増えました 独りなら願わない>
この対句法のな〜んとまぁ巧みなことでしょう! だいたい、人間なんつ〜弱い存在は他者との関係が希薄だと不安に陥るwもので、孤独感とは他者から必要とされていないだけで生じるものではなく、他者を必要としないと思い込んでいるはずの「己」にも実はのしかかってくるんだよなぁ・・・と。
<ひとりでも私は生きられるけど
でもだれかとならば 人生ははるかに違う
強気で強気で生きてる人ほど
些細な寂しさでつまずくものよ>(『誕生』1992年)
<もしもあなたが全て正しくて とても正しくて 周りを見れば
世にある限り全てのものは あなた以外は間違いばかり
つらいだろうね その1日は
嫌いな人しか 出会えない
寒いだろうね その1生は
軽蔑だけしか いだけない>(『NOBODY IS RIGHT』2007年)
強がりは孤独の裏返し、そして、強がりは自己洗脳。あらゆるひとに<心の扉の鍵>は天から等しく用意されているはずですが、この鍵をどうやって見つけ、そしてどのように使うのかは結局は「己」次第だ!
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コメント
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いつも中島みゆきの曲を紹介していただき有難うございます。
クラシック音楽のファンであり、中島みゆきに関心はあるもものファンというわけではない小生にとっては、筒井さんに紹介される曲はこんないい曲があったのという、眼からうろこの感じです。
特に今回は、「あいことば」に関する考察恐れ入りました。
筒井さん結構ロマンティストですね。
毎回ブログを覗くのが楽しみです。
投稿: モーツァルティアン488y | 2018年5月26日 (土) 22時32分