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2018年2月23日 (金)

中島みゆきの生誕祭によせて『歌姫』を、1894年製ウィーン式アクションのベーゼンドルファーで

本日(2/23)は、中島みゆきの誕生日ですよ〜。
ウチの秘蔵っ子120年選手、ウィーンアクションの1894年製ベーゼンドルファーを使ったピアノソロで有名な『歌姫』をどうぞ(・o・ゞ

1982年発売のアルバム「寒水魚」の最後を飾るこの曲、稀代のストーリーテラーである中島みゆきの真骨頂の一つと言っても過言ではないでしょう。このアルバム「寒水魚」(タイトルは「熱帯魚」に対する中島みゆきの造語とのこと)およそ派手さとは無縁のアルバムですが、なんと1982年度のオリコンチャート1位を獲得しています。瞬間風速として1位にかするwことはあっても、このメンツ↓の中での1位とはハンパない価値ではないでしょうか。

 1位 寒水魚/中島みゆき ・・・ 75.7万枚
 2位 FOR YOU/山下達郎 ・・・ 69.7万枚
 3位 Nude Man/サザンオールスターズ ・・・ 69.6万枚
 4位 起承転結II/松山千春 ・・・ 66.6万枚
 5位 over/オフコース ・・・ 64.7万枚
 6位 パイナップル/松田聖子 ・・・ 58.5万枚

1980年の国勢調査によると日本の世帯数は3601万5000世帯、単純に割り算すると、当時はオリコン上位のレコードが1年間で2%程度の世帯=50世帯に1枚くらいの割合で行き渡る時代だったのですね〜。「寒水魚」のようにキャッチーさが少ないアルバムであっても、その中に秘められた中島みゆきの詩のパワーと歌唱力の高さあってのこの結果なのでしょうが・・・そんな曲をピアノという歌詞の無い楽器で弾こうとするワタクシ、我ながらアホな挑戦でございます(・x・ゞ

 <淋しいなんて 口に出したら
  誰もみんな うとましくて逃げ出してゆく
  淋しくなんかないと笑えば
  淋しい荷物 肩の上でなお重くなる


人とはすべて孤独を抱えている存在でしょうが、そんな姿を他人に見せたところで仕方ないですし、だいたい親しい友人であってもそんな「弱い自分」なんて簡単には見せられようはずがございませんね。それなのにこの1番の出だしで<淋しい>が3回も出てくるのは、刷り込みとしてかなりの効果と言えましょう。

 <南へ帰る船に遅れた
  やせた水夫 ハーモニカを吹き鳴らしてる
  砂にまみれた錆びた玩具に
  やせた蝶々 蜜をさがし舞いおりている


日本人の国民性を表しているであろう演歌は「北」志向が非常に強く、<北へ向かう>とか<北へ帰る>とかが非っ常〜にw多いです。対してこの2番の出だしの<南へ帰る>という表現は、その他歌謡曲系であっても滅多にお目にかからない印象があります。ここへ思い出してほしいのはアルバム名が「熱帯魚」ではなく「寒水魚」という、イメージとして南の温かい水ではなく北の冷たい水の中で生きている魚であること。さびれた港町の一角の荒涼と寒々しげな情景と相まって、どこか諦めのような空しさがつのるような気がします。

 <男はいつも 嘘がうまいね
  女よりも子供よりも 嘘がうまいね
  女はいつも 嘘が好きだね
  昨日よりも 明日よりも 嘘が好きだね


男は嘘がうまく、女は嘘が好き、それならば人生がみな<>になるのもむべなるかな。それでも人は嘘で塗り固めた己の人生を、空しくても諦めずに生き続けねばならぬワケでして。
・・・そういえば、かのベートーヴェンの最期の言葉とされているのは<諸君、喝采したまえ、喜劇は終わった(Plaudite, amici, comoedia finita est)>でしたっけ。
*ベートーヴェンの言葉はご多分に漏れず脚色されているそうで、正確には異なるとのことですがw

人の一生は<>みたいなもの、それを粛々と受け入れつつ生き続け、詩の各節の最後に高らかに唄いあげるのが・・・

 <夢も哀しみも欲望も 歌い流してくれ

これぞ神の一つの化身であろう『歌姫』に向かって投げかける、人生の代弁者である中島みゆきからの詩と唄を通した深く強いメッセージなのではないでしょうか。最後にやはり思い出したいのは、翌年1983年に発表されたアルバム「予感」のこれまた最後を飾る『ファイト!』というこれまたこれまた強い強〜い曲の各節の最後、皆に向かって投げつける力強いメッセージ。

 <ファイト!   闘う君の唄を
  闘わない奴等が笑うだろう
  ファイト!   冷たい水の中を
  ふるえながらのぼってゆけ


この『ファイト!』の導入部で語られる 私の敵は 私です という一言は、多少なりとも人生に揉まれた人物ならばぐっさりと突き刺さってくる刃ではないでしょうか。そして同時に最後の一節、キーをぐいっと上げて唄うのが・・・

 <ああ 小魚たちの群れきらきらと 海の中の国境を越えてゆく
  諦めという名の鎖を 身をよじってほどいてゆく


この閉塞感からの開放感、中島みゆきの詩の中でもとりわけ美しい表現なのではないでしょうか。中島みゆきの詩と唄に救われた人は想像以上に多いようですが、これら『歌姫』『ファイト!』の2曲だけでもなるほど・・・と思わされます。いやはや、恐るべし。

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