シューマンの命日によせて、『アラベスク op.18』
本日(7/29)は、シューマン(1810-1856)の命日ですよ〜。
シューマンもロマン派時代の芸術家のご多分に漏れずにファンタジーの世界の住人でしたが、シューマンのファンタジーの方向はおよそ常軌を逸していたのではないかなぁ・・・とすら思えるほどに独特かつ精妙そして病的である気がします。
シューマンの音楽はどの楽器のための音楽でも妙に弾きづらい箇所が必ず存在し、このことは、シューマンにとっては楽器の性能や性格よりも自身の頭の中に描かれたファンタジーの方がはるかに大切であった、と思えてなりません。このようなシューマンの音楽を演奏するとき、楽譜を「正確に読む」だけでなく楽器の周りの空間で起きるまことに不可思議な現象(音響現象から想起される不思議な空間感覚・・・とでも申しましょうか)を多面的重層的に(実際のところはなんとな〜く、なのですがwww)感じ取りたい! という姿勢が不可欠でしょう。
ともすれば、現代人の演奏は「・・・のような表現をする」という明快な方向になりがちですが、そのような姿勢ではシューマンの妄想wの世界の入り口の扉を叩くことすら不可能。現実世界はとにかく不思議なことに満ち満ちており、それをとにかく<不思議で魅力的な姿>として大まかに感じ取ろうという姿勢、既に現代人にはもはや困難な姿勢とも言えましょうが、これこそがファンタジーの世界に遊ぶ姿勢でありま〜す (`・ω・´)シャキーン
人類はあくまでも生き物の世界の一員ですから、他の動植物のような<感覚>も心の奥底にかならず潜んでいます。生存のためには全く必要でない「芸術」がインフラが発達した現代でも消え去らないのは、このような<原初的な感覚>を呼び起こしているからこそではないでしょうか。
シューマンの『アラベスク op.18』を、1909年ライプツィヒのブリュートナー製、かつてのドイツ皇帝ヴィルヘルム2世が従妹のアレキサンドラ皇后(ロシア最後の皇帝ニコライ2世の妻)に贈ったものと言われている、特別なピアノでどうぞ!
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