モーツァルト生誕祭によせて最初期の作品 K.9(5a)を、モーツァルトの旅行用クラヴィコードで
1763年、モーツァルト一家は7歳のアマデウス君とともに長期のヨーロッパ旅行に旅立ちます。最初に立ち寄ったのがアウグスブルクのかの有名な鍵盤楽器製作家のシュタインの工房、ここで一家は旅行用クラヴィコード(Reiseclavichord)を入手します。その楽器の完全コピーを使って弾いた、クラヴィーアのための小品 K.9(5a)です。
この作品は姉ナンネルの楽譜帳にアマデウス君が自ら書いており、筆跡からおそらくこのクラヴィコード入手後1年程度の1764年後半あたり、J.C.Bachと出会って以降のタイミングでロンドンで書かれたのではなかろうか、とされています。
クラヴィコードという鍵盤楽器はまだまだ市民権を得ているとは到底言えない楽器ですが、実は非常に小さな音量ながらも極めつけに世界観が多彩で、数ある鍵盤楽器の中でもとりわけ大切とされていた楽器でした。
C.P.E.Bach は名著『クラヴィーア奏法試論』の中で「チェンバロとクラヴィコードの両方を持つのが望ましいが、どうしても一方しか持てぬときはクラヴィコードを持つべし」と書いています (`・ω・´)シャキーン
2015.4.7. 池袋、重要文化財:自由学園明日館 Room1925
モーツァルトの旅行用クラヴィコード(シュタイン製):筒井 一貴
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