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カテゴリー「音楽>楽器>フォルテピアノ」の13件の記事

2017年11月19日 (日)

シューベルトの命日に寄せて&11月16日/シューベルト即興曲をオリジナルフォルテピアノで、ライヴ動画

本日(11/19)はシューベルトの命日ですよ〜(・o・ゞ
2017年11月16日に行った『 古典鍵盤楽器 徒然草 六 〜シューベルト『即興曲集』をオリジナルフォルテピアノで〜@池袋、自由学園明日館 』本編後半ライヴ録画、シューベルト(1797-1828)の即興曲遺作(D935/op.142)より、第2番です。

ここで使っているピアノは200歳、シューベルトが生きていた1820年ごろのウィーン式のオリジナル楽器。現代のコピー楽器も文句ないほどに良くなりましたが、オリジナル楽器というのは方向性が本質的に全く異なる楽器なんだなぁ・・・と感じざるを得ません。そして、オリジナル楽器と時による残酷な淘汰をくぐり抜けてきた一大作品の前では、自分ごときが信じている程度の「美しい楽音」なんてぇのは屁のツッパリにもならぬ・・・という恐ろしさを否が応でも感じさせられます。

現代、なんらかの製品を市場に出すためには、情報力を駆使していわゆる「良いもの」であるための条件をあらゆる方向から比較検討するのが当然のこと。しかし、そのプロセスはともすれば「悪そうなことを全てつぶす」という方向になりがちで、この「つぶす」という姿勢は「前向きなエネルギー」ではございません。また「悪そうなこと」として気づくポイントはだいたい似てますし、そもそも「ケチ/難癖をつける」のは簡単ですから、結果的に方向性が似てしまうのも当〜然のことかと(・x・ゞ

そもそも電気照明が一般的でないほどの昔(たかだか百数十年前ですね)には暗くなってからの残業なんぞ積極的にできたハズもなく、さらにあらゆる作業に現代とは比べ物にならぬほどの手間ひまがかかっていたワケです。すなはち、昔は実労働時間ははるかに少なく効率もはるかに悪かった時代です。そのような時代にモノづくりをしたいとき、あなたならどうしますか?

・・・かくして、昔は夢と希望にあふれていつつナニか絶妙〜に残念なw素敵なモノたちにあふれていたのではないでしょうか。現代人がもはや後戻りできない世界、そのような世界にいい知れぬ「豊かさ」を感じるのもまた、果てしもない夢なのかも知れないですね。

2017年11月16日 (木)

11月16日/シューベルト即興曲をオリジナルフォルテピアノで 盛会御礼

本日(11/16)の『 古典鍵盤楽器 徒然草 六 〜シューベルト『即興曲集』をオリジナルフォルテピアノで〜@池袋、自由学園明日館 』は、おかげさまで満席(+α)の中、無事終演いたしました。みなさま、どうもありがとうございました!

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二年半にわたる丁寧かつ真摯な耐震工事を終えた重要文化財の建物、ピカピカになりすぎることもなく、相変わらずの落ち着いた佇まいが麗しく。重要文化財に対する現代の耐震工事ですから、細部の精度を洗い直して現代の知見との整合性を充分に検討した上での作業だったことでしょう。以前には少〜しだけ気になっていた外部からの音がほぼ気にならぬほどになったという、演奏家にとっての副次的効果も顕著でビックリ。

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壁の漆喰材そして床材も部分的に新品になっており、以前に比べて音が明晰になった理由の一つなのかなぁ、とも。ともあれ、現代ではそうそう体験するのが難しい、昔ながらかつ状態が良いいにしえの洋館でのコンサートが続けられること、なによりも嬉しいことでありました。
みなさま、これからもどうぞよろしくお願いいたします!m(._.)m

2017年7月29日 (土)

シューマンの命日によせて『トロイメライ』を、1843年製J.B.シュトライヒャーで

今日(7/29)は、シューマン(1810-1856)の命日ですよ〜。
シューマンが生きていた時代の1843年J.B.シュトライヒャー製のオリジナルフォルテピアノで、かの有名な『トロイメライ』を弾きました。

シューマンが生きていた頃に製作された楽器、というだけでシューマンを弾くのに最適・・・と言えるほどコトは単純ではございませんが、少なくとも楽器を製作した人物の「心のあり方」は現代人のそれよりもはるかにシューマンと共通点が多いのは明白でしょう。このような楽器で妄想wをたくましくして演奏できるのは、まことに嬉しいことでありま〜す (`・ω・´)シャキーン

2017年3月26日 (日)

ベートーヴェンの命日によせて『ピアノソナタ第31番 op.110』より第3楽章を、オリジナルブロードウッドピアノで

今日(3/26)は、ベートーヴェンの命日ですね〜。
後期三大ピアノソナタの一つ、ピアノソナタ第31番 op.110 の第3楽章を、この時期にベートーヴェンが所有していたピアノと同型でほぼオリジナルそのままで残っており、修復も最低限に止められているブロードウッド製フォルテピアノで弾きました。

2001年10月金沢の石川県立音楽堂のオープニングで『音楽堂 楽器博物館』が企画され(交流ホール)、大阪は堺の「フォルテピアノヤマモトコレクション」の楽器が確か6台展示されました。その楽器を使って2度の週末でコンサートを5回行いまして、いやはや、当然ながら曲目は全て異なるワケで、コレでか〜なり鍛えられましたわ〜(・o・ゞ

この映像は自分の小型デジタルビデオで録ったものですが、内蔵マイクの音が予想以上にマトモでびっくりでした。
・・・それにしても15年以上昔、ワタクシも別人ですねん(・x・ゞ

2017年3月25日 (土)

ドビュッシーの命日によせて『アラベスク第1番』を、プレイエル1858年製のピアニーノで

今日(3/25)は、ドビュッシーの命日ですね〜。
有名(すぎる)な『アラベスク第1番』を、ドビュッシーが生まれる数年前の1858年にパリで製作された、プレイエル社のピアニーノ(85鍵、鉄骨無し)で。4年前の動画で御免です。m(._.)m

このピアニーノはショパンが自宅に持っていたピアニーノと構造的にはほとんど変化がなく、この時代ではすでに古い機構の楽器でしたが、このような曲にはいかにもふさわしい楽器の一つではなかろうかと。

また、この楽器は真摯かつ非常に理解度が高い技術者の手でオリジナルの思想に忠実な修復がなされており、この楽器ならではの体験ができるかもしれません(・o・ゞ

修復は、ピアノ・バルロン・ジャパンhttp://francepiano.jp/home.html)と、さいたまピアノ工房http://saitama-piano.main.jp/)です。ともに洞察力に富み緻密で実直な目と技術、そして楽器と音楽に対する深い愛情を備えた小さな大工房です!

2016年10月30日 (日)

サティ『グノシエンヌ第6番』を、1820年代のウィーン式フォルテピアノで!

Soundcloud 紹介第2弾は、ちょいとキテレツなネタです。

サティは1866年生まれですから、現代ピアノの時代の作曲家。その『グノシエンヌ第6番』を、音域6オクターヴの1820年代のウィーン式アクションのフォルテピアノで弾いています。いわゆる「オリジナル」ということを厳密に語るとほぼ暴挙に近いですが・・・「楽器の響き方の性格」を考えると、現代のピアノで弾くよりもよほど「味」が生まれるのは必定。

気がついてしまったのが運の尽きwで、やってみないワケには行かなくなってしまいましてネ。グノシエンヌの中でもサティらしさが際立っているこの「第6番」の雰囲気が、より独特になってくれました(・o・ゞ

サティ(1866-1925)『グノシエンヌ第6番』
2016.2.16. 池袋、自由学園明日館 ラウンジホール
 1820年製 グレーバー ウィーン式フォルテピアノ:筒井 一貴

2016年2月21日 (日)

サティ/グノシエンヌ第6番をウィーン式6オクターヴフォルテピアノで

今年はサティ(1866ー1925)生誕150年。
6月5日高崎にて、サティ存命当時1905年製のプレイエルピアノでオールサティ演奏会を行います。さぁ今すぐスケジュールにチェック!

つい先日2月16日の『古典鍵盤楽器 徒然草 伍』でアンコールで弾いた、グノシエンヌ第6番の動画をどうぞ!

ここで使っているピアノは1820年代のウィーンの楽器ですから、サティとは国も場所も遠く遠〜く離れています。ぶっちゃけ、現代の演奏のほとんどが作曲家が生きていた時代と遠く遠〜く離れた現代楽器での演奏ですから、その逆があっても別に不思議はあんめぇ・・・と ( ̄ー ̄)

まぁ昔々のピアノと100年ちょい昔のピアノとに共通点が全くナイわけではなく・・・「きわめて良く響くように作られた木の箱に弦を張ってそれを叩いて音を出す」という実にざっっっくりした共通点はございます。この「きわめて良く響く木の箱」でかもし出される響き、えも言われぬ柔らかさそして温かさに満ちておりまして、いろんな使い方をしないのも実にもったいないおハナシ。狭量な古楽器オリジナル原理主義は自ら可能性そして多様性を放棄しているワケで、それはそれで良きコトなのかも知れません。

演奏会においでくださった「pic kumasan」がブログに詳細にレポートしてくださいましたが・・・<もしかしたら江戸川乱歩のドラマに使われそうな世界です>そして<最後のアンコールはサティの曲でした、本当にサスペンスドラマみたいでした>という雰囲気w、どうぞお楽しみくださいませ〜(・o・ゞ

2016.2.16. 池袋、重要文化財:自由学園明日館 ラウンジホール
 1820年代オリジナル6オクターヴフォルテピアノ(グレーバー製):筒井 一貴

2015年4月25日 (土)

クリストフォリ1726年製ピアノの複製楽器による演奏動画/ベネデット・マルチェルロ:ソナタ イ短調より、プレスト

最初期のピアノで弾いた、ピアノ(=ハンマーで弦を叩いて発音する鍵盤楽器)が発明された頃にその周辺で作曲されたとされている曲をご紹介します。2001年に録ってもらったminiDVからの資料ですが、意外と音がマトモに録れており、恥ずかしながら公開を決意しました (`・ω・´)キリッ

なお、古いまとめですが、ピアノの誕生周辺の資料はこのページにまとめています。ご興味があればご一読くださいませ!m(._.)m

2001年4月1日、帯広の相原求一朗デッサン館で行った「最古のピアノコンサート」のライヴ録画です。

ベネデット・マルチェッロ(1686-1739):ソナタ イ短調より、プレスト
Benedetto Marcello(1686-1739) Presto from SONATA in a minor played on a copy of Cristofori Piano (Nobuo Yamamoto 1999) based on the 1726 model (Leipzig)

ピアノは伊太利亜のCristoforiによって1700年少し前あたりに発明されたということになっていますが、この時期ヨーロッパでは打弦式鍵盤楽器の萌芽が複数生じていた形跡があります。
そのうち現存していて最も洗練されているものがCristoforiの手による3台(1720年、1722年、1726年)ですが、これら3台それぞれにさまざまなアイディアが盛り込まれており、単純に最古の個体に価値を見いだすのか最後の個体を最終形態として価値を見いだすのかは結論が出ませんし、そもそもこの<真の天才による偉大な発明>を現代人ごときが云々するのは意味のないことです。

ただし、ニューヨークのメトロポリタン博物館の所蔵で「現存する最古のピアノ」とされている1720年製のクリストフォリのピアノは後年に音域を高く変更する、という大改造がされていることは知っておくべきです。これに伴ってピアノの音質に重大な影響を及ぼす打弦点がクリストフォリオリジナルと異なる位置に変えられており、残念ながらもはやこの1720年製のクリストフォリピアノの音色の資料的価値は非常に乏しい・・・と言わざるを得ないのではないでしょうか。それに加えて、1938年に著名な音楽学者のクルト・ザックスの主導の下に響板とそれに付随する数多くのオリジナルの部品が交換されてしまった、という取り返しのつかない損害を被ってしまっています。

これに対して、大阪は堺のフォルテピアノ修復家の山本宣夫氏が1999年に完成させた、Cristofori晩年1726年製の楽器(現Leipzig大学所蔵)の複製は、最初期のピアノがまだまだ未熟な初歩楽器だった・・・という先入観を払拭してあまりある素晴らしい楽器で、この時代の(特に伊太利亜の)鍵盤楽器音楽の方向をまさしく指し示していた奇跡でありました。

この時代の伊太利亜の鍵盤楽器音楽については、ピアニストはおろか古楽器の演奏家ですら今ひとつパッとしない、という印象を持っているようですが、Cristoforiのピアノで演奏してみるとその香り立つ魅力に陶然となることもしばしばです。これは「時代の必然」と言っても差し支えなさそうな、楽曲と楽器とのベストマッチングでありましょう!

ベネデット・マルチェッロ Benedetto Marcello(1686-1739)の兄であるアレッサンドロ・マルチェッロ Alessandro Marcello(1669-1747)が、現在ローマの博物館に所蔵されている1722年製のクリストフォリピアノのかつての所有者であった・・・とされており、ベネデットもクリストフォリのピアノを体験したと考えて差し支えないでしょう。

補)1722年製のクリストフォリピアノについては、このコピー楽器が非常に優秀と思われます。どうぞご一読あれ!(英語ですが)
http://www.arpicimbalo.com/about_the_instrument.php


作曲当時の創造力の源泉たる楽器に対する興味(ワクワク感とも言えますネ)無くして、いわゆる「クラシック音楽」と称する音楽の理解は浅くならざるを得ません。どうぞ、楽器も曲も存分にお楽しみくださりますように。

2015年4月15日 (水)

クリストフォリ1726年製ピアノの複製楽器による演奏動画/ジュスティーニ:ソナタ第10番

最初期のピアノで弾いた、ピアノ(=ハンマーで弦を叩いて発音する鍵盤楽器)のため、と明記された最古の曲をご紹介します。2002年に録ったminiDVからの資料ですが、意外と音がマトモに録れており、恥ずかしながら公開を決意しました (`・ω・´)キリッ

なお、古いまとめですが、ピアノの誕生周辺の資料はこのページにまとめています。ご興味があればご一読くださいませ!m(._.)m

ピアノは伊太利亜のCristoforiによって1700年少し前あたりに発明されたということになっていますが、この時期ヨーロッパでは打弦式鍵盤楽器の萌芽が複数生じていた形跡があります。
そのうち現存していて最も洗練されているものがCristoforiの手による3台(1720年、1722年、1726年)ですが、これら3台それぞれにさまざまなアイディアが盛り込まれており、単純に最古の個体に価値を見いだすのか最後の個体を最終形態として価値を見いだすのかは結論が出ませんし、そもそもこの<真の天才による偉大な発明>を現代人ごときが云々するのは意味のないことです。

ただし、ニューヨークのメトロポリタン博物館の所蔵で「現存する最古のピアノ」とされている1720年製のクリストフォリのピアノは後年に音域を高く変更する、という大改造がされていることは知っておくべきです。これに伴ってピアノの音質に重大な影響を及ぼす打弦点がクリストフォリオリジナルと異なる位置に変えられており、残念ながらもはやこの1720年製のクリストフォリピアノの音色の資料的価値は非常に乏しい・・・と言わざるを得ないのではないでしょうか。それに加えて、1938年に著名な音楽学者のクルト・ザックスの主導の下に響板とそれに付随する数多くのオリジナルの部品が交換されてしまった、という取り返しのつかない損害を被ってしまっています。

これに対して、大阪は堺のフォルテピアノ修復家の山本宣夫氏が1999年に完成させた、Cristofori晩年1726年製の楽器(現Leipzig大学所蔵)の複製は、最初期のピアノがまだまだ未熟な初歩楽器だった・・・という先入観を払拭してあまりある素晴らしい楽器で、この時代の(特に伊太利亜の)鍵盤楽器音楽の方向をまさしく指し示していた奇跡でありました。

この時代の伊太利亜の鍵盤楽器音楽については、ピアニストはおろか古楽器の演奏家ですら今ひとつパッとしない、という印象を持っているようですが、Cristoforiのピアノで演奏してみるとその香り立つ魅力に陶然となることもしばしばです。これは「時代の必然」と言っても差し支えなさそうな、楽曲と楽器とのベストマッチングでありましょう!

このジュスティーニの作曲による12のソナタ集<SONATE da cimbalo di piano e forte detto volgarmente di martelletti, op.1 (FIRENZE 1732)>は、題名に「ハンマー付の強弱チェンバロのために」と明記されており、ピアノを演奏楽器として指定した最古の曲であるとされています。出版された1732年はCristoforiが没した翌年、何か意味があるかも知れませんし、ないかも知れません(・o・ゞ

作曲当時の創造力の源泉たる楽器に対する興味(ワクワク感とも言えますネ)無くして、いわゆる「クラシック音楽」と称する音楽の理解は浅くならざるを得ません。どうぞ、楽器も曲も存分にお楽しみくださりますように。

ロドヴィコ・ジュスティーニ:ハンマー付の強弱チェンバロのためのソナタ集 op.1 より、第10ソナタ ヘ短調
(2002年4月13日、東京、サローネクリストフォリ成城 演奏表現学会 例会)
Lodovico Giustini(1685-1743) SUONATA X in F Minor from "SONATE da cimbalo di piano e forte detto volgarmente di martelletti(1732)" played on a copy of Cristofori Piano (Nobuo Yamamoto 1999) based on the 1726 model (Leipzig)
1. Alemanda - Affettuoso
2. Canzone - Tempo di Gauotta
3. Alemanda - Grave, e Affettuoso
4. Corrente - Allegro assai
(2002.4.13. Tokyo, JAPAN)



・ジュスティーニ ソナタ集、初版(Firenze, 1732)の表紙
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2015年4月13日 (月)

クリストフォリ1726年製ピアノの複製楽器による演奏動画/ジュスティーニ:ソナタ第8番

最初期のピアノで弾いた、ピアノ(=ハンマーで弦を叩いて発音する鍵盤楽器)のため、と明記された最古の曲をご紹介します。2001年に録ったminiDVからの資料ですが、意外と音がマトモに録れており、恥ずかしながら公開を決意しました (`・ω・´)キリッ

なお、古いまとめですが、ピアノの誕生周辺の資料はこのページにまとめています。ご興味があればご一読くださいませ!m(._.)m

ピアノは伊太利亜のCristoforiによって1700年少し前あたりに発明されたということになっていますが、この時期ヨーロッパでは打弦式鍵盤楽器の萌芽が複数生じていた形跡があります。
そのうち現存していて最も洗練されているものがCristoforiの手による3台(1720年、1722年、1726年)ですが、これら3台それぞれにさまざまなアイディアが盛り込まれており、単純に最古の個体に価値を見いだすのか最後の個体を最終形態として価値を見いだすのかは結論が出ませんし、そもそもこの<真の天才による偉大な発明>を現代人ごときが云々するのは意味のないことです。

ただし、ニューヨークのメトロポリタン博物館の所蔵で「現存する最古のピアノ」とされている1720年製のクリストフォリのピアノは後年に音域を高く変更する、という大改造がされていることは知っておくべきです。これに伴ってピアノの音質に重大な影響を及ぼす打弦点がクリストフォリオリジナルと異なる位置に変えられており、残念ながらもはやこの1720年製のクリストフォリピアノの音色の資料的価値は非常に乏しい・・・と言わざるを得ないのではないでしょうか。それに加えて、1938年に著名な音楽学者のクルト・ザックスの主導の下に響板とそれに付随する数多くのオリジナルの部品が交換されてしまった、という取り返しのつかない損害を被ってしまっています。

これに対して、大阪は堺のフォルテピアノ修復家の山本宣夫氏が1999年に完成させた、Cristofori晩年1726年製の楽器(現Leipzig大学所蔵)の複製は、最初期のピアノがまだまだ未熟な初歩楽器だった・・・という先入観を払拭してあまりある素晴らしい楽器で、この時代の(特に伊太利亜の)鍵盤楽器音楽の方向をまさしく指し示していた奇跡でありました。

この時代の伊太利亜の鍵盤楽器音楽については、ピアニストはおろか古楽器の演奏家ですら今ひとつパッとしない、という印象を持っているようですが、Cristoforiのピアノで演奏してみるとその香り立つ魅力に陶然となることもしばしばです。これは「時代の必然」と言っても差し支えなさそうな、楽曲と楽器とのベストマッチングでありましょう!

このジュスティーニの作曲による12のソナタ集<SONATE da cimbalo di piano e forte detto volgarmente di martelletti, op.1 (FIRENZE 1732)>は、題名に「ハンマー付の強弱チェンバロのために」と明記されており、ピアノを演奏楽器として指定した最古の曲であるとされています。出版された1732年はCristoforiが没した翌年、何か意味があるかも知れませんし、ないかも知れません(・o・ゞ

作曲当時の創造力の源泉たる楽器に対する興味(ワクワク感とも言えますネ)無くして、いわゆる「クラシック音楽」と称する音楽の理解は浅くならざるを得ません。どうぞ、楽器も曲も存分にお楽しみくださりますように。

ロドヴィコ・ジュスティーニ:ハンマー付の強弱チェンバロのためのソナタ集 op.1 より、第8ソナタ イ長調
(2001年4月1日、帯広、相原求一朗デッサン館)
Lodovico Giustini(1685-1743) SUONATA VIII in A Major from "SONATE da cimbalo di piano e forte detto volgarmente di martelletti(1732)" played on a copy of Cristofori Piano (Nobuo Yamamoto 1999) based on the 1726 model (Leipzig)
1. Sarabanda - Affettuoso
2. Allegro
3. Rondo - Affettuoso
4. Giga - Prestissimo
(2001.4.1. Obihiro, JAPAN)



・ジュスティーニ ソナタ集、初版(Firenze, 1732)の表紙
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